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検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? の商品レビュー

4.1

97件のお客様レビュー

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2024/06/16

冒頭にも述べられているが、結局「良い」の定義がないままナチスがしたことは良いことではない、という結論で話が進んでいる気がした。 著者の意見が多様に含まれており、「ナチスがしたことは良いことではない」の説得力に欠ける印象を持った。(現代の価値観からすると「良い」と言えないことは感覚...

冒頭にも述べられているが、結局「良い」の定義がないままナチスがしたことは良いことではない、という結論で話が進んでいる気がした。 著者の意見が多様に含まれており、「ナチスがしたことは良いことではない」の説得力に欠ける印象を持った。(現代の価値観からすると「良い」と言えないことは感覚的にはわかるが) 良い悪い、はとある時代ととある限られた共同体の価値観だから論述するのが難しく感じた。

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2024/05/30

その政策は、どんな文脈でどんな目的で行われ、どんな結果をもたらしたのか。望遠鏡的視点に陥らないようにしたい。

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2024/05/12

・失業対策や家族政策、アウトバーン建設など、ナチスの政策の中で良いことと言われることもある政策。判断するためには、事実を押さえることはもちろん、オリジナル性やその目的、背景もきちんと理解することが必要。そうすれば決して評価できないとの論評。事実だけでなく解釈の重要性を認識 ・...

・失業対策や家族政策、アウトバーン建設など、ナチスの政策の中で良いことと言われることもある政策。判断するためには、事実を押さえることはもちろん、オリジナル性やその目的、背景もきちんと理解することが必要。そうすれば決して評価できないとの論評。事実だけでなく解釈の重要性を認識 ・事実、解釈、意見という三層構造は、歴史的思考力の前提としていよいよ重要になる。事実から意見へと飛躍することの危うさは、何度でも指摘しておく必要がある。意見を持つことはもちろん自由だが、それはつねに事実を踏まえた上で、解釈もある程度はおさえたものでなくてはならない。

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2024/05/10

部分だけ切り取って「良い」とか「悪い」とか判断する事の意味のないことを改めて感じる。ちゃんと部分の話もしつつ政策の意図や歴史意識にも触れて語られる文章は読みやすく理解しやすかった。

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2024/04/25

丁寧にならずもの国家たるナチスを検証した書籍。各種政策の良いと言われる面と実態に触れ、経済浮揚やアウトバーン、自然保護や健康増進などを解説。 オリジナルなものはなく、組み合わせというものばかり、そこに問題がなくとも通底するのは包摂と排除。メリットを享受しうる対象は"一般...

丁寧にならずもの国家たるナチスを検証した書籍。各種政策の良いと言われる面と実態に触れ、経済浮揚やアウトバーン、自然保護や健康増進などを解説。 オリジナルなものはなく、組み合わせというものばかり、そこに問題がなくとも通底するのは包摂と排除。メリットを享受しうる対象は"一般的"ドイツ人、そしてそれ以外はどうなった? 物事は一面だけ切り取るのではなく文脈・背景含めてでなければ見誤ると言うことかと思う。

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2024/04/22

定期的に繰り返される「ナチスは良いこともしたのだ」という発言や主張に対して、そんなわけないじゃん、で片付けるのではなく、歴史学の手法で丁寧に反証していく。 ある「事実」を、文脈や全体像、目的、背景までを視野に入れて捉え、「解釈」すること。そこから自分の「意見」を持つこと。それが...

定期的に繰り返される「ナチスは良いこともしたのだ」という発言や主張に対して、そんなわけないじゃん、で片付けるのではなく、歴史学の手法で丁寧に反証していく。 ある「事実」を、文脈や全体像、目的、背景までを視野に入れて捉え、「解釈」すること。そこから自分の「意見」を持つこと。それが「歴史的思考力」を養うことでもある。 ここで示される検証方法は、「歴史的思考力」とは何か、どうやって思考すればよいのかを知る手掛かりとなると思う。

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2024/04/15

ナチスの良い政策を一つ一つ否定した本。内容が主観的で、あたかも学術的な論述のようでいて全く論理的ではなく説得力がない。結局、ナチスは絶対悪であるので良いことのように見えても認められないとの論調で一貫している。全ては「左翼弾圧」政策をとっていた欧米諸国と同じく、より強硬であったナチ...

