サバティカル の商品レビュー
後半で描かれる主人公の性質が自分と重なる部分が多いからこそ、いかに自分が日頃共感を求めて物語を読んでいるかが浮き彫りになった気がする。 感覚を掴めるか掴めないかわからないところで終わったのがとてもよかった一方で、もうその前からちゃんと人に出会って心を動かされているじゃないか、、 ...
後半で描かれる主人公の性質が自分と重なる部分が多いからこそ、いかに自分が日頃共感を求めて物語を読んでいるかが浮き彫りになった気がする。 感覚を掴めるか掴めないかわからないところで終わったのがとてもよかった一方で、もうその前からちゃんと人に出会って心を動かされているじゃないか、、 とも思ってしまい、そこでちょっと自分の感覚との距離を感じたりもした。 主人公もサバティカルタイムだからこそこういう経験を経たのだと思うと腑に落ちた。 性格をどうにかしたい気質を治したいとかあれこれあるけど、意外と1番必要なのは時間と余裕なのかもしれない。
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好きな作家さんなのでこの作品は単行本でも読んでいて、航さんの久しぶりの小説新刊というのと、こういう題材の小説を応援したい気持ちで今回文庫でも買っちゃいました。 正直、単行本で初めて読んだときは(アセクシャルの人が恋するようになる、という結末だけは絶対やだ、と思っていたのもあって)結末にいまいち納得がいかなかったのだけど、今回は素直にいい物語だったなと思えました。 * デビュー作『リレキショ』の冒頭で「大切なのは意志と勇気。それだけでね、大抵のことは何とかなるのよ」という台詞があって、「意志と勇気」というのは航さんの作品に度々登場するのだけど、アセクシャルを扱った今作では「意志と勇気ではどうにもならないこと」という使い方で登場しました。 私はアセクシャルじゃないけどXジェンダー(ノンバイナリー)という自認があって、Xジェンダーもその言葉を知って「自分はそれかも」とこれまでの違和感に納得がいく、みたいなのがあるあるなのでそれを思い出したし、「子供っぽいところあるから」「まだいい人に出会ってないだけ」のようなよく言われてしまう言葉とか、あとアセクシャルの中でもグラデーションがあることとか、そういう現実のことを書いてくれていたのは、書いてくださってありがたいというか、信頼できるなと思えた部分でした。 そして初読のときと読後感が違ったのは自分が年齢を重ねたからというのもあるかなと思っていて(24歳→29歳)、誰かと生きてゆきたい、でもこう生まれてきた自分にそれが叶うのだろうかっていう悩みの切実さへの解像度が上がったのかなと思いました。 少なくともその切実さに胸がギュッとなって、だからこそ最後に主人公が恋の欠片を見出したときによかったなと思った……。 どこかに向かって元の場所に帰ってくる(その旅の前後でキャラクターに変化や成長がある)というのは物語の構造としてよくあるけど、日々働くという日常からサバティカルという非日常を経て最後また転職先で働く日々に向かう、というこの物語もその構図で読めるかなと思います。 で、主人公梶くんが変化したか、どのように変化したかということを考えると、最後に芽生えた感情が恋だったかどうかを置いても、ずっと向き合わないでいたものと向き合えたという前進があったと思うし、そうして向き合えたからこそ求めていた家族に似た繋がりを見つけかけている、その途中で終わったのもよかったなあ。 自分が自分をどう定義するか、自分の気持ちをどう定義するかっていう部分に関しては「意志と勇気」をもって決めていけるところもある、というのが初読のときも浮かんだ感想で、どうしたって変えられない部分に対する折り合いとして優しい結末だなとも思いました。 帯やあらすじでアセクシャルが題材になっているのはわかっていても、実際そのトピックが出てくるのは結構後半で、サバティカルという非日常で出会いがあって、変化が起きたという展開は誰にも起き得る物語でもあって、だからこの物語はアクセシャルやマイノリティだけの物語ではなくて、それもよかった。 Trelloというタスク管理ツールが出てきたのも、プライベートとのTODOをそうやって管理するのは無機質な感じがしそうなのに、むしろ着実に状況が変わりつつあるのを示してくれるツールになっていて面白かったし楽しかった。 また何年後かに読んだらそのときは違う感想を持つのかな。でもそういう楽しみもできた読書でした。
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サバティカル…長期休暇、長期充電期間 働かざる者食うべからず! 食うべからずじゃなくて、働かないと食べていけないんです。 長期休暇なんて無理なんです。 転職により不意に手に入れた5ヶ月の長期休暇。 それは非日常の始まり。 梶は、この5ヶ月の間にやりたいこと、やってみたいことをリ...
