レイトン・コートの謎 の商品レビュー
「おしゃべり探偵」というキャッチコピー(?)が気になっていたロジャー・シェリンガム、第一作をやっと読んだ。 ワトソン役の友人アレック(年下)に「黙れよ。おしゃべりをやめることはないのか?」と呆れられるほどおしゃべりなロジャーは、基本的には陽気で朗らか。アレックに向かってあれこ...
「おしゃべり探偵」というキャッチコピー(?)が気になっていたロジャー・シェリンガム、第一作をやっと読んだ。 ワトソン役の友人アレック(年下)に「黙れよ。おしゃべりをやめることはないのか?」と呆れられるほどおしゃべりなロジャーは、基本的には陽気で朗らか。アレックに向かってあれこれとハイテンションにまくしたてながら思考整理する姿は、正直かわいい。それでいて人の心の機微には敏感で、如才ない社交もできる。失敗したら「失敗しちゃった!」と素直に認めるし、変に自信過剰だったり嫌味だったりすることもない。担当の警部からも事件関係者からも、持ち前のコミュニケーション能力……といってもあざといテクニックなどではなく、愛され力、共感力、により思いがけない重要情報を引き出してしまったりする。 ラストの捌きはこれまた肝が据わっていて、清濁併せ呑むような器の大きさも感じられ、ただかわいいだけの人物でもない。性別は違いますが、私の中では黒柳徹子さんになってました。どうでしょう、女シェリンガム。一方で、アレックとのコンビっぷりに着目した、「暴走気味なロジャー草彅くんに、呆れながらついていって時に諌めるアレック慎吾ちゃん」というキャスティング案も気に入っている。 彼の「おしゃべり」設定は、ミステリー小説におけるフェアプレイの実現に向けた手段のひとつでもあり……というミステリー史概要もわかる解説も読み応えがあった。フェアプレイ論争を巻き起こしたクリスティのあれも、クイーンの読者への挑戦も、本作(一九二五)より後!
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ロジャー・シェリンガムもの1作目。 田舎の屋敷〈レイトン・コート〉の書斎で屋敷の主人・スタンワース氏の額を撃ち抜かれた死体が発見されます。 現場は密室で遺書も残されていたことから、警察は自殺との見解を示しますが、死体の奇妙な点に気づいたロジャーは、“自殺説”に疑問を感じて独自に...
ロジャー・シェリンガムもの1作目。 田舎の屋敷〈レイトン・コート〉の書斎で屋敷の主人・スタンワース氏の額を撃ち抜かれた死体が発見されます。 現場は密室で遺書も残されていたことから、警察は自殺との見解を示しますが、死体の奇妙な点に気づいたロジャーは、“自殺説”に疑問を感じて独自に調査に乗り出しますが・・。 先日『毒チョコ』を試食した流れで“ロジャーもの”に手を出してみました。 一見自殺としか思えない状況で、死体の違和感を見抜き、花瓶の破片や足跡を発見したりと、なかなかの観察眼と記憶力を持ちながらも、せっかく発見したヒントから立てる仮説が何故かずれてしまうロジャー。 もともと他殺説に消極的な友人アレックをはじめ、周りからの“もうええやん、自殺ってことで!”という“圧”にもめげず、トライ&エラーを繰り返しながら真相解明に奮闘する姿がコミカルに描かれております。 そう、ロジャーのずれがちな推理(てか、妄想)からの暴走&迷走っぷりは、よくある探偵小説における“完璧な推理を披露し、何故かなんでも知っている探偵観”へのアンチテーゼなんですよね~。 探偵だって「人間だもの(byみつを)」っていうことなんです(←?)。 そんな愛すべきヒューマン探偵ロジャーと、ツッコミ担当もといワトソン役の友人・アレックとのやり取りも軽快でその辺も楽しく読めるのですが、このバディ感がある意味トラップというか・・あ、もうやめときます(^^;) ・・てな感じでロジャーの“寄り道”に付き合いながら、心の中で“ちょ・・ロジャー、一番挙動不審なあの人をまるっとスルーしとるけど!?”と、やきもきしながら読んでいた私ですが、終盤の展開とラストの“一捻り”は、さすがバークリー!という感じで読ませるものがありました。 特に人間ドラマがあるわけではないですが、楽しく謎解きを堪能できる一冊かと思いますし、フェアなのも良いですね・・ということで今後もロジャー迷走ぶりを追っていく所存でございます~。
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遺書が残された密室の書斎で主人の死体が発見された。警察の見解は自殺に傾くが、死体の奇妙な点に注目した素人探偵ロジャーは殺人を疑う…。 めちゃくちゃ面白かった!! 今まで読んだ3冊の中でも1番読みやすくてわかりやすいと思った。これが1作目とのこと。 今までは"真面目そう...
