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観光客の哲学 増補版 の商品レビュー

3.8

12件のお客様レビュー

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2024/05/25

早熟な中学生の読書ブログみたいな内容に驚いた。古今東西、古往今来の哲学者・人文学者の名を挙げ、薄っぺらい内容の思いつきが縷々述べられている。よくこのレベルで哲学と銘打って本出せるよ。 状況に対して瞬発的になにか言ってみせるのは得意だけど、哲学的な深い内容は書けないんだね、この人。

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2024/04/30

分断が進み、友―敵しかないような現代にあって、いかにして連帯は可能か。ポストモダンの動物化のなかで、どうしたら人間でいられるか、社会を少しでもましにできるか。実に現代的な課題に、まじめに向き合ってゲンロンを展開する。そのベタな姿勢には称賛しかない。あとは、この観光客的な連帯を、ど...

分断が進み、友―敵しかないような現代にあって、いかにして連帯は可能か。ポストモダンの動物化のなかで、どうしたら人間でいられるか、社会を少しでもましにできるか。実に現代的な課題に、まじめに向き合ってゲンロンを展開する。そのベタな姿勢には称賛しかない。あとは、この観光客的な連帯を、どう実装するかだ。

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2024/04/08

連帯はしないが、たまたま出会ったひとと言葉を交わす、という観光客的な関係性。他者の絶対的な排除でもなく、完全な開放性でもなく、そのあいだの状態が実際に現実にダイナミズムを与えている。積極的にそうあろうと振る舞える環境、偶然性による出会いが多発するような環境はどうしたら作れる? ...

連帯はしないが、たまたま出会ったひとと言葉を交わす、という観光客的な関係性。他者の絶対的な排除でもなく、完全な開放性でもなく、そのあいだの状態が実際に現実にダイナミズムを与えている。積極的にそうあろうと振る舞える環境、偶然性による出会いが多発するような環境はどうしたら作れる? “ひとは一般意志のためには死ななければならない” “死の可能性のないところに政治はない” デモ活動のテーマのために、死ぬことができるか? 確率によって運命が決められる局面が確かにあるという「郵便的不安」。これが身近な存在であるということは普通ではない?

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2024/02/26

旧版以来の再読。旅行記や観光ガイドではない。観光客という概念を打ち立て、そこから世界(政治や思想)を組み立て直す、その道筋を示す書。生活の場ではない観光の多くは偶然の出会いだ。本来繋がりを持たない偶然性こそに新たな可能性を見出すことは、膠着化した社会を打開する手掛かりと成り得る。

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2024/02/23

リベラリズムが力を失い、グローバリズムすなわち市場経済で動物化している思考とナショナリズムすなわちコミュニティにあって自我を確立する思考とが同時に成立する中で、観光客的に無責任に個がつながって信頼関係を作るのが分断を乗り越えるのに大事という話、と理解した。話がいろいろ広がるので他...

リベラリズムが力を失い、グローバリズムすなわち市場経済で動物化している思考とナショナリズムすなわちコミュニティにあって自我を確立する思考とが同時に成立する中で、観光客的に無責任に個がつながって信頼関係を作るのが分断を乗り越えるのに大事という話、と理解した。話がいろいろ広がるので他のポイントは掴みきれてないけど、上記の話は納得する。これから読む訂正可能性の方が気になっているので楽しみ。

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2024/02/12

観光客=誤配=他者といった認識。 意図しない偶発性が生み出す関係に基づく、グローバリズムとナショナリズムの二者択一ではなくて、新しいアイデンティティを。そこには政治的なや経済的なつながりではなく、「憐れみ」のような感情的なものに促される連帯がある。 過去の哲学者や事象による思...

観光客=誤配=他者といった認識。 意図しない偶発性が生み出す関係に基づく、グローバリズムとナショナリズムの二者択一ではなくて、新しいアイデンティティを。そこには政治的なや経済的なつながりではなく、「憐れみ」のような感情的なものに促される連帯がある。 過去の哲学者や事象による思想を乗り越えようという試みは、哲学入門書を読んでいるだけでは味わえない生の哲学という感触で読み応えがある。同時に、過去の思想に(著者の解釈を織り込んであるだろうが)も多角的に触れることができるのは個人的に有益。ここから興味の幅が広げることができるのさ。 姉妹編「訂正可能性の哲学」も早速読み始めよう。

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2024/01/14

私が東浩紀の著書を読むのは20年弱ぶりであり、前に読んだのは学生時代の専門の基礎演習で扱った『動物化するポストモダン』であった。同書はサブカルチャーを題材にするというテーマのポップさ(だが内容自体は決してポップなものではない)もあり、著者の著書の中では広範に読まれたものの1つでる...

