スマホより読書 本屋を守れ の商品レビュー
内容的には、同著者の「本屋を守れ 読書とは国力」と重複する部分が多い。 以前「本屋を守れ 読書とは国力」を読んで、概ね内容には賛同していたが、その時は「読書する」「日本語を大切にする」が、どうして「本屋を守れ」につながるのかわからなかった。 今回、ようやくそれがわかってよかった。...
内容的には、同著者の「本屋を守れ 読書とは国力」と重複する部分が多い。 以前「本屋を守れ 読書とは国力」を読んで、概ね内容には賛同していたが、その時は「読書する」「日本語を大切にする」が、どうして「本屋を守れ」につながるのかわからなかった。 今回、ようやくそれがわかってよかった。 著者の主張としては、以下のとおりなのである。 我が国が西洋列強の植民地にならなかったのは、 幕末から明治にかけて来日した外国人が、町人たちが本屋で本を立ち読みしていたのを見て驚愕したからだ。 当時、江戸には800件、京都には200件の本屋があった。 江戸末期の識字率が9割を上回るというのは、ヨーロッパの想像の限界を超えていた。 ロシアなどは1900年になっても5パーセント程度。彼らは自分たちよりもはるかに知識と教養をもつ人々のいる日本を植民地にすることを早々にあきらめ、不平等条約を押し付ける作戦に変更した。 皆が本を読むということはそれほどの防衛力になるのだ。つまり、読書とは国防なのだ。町の本屋こそその拠点である、本屋を守らなければならない。国を守るためには分厚い教養層を築くことが重要。そしてそれを培うには「読書」しかない。 私も「読書は国防」に賛同する。 先日読んだ「戦地の図書館」という本にも同じようなことが書かれていたことを思い出した。 ヒトラーの行った焚書や思想戦に対抗するために立ち上がったアメリカ図書館協会。 ~国民が本をよめば、ドイツによるプロガンダの影響は弱まるだろう、焚書は読書の対極にある~ 続いて、ネット書店については次のように書いてあった。 現在、ヨーロッパでは反ネット書店の革命の機運が高まっているらしい。 具体例。オランダにはエルゼビアという数学や医学、科学技術の専門出版社がある。 10数年前、エルゼビアは学術雑誌を次々に買収して、それらの雑誌をオンライン化して値段を大幅に値下げ。ライバルの出版社をつぶしてから購読料を毎年数パーセントずつ、吊り上げていった。 大学の研究機関では学術雑誌の値段が上がりすぎて、購入できなくなり、次々に購入中止においこまれた。 最終的には研究者個人が友人や事務に頼んでコピーをしてもらうまでになってしまう。 ケンブリッジ大学でさえ、雑誌代が3億円に。 このエルゼビアの暴挙に、数学者や科学者たちがセルゼピアへの執筆や編集委員、論文査読などをボイコットしはじめた。これによりセルゼピアも降参して値下げへ。 世界最大級のエルゼピアに対する数学者や科学者の果敢な戦いは、「学会の春」とも呼ばれている。 ネットによる寡占を許すと、必ず寡占してから大幅値上げが生じる。 アマゾンも本屋をつぶし、市場独占後にエルゼビアと同じ手をつかうことが危惧される。 本の売り手が自分たちだけになれば、本の低下を吊り上げるばかりでなく、出版社の価格決定権や編集権までにぎり思想統制にもつながる。 すでにフランスでは2014年、小さな書店を守るために、ネット販売で値引きした本の無料配送を禁じる法律を議会で可決している。 ・・・思想統制につながる可能性がある。これは必ず私たちの生活を一変させる。 この本を読んで、あらためてわたし自身の「無知」「自分で考えない」「歴史を知らない」「自分の行動に対する無責任」を恥ずかしいと思った。 微力であるとわかってはいるが(微力にもなっていないかも)、日本の分厚い教養層のほんの一部になりたいと願いながら、今後も読書に励みたい。
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★3.5くらいかな。読書大事、国語教育大事という基本主張は完全アグリーですが、ちょいちょい疑問符がつくところもあったようななかったような感じでw。まぁ基本は対談ベースですし。 左的な方には忌避されるでしょうけど、個人的にはこういった主張は好きですね。
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心に響くフレーズ ① 初等教育の目的はただ一つ、自ら本に手を伸ばす子どもを育てることです。 ② 教養のための読書という、人間の最も崇高な営み。
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極端な意見や日本賛美の表現もあり人によっては嫌悪感を抱く文章かもしれせん。 しかし、スマホより読書と言うテーマ、また英語やパソコンを学ぶよりも本を読む事が重要と言う指摘は非常に鋭く事実を指摘していると思いました。 私も仕事柄英語を使いますが、私よりも英語が得意な、特に帰国子女の...