遺書が残された密室の書斎で主人の死体が発見された。警察の見解は自殺に傾くが、死体の奇妙な点に注目した素人探偵ロジャーは殺人を疑う…。 めちゃくちゃ面白かった!! 今まで読んだ3冊の中でも1番読みやすくてわかりやすいと思った。これが1作目とのこと。 今までは"真面目そうに見えて"ユーモアがある作風だったのが、この作品はユーモア全開のわかりやすい面白さがある。 謎めいた秘密主義の格好良いホームズやポアロとは全く違っていて、この作品の素人探偵ロジャーは心の中で思ってることを考えもせず喋り過ぎる。人間味がある現実にいそうな探偵。 「よくできました。アレグザンダー・ワトスン。その通りだ」など、恥ずかしいくらい自分に酔ってるのが最高。 探偵だって人間だから間違えることもあるよねという、名探偵のイメージを裏切る面白さがある。(それにしてももう少し考えてから喋って欲しいけど笑) そしてユーモアだけでなく、ネタバレになるので書けないけどミステリーとしてもすごく面白い! こんなに面白いのにレビュー数が少ないのは何でなんだろう?格好良い探偵じゃないと受け入れにくいのかな…。 格好良い探偵も好きだけど、人間味のある探偵も面白いけどなぁ。 他の探偵小説にはない面白さがあるので、アントニイ・バークリーは読むほどに好きになる。 (★10を付けたかったけど終わり方だけは好きではなかった)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アントニー・バークリーのデビュー作かつ、ロジャー・シェリンガムシリーズの第1作。 レイトン・コートに居を構える富豪、スタンワースが密室の中、死体となって発見される。友人のアレックとたまたま訪れていた素人探偵、ロジャー・シェリンガムは、どうしても自殺だとは思えず捜査を開始するが。。。 バークリーらしさは少し抑え気味だけど、ユーモア溢れるミステリ。探偵ロジャー・シェリンガムのへっぽこさが非常に愉快で、テンプレートな探偵像をこれでもかというくらいに崩しにかかる。 トリック等は流石に古かったが、キャラクターの魅力溢れる作品だった。
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正統な推理小説。シリーズを前に読んでいたからか、文章の雰囲気に早めに馴染めて、あーそうだ絡みがちょっと面倒な感じだったな。と思った。犯人当てとしても読み手に対してフェアにヒントが提示されているので楽しめる。いいお点前でした。
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資産家の紳士が密室で額を撃ち抜かれて発見された。自殺と思われたたが、小説家シェリンガムが疑問を投げかける。おしゃべりな探偵シェリンガムのキャラクターと相棒アレックとのやりとりがとにかく楽しい!シェリンガムの一見適当な推理と、あちこち転がってるヒントを拾いながら真相に迫っていく。清...
資産家の紳士が密室で額を撃ち抜かれて発見された。自殺と思われたたが、小説家シェリンガムが疑問を投げかける。おしゃべりな探偵シェリンガムのキャラクターと相棒アレックとのやりとりがとにかく楽しい!シェリンガムの一見適当な推理と、あちこち転がってるヒントを拾いながら真相に迫っていく。清々しい後味を残すラストも好み。やはり、この時代背景のミステリーは独特の面白さがある。
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