サバティカル…長期休暇、長期充電期間 働かざる者食うべからず! 食うべからずじゃなくて、働かないと食べていけないんです。 長期休暇なんて無理なんです。 転職により不意に手に入れた5ヶ月の長期休暇。 それは非日常の始まり。 梶は、この5ヶ月の間にやりたいこと、やってみたいことをリストアップしてみることにした。 「ショーギできる?」 見知らぬ老人から声をかけられる。それもまた非日常。 日常では出会うはずもない出会いから生まれる新たな出会いが、梶が避けていたの人生の宿題に向き合うきっかけとなっていく。 ここから先は少しネタバレ含みます。 LGBT、性的多様性については理解が広まりつつあるけれども(現実はまだまた〝キモい〟とか言う人は多い。どうして自分は普通だと言い切れるのか…普通が正しいと言い切れるのか…自分がそうでないことを当たり前と思えるのか…自分の愛する我が子がそうだった時にも〝キモい〟と言うのだろうか…。あ、脱線しました。)多様性ということは対象者が存在すると言うことでもある。 この物語は、知ったような顔をしている私にアセシャルという新たな多様性を知らしめた。 最終的には梶の心にわだかまっていた問題が溶けていく物語で、そこに触れるまでが長い。 親子とのエピソードは悪くないけど、その問題とアセシャルとは別物でしっくりこなくて、中村航さんのゆったりとした優しい時間につい流されてしまうけど、正直、別にサバティカルでなくても良かった?と思ってしまった。 この感想がほら…頭とまったく繋がってない。 そんな感じ。 今年の25冊目
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ゆったりと時間が流れていくような感じ。読んでいて心地よい。 少し重たい話になるが最後は救い?のような展開になってよかった。 自分も主人公に倣ってtodoリストを作ってみようと思った。
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サバティカルとは長期間の休暇の意味。 主人公は転職で次の職場で働くまだの数ヶ月お休みになってしまったことから物語は始まる。 休みの使い方やそこで起こる事柄から成長する話かと思いきや、意外な方向に話は転がり出す。 これは成長でも、休みの使い方でもなく、多様性を受け入れようという話だ...
サバティカルとは長期間の休暇の意味。 主人公は転職で次の職場で働くまだの数ヶ月お休みになってしまったことから物語は始まる。 休みの使い方やそこで起こる事柄から成長する話かと思いきや、意外な方向に話は転がり出す。 これは成長でも、休みの使い方でもなく、多様性を受け入れようという話だった。 長い休みを取ると、どこかのタイミングで昔を振り返り、そしてそこから考えを巡らせることがある。その時悲しい気持ちにもなることがあるし、でも今なら解消できる何かがあるかもしれないとも思った。
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転職が決まり、退社から次の会社に入るまで5か月の休みが手に入った。さあ、どうやって過ごそうか。 最初はそういう大人に向けた、のんびりとした話かと思ってた。でもすごく思いがけない方向に向かい…最初から読み直すと会話が違って感じた。 知り合うのはへんなきっかけだけど、梶くんと香奈さんが過ごす時間がすごく好きだ。それが期間限定であっても、めちゃくちゃ大事な時間だと思う。
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誰かを好きになったり、友達になりたいな、って思ったり、とても素敵な気持ちだけど、どこか不安を孕んだもので、そしてそれは自分だけではどうにもならない。 だけど、手を伸ばしてみることは決して無駄ではないし、安心を求めない人はいないし、タイミングだって大事だし。 でも、そんな人と人の気...
誰かを好きになったり、友達になりたいな、って思ったり、とても素敵な気持ちだけど、どこか不安を孕んだもので、そしてそれは自分だけではどうにもならない。 だけど、手を伸ばしてみることは決して無駄ではないし、安心を求めない人はいないし、タイミングだって大事だし。 でも、そんな人と人の気持ちが目まぐるしく変わる中で、タイミングを含めて、あっ、なんとなく、これは、って言う衝動から始まることもあって。 なんか難しいんだけど、誰かと仲良くなったり、時には愛し合ったりするのって、もしかしたらすんごい奇跡かも!!って思ったりした。
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「サバティカルは旅だった」 それは自分を探したり、見つめたりするだけの時間ではなく、帰れる場所ができるということ。 「出戻り歓迎」と言ってもらえること、そして言えること、そういう関係をつくりたい。
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サバティカル休暇を得ることになった主人公の夏休みのような暮らし。 自分も同じような経験をしたからすごくよくわかる内容だった。 恋愛とかでなく仲の良い友だち、これなんだよなぁ、、という気持ち
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