かくて謀反の冬は去り の商品レビュー
著者の受賞インタビューで、石川博品さんの耳刈ネルリを読んで面白く感じたので、小説を書こうと思ったという発言があったのが、本書を読むきっかけでした。 読んでみて、確かに「非実在異国」情緒があふれている点では、耳刈ネルリと類似しているように感じます。 お話は全然似てませんが、キャラ的...
著者の受賞インタビューで、石川博品さんの耳刈ネルリを読んで面白く感じたので、小説を書こうと思ったという発言があったのが、本書を読むきっかけでした。 読んでみて、確かに「非実在異国」情緒があふれている点では、耳刈ネルリと類似しているように感じます。 お話は全然似てませんが、キャラ的にいえば、ネルリ(異民族出身で非常識かつ強い)のポジションにいるのが熊ですね。 あと、石川博品さんの最新刊のタイトルが「冬にそむく」なのですが、これは偶然の一致なのでしょうか。 優しくもあり非情でもある主人公、奇智彦の暗躍がこれからも見られるのか、続刊を楽しみに待ちたいと思います。
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「○○な話が出るよ!」のTwitter宣伝から詳細な(あるいは公式な)あらすじを拝見した時に「ええっ」と思ったんですが、実物を読んで2度びっくり。 確かに言われてみれば初めの宣伝にもあらすじにも嘘はないんですけど、よくぞここまで読者の想像を裏切ってくれたなー!といい意味で歯軋りし...
「○○な話が出るよ!」のTwitter宣伝から詳細な(あるいは公式な)あらすじを拝見した時に「ええっ」と思ったんですが、実物を読んで2度びっくり。 確かに言われてみれば初めの宣伝にもあらすじにも嘘はないんですけど、よくぞここまで読者の想像を裏切ってくれたなー!といい意味で歯軋りしています。 でもなによりびっくりしたのはその文体と世界観。 世界観以外のあらすじをどれだけ丁寧に説明しても「古色蒼然とした図書館で借りてくる本」みたいな文体を想像しそうなものですが、実際の文章はびっくりするほどライト。 ……と見せかけて小野不…先生や京極夏…先生的な漢字の圧がある…………と見せかけてやっぱり一周回ってライト。ルビの量も実にライトノベル的でにこにこしてしまいました。 本当に何重にも驚く小説を読ませていただきました。 この秋くらいに続刊予定とのことですが熊はどうなるのかなぁ。
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- ネタバレ
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いやあ面白かった。 宮廷陰謀劇とでも言えばいいのだろうか。 和洋ごちゃ混ぜの架空の世界の王国で、身体障害を持つ王弟奇智彦が直面する兄王の死という青天の霹靂。 自分に降り掛かる暗殺の嫌疑。 そこから始まる彼の策略。 なかなか読み応えがあった。 巧みなのはその構成。 前半ずっと奇智彦視点で物語が進むのに、彼が生き残る覚悟を決める、つまりは陰謀の覚悟を決めるや、その後の視点はずっと彼以外の人になり、彼の真の狙いや心の中は読者も分からない状況に追い込まれる。 だからこそ陰謀劇のゆくへに驚きもカタルシスもあるのだ。 ラストのどんでん返し的真相もその展開にゾクゾクして実にこの物語らしかった。 個人的に一つ残念なのは荒良女の扱い。 あれだけ華々しく登場し存在感も抜群で本書のタイトルイラストにもなっているのに肝心なところでほとんど活躍がない事。 陰謀劇と言う性格上、荒事は向かないのはわかるけれどもう少し彼女を活かした展開が欲しかった。 それにしても奇智彦は優しい。 結局彼は誰一人殺していない。 摂政殿下の治世に幸いあれ!
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こりゃまた特徴的なお話だったなと。登場人物だけラノベ風にした、大河ドラマみたいな印象。この作品を出版できるの、ガガガ文庫ぐらいで無かろうか。 一言で言えば、日本からヨーロッパ、はたまた古代ローマまで、世界観がごちゃまぜになった王位継承戦争の物語。 陰謀が渦巻く王位を巡る争い、そし...
こりゃまた特徴的なお話だったなと。登場人物だけラノベ風にした、大河ドラマみたいな印象。この作品を出版できるの、ガガガ文庫ぐらいで無かろうか。 一言で言えば、日本からヨーロッパ、はたまた古代ローマまで、世界観がごちゃまぜになった王位継承戦争の物語。 陰謀が渦巻く王位を巡る争い、そしてその結末に向けての策略が主軸に置かれたお話。それぞれの軸の絡まり具合が絶妙で、結末は中々に唸らせてくれるものであった。 ただ、特殊な当て字の漢字が沢山用いた情報量の詰まった文章で話が展開してく事もあり、かなり好みが分かれる作品であろう。
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