ジューンドロップ の商品レビュー
なんだか可愛い響きだけど、ジューンドロップとは生理的落果。自ら弱い果実を切り離す現象。人間もまた要らない存在だと切り離されていってしまうのか。メイとしずく、傷付きながら、もがきながらも精一杯生きているさまが良かった。それにしても願いを込めてお地蔵様を縛るか…検索してみよう。
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“生理落果”。これをもって家族との[という]関係も再考させられる。ですますで語られていくしずくとタマキ。家庭あるいはその規範の圧を考えさせられた。伏線もはられて気になる小説だった。
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何というか、しんどい小説だった。 高校生のしずくの母親は不妊治療中。ときどき不安定になる母に気を使う父親。しずくも偏頭痛を抱え、発作の前にちかちかした光が見える。縛られ地蔵の前で出会ったメイは苦悩を抱え、しずく自身にも家族の秘密がある。 もう、読んでいて「?」がいっぱい出てきて...
何というか、しんどい小説だった。 高校生のしずくの母親は不妊治療中。ときどき不安定になる母に気を使う父親。しずくも偏頭痛を抱え、発作の前にちかちかした光が見える。縛られ地蔵の前で出会ったメイは苦悩を抱え、しずく自身にも家族の秘密がある。 もう、読んでいて「?」がいっぱい出てきて、それは結局はラストまでたどり着けば全部回収される伏線なんだけど、正直に言って地蔵の前に置かれた飴の描写やら何やらが退屈だし、しんどい。 ただ、メンタルが安定しない親とか、親の再婚とか、血のつながらないきょうだいとか、とても現代的な設定なので、とくに若い世代で共感する人は多いと思う。 タイトルのジューンドロップ。可愛らしい語感に込められた意味は重たい。人生を全うできずに亡くなっていく人たちのイメージが重なる。それが社会全体を存続させるための「生理的落果」なのだとしたら、その家族たちが苛まれる苦悩の意味はどこにあるのか、という重たい問いがある。 ひとつ気になるとしたら、しずくもメイもあまりにも自分を責めすぎだな。若いからしょうがないのかもしれないけど、自責はほどほどにして、もっと幸せに生きてほしいよ。
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伏線がすごく多い気がするけど少し難しいので2回読んでわかる物語かなと思った。 不妊治療や妹の死、親の自殺や再婚に偏頭痛と詰め込みすぎてる感じはあった。 しずくとタマキがだんだんと分かり合っていくところは良かったと思う。
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群像新人文学賞受賞作 ジューンドロップとは 6月頃、まだ若い果実が自然に落ちること。 着果過多などにより樹木そのものが弱るのを防ぐための現象。 縛られ地蔵の前で出会ったしずくとタマキ。 二人は家庭内の悩みを抱えている。 幼いまま落とされる果実は自分たちなのでは? あわ...
群像新人文学賞受賞作 ジューンドロップとは 6月頃、まだ若い果実が自然に落ちること。 着果過多などにより樹木そのものが弱るのを防ぐための現象。 縛られ地蔵の前で出会ったしずくとタマキ。 二人は家庭内の悩みを抱えている。 幼いまま落とされる果実は自分たちなのでは? あわんかったーーーー。 若い!と思った。 何が?と聞かれたら なんだろ? いや、わたしが歳をとっただけか? しずくの気持ちも文章もうまく入ってこなかった。 これは他の方のレビューを読むべし!! わたしは全然うまく伝えられないっす
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最後まで読んだあと、「全てを知った上でもう一度読み返した方がいい。つま先から毛先までどっぷりと浸かりたい」と思った。これは2回目を読んでの感想です。 冒頭の「やっぱり6月は嫌な月です。」から始まる嫌な理由の中で、「あなた」の部屋からくすねた万年筆もウォークマンも偏頭痛の前兆も全て入っていて、この時点で読み返してよかったなと思った。 ここで、万年筆のことをペンと表記することで、年頃の女の子が無くしたもののイメージがつくのも上手な表現だと思う。 1/10の選択を下すことで、タマキ(メイ)と出会うしずく。 この偶然としか言えない選択も、私たちはすることがある。(少なくともわたしはそういう気分になる時がある) それで出会えたというのをわざわざ「1/10を選択した」というのが素敵だと思う。運命とか、偶然とかを表現してると思うから、好き。 柿の木の下の縛られ地蔵。ここにしずくは昔、妹が産まれませんようにと頼んだ。 多分、「あなた」と母が写っているのもこの場所。お地蔵様は「死んだ人を守ってくれるありがたい神様」だった。母は、「あなた」に祈りに行ったのでは?と思った。勘ぐりすぎかもしれない。 「あなた」のウォークマンに入っていたオズの魔法使いのオーバーザレインボー。虹の向こうへ。 私もしずくちゃんと同じで、オズの魔法使いを見たことがないから色々調べた。 (大雑把に要約すると)、虹の向こうには何でも夢が叶う国があって、悩みもレモンドロップのように溶けるそんな場所に僕は行くんだ…というものだった。 オズの魔法使いでは希望の歌?のようなイメージであるらしく、前進した先であなたに会えなくてもきっとまた会える、大丈夫といった意味らしい。お気に入りの歌だったようだ。 「あなた」は自殺したのもあって、なんだか死んだら楽になれると思っているように、死んだ先で母と娘を待っているような気がする。 きっとしずくちゃんも同じように感じたことがあって、最後に濁流のようにあなたへの気持ちを全部吐き出したんだろうな…と。「全ての繋がりを断ち切って、一人楽になろうとした。死後の世界があるなら貴方は地獄に落ちるんだ」と。 この歌は最初、「あなた」の思い出として。次に歌詞が出てくる時は、タマキを連想して登場する。 ぐずついた天気は母の機嫌?気持ち? ガード下の表現とか、まだまだ深堀できそうな所がある。まだ書ききれていない。また読み返したい。
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植物の生理落果と人の命。ところどころ出てくる「あなた」が誰だかわからず途中モヤモヤしたが、終盤でスッキリ。しずくが小さなうちに自ら命を絶った父、不妊治療に悩む母、妹弟が出来たら自分に親からの愛情がなくなってしまうのではと不安なしずく、事故で妹を亡くして後悔するメイ、みんな人の生死に思いをもつ人たち。植物なら確かに自然落果は起きてしまうし、生存戦略の一つだけど、人の命だったら同じようには考えられない。そこが植物と人間の差なのでしょうか?
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語り口調で淡々としているけど読みやすくてサラッと読めました。 不妊治療失敗の母を抱えるしずく、事故によって妹を失ったタマキ。それぞれ多感な時期の女の子たちが描写されていて深い。 難しい時期の女の子2人が分かり合うところも素敵だなと。こうやって特別な友人を作れるのは学生時代ならでは...
語り口調で淡々としているけど読みやすくてサラッと読めました。 不妊治療失敗の母を抱えるしずく、事故によって妹を失ったタマキ。それぞれ多感な時期の女の子たちが描写されていて深い。 難しい時期の女の子2人が分かり合うところも素敵だなと。こうやって特別な友人を作れるのは学生時代ならではかな。大人になると意外と同じ年のお友達ってできないしね。お互いの痛みや辛さ、もちろん喜びも嬉しさも分かり合える友達って大事だな。
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