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清代北京の首都社会 の商品レビュー

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2023/12/18

都市を維持するために権力は何を為すべきか。それはまず、食糧の安定供給、防災と災害時の対応、治安の維持だろう。これら都市の維持機能について清代北京の状況、皇帝とその周辺の官僚権力の営み、行政機構や関連法令の分析を行った本。内容はかなり専門的で用語も見たことがないようなものが多くて、...

都市を維持するために権力は何を為すべきか。それはまず、食糧の安定供給、防災と災害時の対応、治安の維持だろう。これら都市の維持機能について清代北京の状況、皇帝とその周辺の官僚権力の営み、行政機構や関連法令の分析を行った本。内容はかなり専門的で用語も見たことがないようなものが多くて、普段は見ることがない漢字に目がチカチカして、読みとおすのにけっこう苦労しました。でも面白かった。 特に大変天国の乱時に北京市内の民間防火組織が生まれたり解体されたりする様子が興味深い。必ずしも「団防」と呼ばれる民間から萌生した防火組織は皇帝権力と常に密接な(垂直的な)かかわりを持っていたわけではなくて、だから太平天国という外国勢力も関与した大規模な内乱に際してもそこからナショナリズムが燃え上がるなんてこともなく、むしろいま平行して読んでる本に書かれているナショナル・インディファレンス(国家や民族に対する無関心)的な現象がそこにあったんじゃないかなとか、いろんな想像(というか妄想)がはかどったり(むろん、筆者にはなんの責任もないことだけど)。ただ、もちろん、研究が進んでいる東欧などの事例とはまったく雰囲気が違う。アジア的なナショナル・インディファレンスというものがあるのなら、この時代のこういう分野から調べていくのはいいのかもしれない。 とまれ、檔案史料に基づいた当時のこまごました犯罪事案なども読み込んでいくと楽しい。小悪党な商人が、米をかすめ取ったり、投機目的に溜め込んだり、役人に賄賂を贈ってお目こぼししてもらったり、水戸黄門にお仕置きされそうなひとたちの記録がたくさん。ある意味小ネタの宝庫みたいな読み方も可能(ごめんなさい)。

Posted byブクログ