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ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら の商品レビュー

4.4

9件のお客様レビュー

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2025/12/15

著者はツキノワグマの研究者。森林生態系における植物-動物間の生物間相互作用にも注目している。 これまでにも、クマや生態系に関連する著書も何冊かあるとのことだが、本書はタイトルからも窺えるように、専門的過ぎず、ごく読みやすい。著者の研究人生奮闘記である。 研究者といっても、著者は...

著者はツキノワグマの研究者。森林生態系における植物-動物間の生物間相互作用にも注目している。 これまでにも、クマや生態系に関連する著書も何冊かあるとのことだが、本書はタイトルからも窺えるように、専門的過ぎず、ごく読みやすい。著者の研究人生奮闘記である。 研究者といっても、著者は、実験室に籠って実験に没頭するタイプでも、理論を組み立てて難問を解決しようとするタイプでもない。野生動物を追うフィールドワークだ。そして追う対象はクマである。 近年、特に今年は、クマの人身事故が相次いでいるが、著者がクマの研究を始めたころは、これほどクマが人里に出てくることはなかったようである。人里どころか山でクマを見つけるのもかなり大変だったようだ。 研究対象としてツキノワグマを選び、食性を調べるために糞を拾うことにしたものの、その糞がなかなか見つからない。山の中で、藪を漕いで歩き回っても見つからない。 猟友会の人やクマに詳しい他の学生などに出没しやすい場所を聞いたり、クマが木の実を食べるときにできるクマ棚(熊が折ったり曲げたりして棚状になった樹木の枝)を教えてもらったりしてようやく初めて糞を見つける。以後、クマの気持ちを想像して探すようになるとおもしろいほど見つかるようになる。 糞を拾うだけではなく、クマの本体を捕獲して発信機をつけ、行動を探るという研究もある。著者が学生の頃(おそらく2000年前後)は今のようにGPSが使用できないので、電波発信機が使われていた。まずドラム缶で作った罠でクマを捕獲し、発信機をつける。ここから生じる電波を捉えてクマの居場所を探るわけだが、巨大なアンテナが必要でしかも精度が低い。アンテナは方向しかわからないため、3ヵ所以上でアンテナを振ってどの辺にいるかあたりをつける。しかし、相手は生き物だ。当然移動するわけである。クマの移動速度はかなり速く、ヒグマの全速力は時速50km以上というから、ツキノワグマもそれほどではないとしても相当なものと思われる。山岳地帯では電波が崖で反射して、実際にはクマがいない方向から電波が飛んできたりする。 近年はGPSが使えるようになり、カメラも高性能化・小型化されてきているため、このあたりは楽にはなったのだろうが、それにしても野生動物を追いかけるのは大変なことである。 クマの糞を調べるとさまざまな植物の種子が出てくる。クマは森の種子散布にも一役買っているようなのだが、さて、それを突き止めるために著者がどうしたか、といった話も興味深い。 本書の発行は2023年。著者の若い頃の話が中心であることもあって、昨今のクマ被害の深刻さと比べると、いささかのどかな印象を受ける。タイトルからして不謹慎に感じる向きもあるかもしれないが、当時としてはあまり知られていない野生動物のフィールドワークにまずは親しみを持ってもらおうという意図だったのではないかと思う。 本書中には「ツキノワグマは生きた人を襲って食べることはまずない」といった記述もあるのだが、今年の被害状況ではそうとも言い切れない感じがする。いずれにしろ、今後、里に出てくるクマが多くなれば、人身事故は増えていくだろう。 今年の漢字が「熊」になったのには少々驚いたが、確かにクマが世を騒がせた年ではあった。 クマは身体能力も高く、力も強い。クマから見たら軽く引っ搔いた程度でも、人が重傷を負うこともある。対する人間側では駆除しようにも猟師の数も減り、高齢化が進んでいる。 クマと人が出会わないように緩衝地帯を設けるのも一案だろうが、一朝一夕では難しいだろう。 12月に入ればクマは冬眠するのではという話もあったが、まだクマの目撃情報は続いている。また、冬眠していったん落ち着くにしても、来年・再来年がどうなるのか予断を許さない状況だろう。 その中で、著者ら、研究者の知見がどのように生かされていくのか、注目していきたいと思う。

Posted byブクログ

2025/10/11

タイトルのままの調子で、クスッと笑いながら、楽しく読みやすい。それでいて、クマさんをはじめ、他の生き物たち、森、生態系と専門的なことに触れることのできる一冊。 クマが住宅地に出没して「恐ろしいもの」との報道されている今だからこそ、この本を読んで、同じ日本に住む者として、クマさんの...

タイトルのままの調子で、クスッと笑いながら、楽しく読みやすい。それでいて、クマさんをはじめ、他の生き物たち、森、生態系と専門的なことに触れることのできる一冊。 クマが住宅地に出没して「恐ろしいもの」との報道されている今だからこそ、この本を読んで、同じ日本に住む者として、クマさんの気持ちに寄り添ってみるのも大事だと思う。

Posted byブクログ

2025/08/09

著者の大学時代~現在にかけての研究の歴史みたいなのが書いてある。 研究者ーー!って感じではなく、始まりは楽しようとしたんだけど、そのためのクマのうんこ見つけが以外に手間取った+「種子運んでるんじゃないか?」の当人以外の盛り上がりなんかで、かなり大変で、でも楽しい。のような内容が...

