悲しむことは生きること の商品レビュー
自分が臨床家として年齢を重ねるのであれば、このような臨床経験を積みたい。地道に辛抱強く生き抜く姿勢は尊敬。
Posted by
著者は精神科リハビリテーションの分野や地域精神医療に就ての造詣が深く、クラーク博士の翻訳でも有名である。ただ近年の著者の最大の功績は沖縄戦の晩発性PTSDを見出したことである。現在は、その経験をもとに福島で活躍されている。日本ではあれほど大きな大戦がありながら、戦争のトラウマが報...
著者は精神科リハビリテーションの分野や地域精神医療に就ての造詣が深く、クラーク博士の翻訳でも有名である。ただ近年の著者の最大の功績は沖縄戦の晩発性PTSDを見出したことである。現在は、その経験をもとに福島で活躍されている。日本ではあれほど大きな大戦がありながら、戦争のトラウマが報告されなかった。日本人が違うのではなく、タブーなだけだったということが、著者の報告で判明された。今、第二次大戦のトラウマについて掘り起こしが始まり、新聞でも報道がされるようになった。精神医療の現場は、医学的な面だけではなく、環境的な問題の理解、その環境は過去からの歴史にもとづいている、と考えなければ、いけないところが他の医療慮域とは違うものだ。そういう意味での必読書だと思う。本書は著者の生きざまも含めて書かれているが、その生きざまもジェットコースターのようなもので、健康に気を付けて、長く現場で居続けられることを祈念したい。
Posted by
- 1