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死霊の恋/化身 の商品レビュー

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2024/05/30

 幻想奇譚と言えば良いのだろうか、本書に収録されているのは、理想的な美を体現する女性と、彼女たちへ猛烈な恋情を抱いてしまった男たちの悲劇的な思いを、豪華絢爛たる文章に乗せて描いた作品である。 〇『死霊の恋』~高級娼婦クラリモンドと司祭ロミュアルド  クラリモンドは吸血鬼で、最後...

 幻想奇譚と言えば良いのだろうか、本書に収録されているのは、理想的な美を体現する女性と、彼女たちへ猛烈な恋情を抱いてしまった男たちの悲劇的な思いを、豪華絢爛たる文章に乗せて描いた作品である。 〇『死霊の恋』~高級娼婦クラリモンドと司祭ロミュアルド  クラリモンドは吸血鬼で、最後には聖水をかけられ朽ち果ててしまうのだが、ロミュアルドは一緒に暮らした生活を思いきれないまま一生を過ごすことになる。 〇『アッリラ・マルケッラ』~アッリラ・マルケッラとオクタヴィア  ナポリの考古学博物館で、オクタヴィアンはポンペイから出土した美しい乳房の丸みと脇腹のくびれを持つ灰の塊に心を奪われる。友人たちと共にポンペイに着いたオクタヴィアンは、その夜一人廃墟を歩いていたのだが、いつの間にかそこは噴火前のポンペイの街になっていた。そして劇場であの女性に出会い、彼女の家に招かれたのだが… 〇『化身』~プラスコヴィ・ラビンスカ伯爵夫人とオクターヴ  夫人を一目見て恋に落ちたオクターブだったが、貞節な夫人はオクターヴの思いをきっぱりはねつける。悲嘆にくれるオクターヴに、インドで修業をしてきたバルタザール医師は、秘術を使ってオクターヴと夫人の夫の魂と肉体とを入れ替えることを提案する。夫の体に入ったオクターヴは夫人に言い寄ろうとするのだが、…。  ストーリーもさることながら、人物の容貌やその衣裳、宝飾品、住まいの館の構造、居室や化粧部屋、食堂など部屋部屋の様相、調度品の絵画やタピスリー、絨毯その他の様々な品物の描写が、とても豪華に細かく描写されていて、小説を読む面白さはこういうところにあるのだなあと感じ入った。

Posted byブクログ

2023/11/26

幻想小説はホフマンとゴーティエがお気に入り。 前者は現実との境目が曖昧な幻想世界を描くのが抜群に上手く、さながら今流行りの拡張現実のよう。 後者は描写が緻密(特に女性の)で、文章そのものに豪華絢爛な印象を受ける。 この本では特に『化身』が面白かった。

Posted byブクログ

2023/10/13

官能的で美しい文章。 ちょいファンタジーもありつつ、恋に悩み苦しむ心情はとてもリアル。他の作品も読んでみたくなった。

Posted byブクログ

2023/10/05

ゴーティエの傑作幻想譚を三篇収録。「死霊の恋」は聖職者としての人生が始まる瞬間、悪魔的な美女に見初められる話。聖職者としての清貧でつまらない生活と、美女と享楽に溺れる快楽的な生活という二重生活が次第に彼を蝕んでいきます。官能と美が混じり合う素晴らしい作品でした。

Posted byブクログ