著者の大学時代~現在にかけての研究の歴史みたいなのが書いてある。 研究者ーー!って感じではなく、始まりは楽しようとしたんだけど、そのためのクマのうんこ見つけが以外に手間取った+「種子運んでるんじゃないか?」の当人以外の盛り上がりなんかで、かなり大変で、でも楽しい。のような内容が読んでて特に面白かった。 学問を全然分からない人にも伝わるような、わかりやすい説明、文体なので、私でも楽しめました。 タイトル、研究、この人がどんな人かなど、興味があればちらっと見てみることをお勧めします!!

Posted byブクログ

2025/03/23

<目次> 第1章  ウンコを集めて卒論を書く 第2章  俺はクマレンジャー 第3章  先生!!研究がしたいです… 第4章  激闘!クマ牧場 第5章  タネをまくクマ 第6章  海外武者修行の旅 第7章  クマ研究最前線 第8章  クマさんのウンコと森を想う <内容> ツキノワグ...

<目次> 第1章  ウンコを集めて卒論を書く 第2章  俺はクマレンジャー 第3章  先生!!研究がしたいです… 第4章  激闘!クマ牧場 第5章  タネをまくクマ 第6章  海外武者修行の旅 第7章  クマ研究最前線 第8章  クマさんのウンコと森を想う <内容> ツキノワグマ研究者の半生記。地道な研究の様子が少しコミカルな文章と共に見られる。それにしても著者の執念というか辛抱強さには敬意を表する。そして諦めない心!自然相手の研究は今の日本の風潮とは真逆な方向性なのだが、こうした地道な研究が積み重ねられて、近くはニュースになっているクマ被害対策、遠くは林業や自然保護の流れが作られていくはずだ。第8章は控えめながら、日本の将来について痛いところを突いている。

Posted byブクログ

2025/01/18

タイトルにひかれて手にした本書。 熊のウンコから、熊の生態や行動を分析していく研究者が書いた、今まで経験してきたエピソードをコラムにしたもの。 面白かった。世の中には知らない事がいっぱいですね。熊は、最近住宅地まで来て迷惑な存在としての認識が強かったけど、本書をみて考えを改め...

タイトルにひかれて手にした本書。 熊のウンコから、熊の生態や行動を分析していく研究者が書いた、今まで経験してきたエピソードをコラムにしたもの。 面白かった。世の中には知らない事がいっぱいですね。熊は、最近住宅地まで来て迷惑な存在としての認識が強かったけど、本書をみて考えを改めた。種子散布者としての役割、ナイス! フィールドワーク的研究は体力勝負だと身をもって教えてくれた。

Posted byブクログ

2025/01/14

●環境学生委員会推薦コメント● 本書では、著者が大学生時代から始めた「クマの種子散布」の研究について、始めた経緯から成果までの話がまとめられています。著者が何をきっかけにして「クマのウンコ」を追いかけ、なぜ「クマのウンコ」を研究題材にして教授になったのか等、読みやすくまとめられて...

●環境学生委員会推薦コメント● 本書では、著者が大学生時代から始めた「クマの種子散布」の研究について、始めた経緯から成果までの話がまとめられています。著者が何をきっかけにして「クマのウンコ」を追いかけ、なぜ「クマのウンコ」を研究題材にして教授になったのか等、読みやすくまとめられています。ツキノワグマのことはもちろん研究者の心情や苦労なども盛り込まれた一冊です。 ●農学部図書館の所蔵はこちらです● https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD0285386X

Posted byブクログ

2023/09/29

2023/09/29 面白かった! 読みやすいので中二の娘にもおすすめして読ませてみようと思う。 将来を迷ってる、勉強ってなんでしなくちゃいけないのかなと思っている中学生にぜひおすすめしたい。

Posted byブクログ

2023/09/15

読みやすくて面白い!クマもウンコもなくてはならないもの。生き物が多様に関わり合い、生態系を成していく様はなにが欠けてもダメなんだと改めて認識させられる。私はヒグマの方が興味あるが、ツキノワグマもなかなか面白いなあ〜

Posted byブクログ

2023/08/31

ツキノワグマのウンコを拾って25年、地道で気の遠くなるような研究の労力に感服、その情熱はハンパではないと感じた。研究の骨子はクマの糞による種子散布。ドングリなどを食べて糞の中に未消化のまま残った種子が芽を出し、究極的に森林を形成するという理念。更には森の生態系と野生動物の繁栄を訴...

ツキノワグマのウンコを拾って25年、地道で気の遠くなるような研究の労力に感服、その情熱はハンパではないと感じた。研究の骨子はクマの糞による種子散布。ドングリなどを食べて糞の中に未消化のまま残った種子が芽を出し、究極的に森林を形成するという理念。更には森の生態系と野生動物の繁栄を訴える。クマを増やさないことではなく、山からクマを出さないことが大切であり、クマと人間が干渉せずに住み分ける生態系保全の構築を唱える。ハチミツを餌にドラム缶の罠に何度も入っている同じクマに親しみを感じた。

Posted byブクログ