私が東浩紀の著書を読むのは20年弱ぶりであり、前に読んだのは学生時代の専門の基礎演習で扱った『動物化するポストモダン』であった。同書はサブカルチャーを題材にするというテーマのポップさ(だが内容自体は決してポップなものではない)もあり、著者の著書の中では広範に読まれたものの1つでると思われるが、私自身は同書で扱われるアニメなどの分野にほとんど関心がないこともあり、正直、印象には残らなかった。 一方で、近年彼が事業家として株式会社ゲンロンを設立し、音楽におけるインディーズレーベル運営のような形で言論活動を行なっている点には関心を持っていた。それは思想家のようなビジネスから最も遠くかけ離れたであろう人種がそうした活動を行なっているというユニークさにあるし、思想という決してカネにはならない領域で事業を行なっていくことの本気さを感じていたからである。 前置きが長くなってしまったが、本書は2017年にゲンロンから出版された同書の増補版であり、巻末に2つの論考が収録されている。 本書のテーマは”観光”という行為、そして”観光客”という主体をこれまでとは全く異なるポジティブな可能性をもたらすものとして再照射している。その可能性とは何か。それは、政治学者カール・シュミットの主張にもあるような「敵か味方か」という二元論、ひいてはそれがもたらすような社会の分断に対して、そのどちらでもないような存在として機能するからである。 一方で、”たかがちょっとした観光でその国・地域のことなんてわからない”というような批判に表れているように、観光という行為や観光客という存在には、どうしても物事の本質を理解しきれないというような中途半端さに対するネガティブイメージもある。しかしながら、自らが過去に行った観光を思い出せば明らかなように、当地を訪れて人々や文化に触れることで、確実に変化する何かがある。それは本質がどうのこうのという側面よりも遥かにプラグマティカルで実利的な変化である。 本書の第2部は、”観光”という行為の意味合いをさらに推し進め、柄谷行人の近年の仕事(『世界史の構造』など)で展開される「贈与」・「収奪と再分配」・「商品交換」という3つの交換様式に次ぐ第4の交換様式として「贈与の高次元での回帰」をひきながら、”観光”がこれに該当する、という視点からさらなる論を展開する。が、第2部については著者自らも未完成であることを述べているように、第1部に比べて議論がまとまっているような印象はない。 個人的に、”観光”というプラグマティックな実利的行為から現代社会を問い直すという著者の基本姿勢には全面的に賛同するし、高い知的興奮を覚えた一冊である。

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2023/12/10

4章 二層構造 が見事。 人間の層、政治、理性、ナショナリズム 動物の層、経済、欲望、グローバリズム の対比と「共存」の時代という認識。 順番を違えて、訂正可能性の哲学から読んでしまったが、確かに訂正可能性の哲学で本書はひとまとまりの結論を出すつくりになっていた。 第6章の家...

4章 二層構造 が見事。 人間の層、政治、理性、ナショナリズム 動物の層、経済、欲望、グローバリズム の対比と「共存」の時代という認識。 順番を違えて、訂正可能性の哲学から読んでしまったが、確かに訂正可能性の哲学で本書はひとまとまりの結論を出すつくりになっていた。 第6章の家族以降が軽快、発散的。その分、骨太さはない。

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2023/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

哲学書ながら読みやすい一冊だった。グローバリゼーションとナショナリズムの狭間でどう生きるのか。経済的に結び付きゆく世界の中で、自分と他者の壁をどこに設定するのか。難しい問題について考えさせられた。 ゆるく生きる、というのとは少し異なる気がするが、概ね筆者の意見には納得した。ナショナリズムに限らず、例えば会社をとっても、多様な働き方があるいまの時代、一つの組織や集団への帰属意識は不安定なものになりつつある。そこで大切なのが観光客としてのコミュニケーション、つまりすべてが繋がっていることを許容しながらも、自己と他者の境目をなんとなく意識すること。そして他者の認識は100%そのものを理解していると認識せず、見えているのは一部=誤配でしかないことを認め、そのなかで他者理解に努めること。様々な物事について、この考え方は適用できるのではないかと感じた。 100%理解できたとは思えず、また再読したい。

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2023/08/15

この本は、哲学は決して高尚な取っつきにくい学問ではなく、身近で面白いものなのだということを、読みやすい文章で示してくれている。図らずもコロナ禍を経て「観光客」というキーワードが、初版の時以上に意味を持つようになった。「親」として生きることに対するメッセージが深い。カラマーゾフの兄...

この本は、哲学は決して高尚な取っつきにくい学問ではなく、身近で面白いものなのだということを、読みやすい文章で示してくれている。図らずもコロナ禍を経て「観光客」というキーワードが、初版の時以上に意味を持つようになった。「親」として生きることに対するメッセージが深い。カラマーゾフの兄弟を再読せねばと思う。 「訂正可能性の哲学」が大変楽しみである。

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