極端な意見や日本賛美の表現もあり人によっては嫌悪感を抱く文章かもしれせん。 しかし、スマホより読書と言うテーマ、また英語やパソコンを学ぶよりも本を読む事が重要と言う指摘は非常に鋭く事実を指摘していると思いました。 私も仕事柄英語を使いますが、私よりも英語が得意な、特に帰国子女のような人たちが英語が話せるだけで、日本のお客さんを怒らせると言う場面によく出くわします。彼ら彼女らは英語が話せるだけで、相手が何を言いたいのか?何をして欲しいのか?と言うところまでは考えが回らない、つまり筆者が言うところの礼節や情緒が理解できていないのかもしれません。 外国で育っただけではいくら英語が話せても日本語で正しく思考する事の助けにはならないと言う事を身をもって感じました。 個人的には新自由主義は弱いものいじめ、日本には公を考えられる真のエリートが不在など、読書のくだりとともに共感できる部分も多かったです。
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教養がないと大局観が得られない 情報が繋がって知識になり 知識が繋がって教養となる ネットに置かれている情報が得られたとて繋げ方を知らなければ知識として活用することもできない 繋がった情報、つまり知識を得るには読書が効率的だし本質的だというお話 そもそも校閲されていない情報は情報...
教養がないと大局観が得られない 情報が繋がって知識になり 知識が繋がって教養となる ネットに置かれている情報が得られたとて繋げ方を知らなければ知識として活用することもできない 繋がった情報、つまり知識を得るには読書が効率的だし本質的だというお話 そもそも校閲されていない情報は情報としても成り立っていないので情報源がネットである場合、知識を育み得ないとは思う ・論理的思考力とは数学的なものではなくて言語技術や表現技術を含む総合力
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星1.5 グローバル化を憂いたり、スマホの為に読書をほとんどしない層がほとんどとなり文化の衰退を招く、移民の受け入れはその国の文化を滅ぼす、など、なるほどと思うところもある。特に身近な大学生たちがいっさい本を読まないのは日々感じている。が、全編にわたって、日本礼賛、日本ほど素晴...
星1.5 グローバル化を憂いたり、スマホの為に読書をほとんどしない層がほとんどとなり文化の衰退を招く、移民の受け入れはその国の文化を滅ぼす、など、なるほどと思うところもある。特に身近な大学生たちがいっさい本を読まないのは日々感じている。が、全編にわたって、日本礼賛、日本ほど素晴らしい国は他にない、というようなトーンで書かれており、まるで右翼の演説を聞くようであきれる。日本文化のほとんどは中国からの輸入ではないのか?それに、欧米人、中国人に日本人よりはるかに教養人がたくさんいるのは周知の事実では?
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なぜ日本が昔は素晴らしい国と他国の人々から誉められたのか。 それは日本人が読書をしていたからだ。 とにかく筆者は本を読むことにより人間性や判断力を鍛えることが大事であることを強調しており、本を読まない人を強く批判している。 本を読み教養を深め、人生をより良くしたいと思ったとともに...
なぜ日本が昔は素晴らしい国と他国の人々から誉められたのか。 それは日本人が読書をしていたからだ。 とにかく筆者は本を読むことにより人間性や判断力を鍛えることが大事であることを強調しており、本を読まない人を強く批判している。 本を読み教養を深め、人生をより良くしたいと思ったとともに今まで読書をしていなかった自分を恥じた。
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言っている内容はとても共感できますが、表現が少々過激です。そういうところで嫌悪感を持つ人がいるかもしれません。スマホに限らず、動画や漫画など情報が多すぎるものは想像力が育たなくなるかもしれません。自分も気をつけようと思います。
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『国家の品格』で有名な藤原先生の対談集。主張が明確でわかりやすいし、納得できるところもあるが、現実性がどうかと言われると。。。 電車の中で皆スマホを見ている、というのはそのとおり。読書は大切だというお話も共感しました。 「情緒」という視点が新鮮だったので、関連するフレーズを登...
『国家の品格』で有名な藤原先生の対談集。主張が明確でわかりやすいし、納得できるところもあるが、現実性がどうかと言われると。。。 電車の中で皆スマホを見ている、というのはそのとおり。読書は大切だというお話も共感しました。 「情緒」という視点が新鮮だったので、関連するフレーズを登録しておきました。
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駅前に書店がないのが許せないのは同感。でも、街中や郊外の大きな書店に通うようになった結果、小さな書店では物足りなく感じてしまう。ふらっと立ち寄った書店でたまたま手にした本との出会い。いいですね。 それにしても文庫本、高くなったなぁ。本離れはここにも原因があるのでは?
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