なぜ美を気にかけるのか 感性的生活からの哲学入門 の商品レビュー
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『なぜ美を気にかけるのか 感性的生活からの哲学入門』(2023) 本国では初学者向けに書かれた書籍の邦訳で、訳者による補足も多く非常に読みやすかった。主に、〈美的価値とは何か〉というテーマについて、3人の論者の議論を収録した本である。 ナナイは、われわれが美的なことがらに気を配るのは、そこに関与することから得られる美的経験のためであるとする。そして、多くの美的経験が達成(achievememt)であると主張することで、美的なものの大切さを説明しようとしている。 リグルは、美的評価について、食べ物とのアナロジーから説明しようとしていた点がとても興味深かった。具体的には、アリストテレス的な目的論的定義の考え方に基づき、食べ物を〈それを食べることで当の食事実践を規定する善(goods)を実現するものになるもの〉と特徴づけることで、美的なことがらの評価のされ方が、食べ物の評価のされ方に似ていると説明するのだ。美的評価実践をうまくいくようにするものとして美的価値を捉えるという発送は個人的に新鮮に感じられたし、諸々の議論から「美術(fine art)」とは異なる概念として「芸術(art)」を特徴づける議論の流れもスムーズだった。 ロペスは、美的性質が非美的性質によって実現されるものであると述べたうえで、美的性質と非美的性質の対応パターンのようなものとして美的プロファイルという概念を導入している。ここでは、〈同じ見た目の物でも、属する美的種(aesthetic kinds)が異なると別の美的性質をもつことになる〉点がポイントであるが、ポロックの絵画作品を例にこのことを説明するくだりが特にためになった。
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配置場所・貸出状況はこちらからご確認ください↓ https://opac.ao.omu.ac.jp/webopac/BB61677514
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美術館によく行く人、美的体験に興味がある人は読むと楽しめるかも(嫌な気持ちになる人もいるかも)な本。「どんなものでも、長々と見ていると美的に面白いところがでてくる」とかキラーワードが多い。
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タイトル通り、(抽象的な)美学の問題の一部を論じながら哲学的な思考のレッスンをするといった感じの本で、哲学入門したい人によいと思う。哲学分野でよく使われる概念(言葉)をていねいに説明してくれているので頭がよくなった感じがする(はずだ)。
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