ナチスの良い政策を一つ一つ否定した本。内容が主観的で、あたかも学術的な論述のようでいて全く論理的ではなく説得力がない。結局、ナチスは絶対悪であるので良いことのように見えても認められないとの論調で一貫している。全ては「左翼弾圧」政策をとっていた欧米諸国と同じく、より強硬であったナチスに反感をもっている左翼思想の研究者なのだと思えてしまう。ナチス勢力のピークは1940年だと思うが、その黎明期の1932年ごろのまだ影響力のない頃のナチスと1938年では、国民の人気と信頼感が全く違うのに、うまく使い分けてナチス政策を否定している。経済政策の批判も的外れな点が見受けられ、全く参考にならない残念な書籍であった。イアン・カーショー著『ヒトラー(上下)』もヒトラーに批判的な論調ではあるが、上下巻それぞれ1000頁にもわたり真摯にナチスの政策を明らかに記載していたと思う。論調が異なるのはなぜだろうか。 「ナチスは「絶対悪」であり、そのことを相互に確認し合うことが社会の「歯止め」として機能しているのである」p3 「善悪を持ち込まず、どのような時代にも適用できる無色透明な尺度によって、あたかも「神」の視点から超越的に叙述することが歴史学の使命だと誤解している向きは多い。端的に言ってそれは間違いだし、そもそも不可能である(これは正しい考えだと思う)p5 「ヒトラーに優しい心があったとしても、それはユダヤ人虐殺を命じた事実を否定する根拠にも、免責する理由にもなり得ない」p31 「恐慌にあえぐアメリカを尻目にいち早く経済を回復させ、完全雇用を実現したドイツの経済体制は、民主主義・自由主義的な資本主義体制よりも、国家が介入する統制経済体制の方に理があるように思われた。だが以上に見たように、その実態は過剰な財政支出に基づく軍需経済で、破綻の危機と紙一重の、いわば綱渡りの体制だった(この指摘は誤り)」p51 「ヒトラーは政権を握るとすぐに左翼政党や労働組合の弾圧・解体に乗り出し、それに代わるナチ的な労働組合組織の設立に着手した(米国を始め各国で行われた反共の当時の当たり前の政策)」p61

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2024/04/14

一つ一つ冷静に検証・事実を抑えにいっているのは面白かった。 がやはり気になるのは、どうして「ナチスはいいことをした」と声高にいう人々が出るのか、彼ら彼女らの心理というものをもう少し解明する本読みたいなあという(この本とは趣旨が違うので、この本に求めているわけではないのですが)。た...

一つ一つ冷静に検証・事実を抑えにいっているのは面白かった。 がやはり気になるのは、どうして「ナチスはいいことをした」と声高にいう人々が出るのか、彼ら彼女らの心理というものをもう少し解明する本読みたいなあという(この本とは趣旨が違うので、この本に求めているわけではないのですが)。ただその心理を解明しても、そういう人々は見たい世界を見ていることも多いので、別に対話できるわけでもないんですが…難しい

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2024/04/08

ナチスは良いこともしたのか?著者の意見は著者自身の「三十年くらいナチスを研究してるけどナチスの政策で肯定できるとこないっすよ」というツイートに集約されているといってよいだろう。この本の中でも、よく言われるナチスがやった「良い政策」が本当はどんな物だったかをあらわにしていく。 ただ...

ナチスは良いこともしたのか?著者の意見は著者自身の「三十年くらいナチスを研究してるけどナチスの政策で肯定できるとこないっすよ」というツイートに集約されているといってよいだろう。この本の中でも、よく言われるナチスがやった「良い政策」が本当はどんな物だったかをあらわにしていく。 ただ「良いこと」とはなんなのかという価値の問題は簡単に測れないのも事実だと思う。ある政策が実際は他の国でも行われていてナチスのオリジナルではない、というのは良い悪いには関係ないように思えるし、戦況が悪化して最初に言っていた政策が実行されなかったというのはどう評価すべきか、とも思う。 ナチスが作ろうとしたアーリア人のドイツに含まれる人にとっては受け入れられる政策であったのだろう。異民族を暴力的に排除する歪んだ社会を希求したのは、第一次世界大戦が共産主義とユダヤ人によって背後から刺されたため悲惨な敗戦に終わったという歪んだ認識がヒトラーはもちろんドイツ人の中にもあったことが背景にはあったのではないだろうか。そのドイツ人達にとっては古き良きドイツを取り戻すナチスは全体としてはよい方向にこの国を向かわせている、と感じたのではないか。それがたとえユダヤ人の廃絶という絶対悪的な政策であったとしても。(もちろん公平な目で見ればこれは明らかに「悪い」ことなのだけど) 政策が結果として実を結んだのかという視点での「良いこと」とその時の国民の要求に合っている「良いこと」というのは違う物だろう。そういう意味ではなかなか簡単に「良い悪い」で言い切ることができないことが多いと思う。 読みやすさは評価したい。

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2024/03/30

正直、ナチスは良いこともしたと思っていた側の人間だった。 そこに対してしっかりと反証を持ってきて、全部プロパガンダだよと突きつけてくれる素晴らしい本。 ナチスに限らずだが、歴史認識というものは本当に難しいし、「ナチスは実は良いこともしていた」という面白く刺激的なナラティブにはどう...

正直、ナチスは良いこともしたと思っていた側の人間だった。 そこに対してしっかりと反証を持ってきて、全部プロパガンダだよと突きつけてくれる素晴らしい本。 ナチスに限らずだが、歴史認識というものは本当に難しいし、「ナチスは実は良いこともしていた」という面白く刺激的なナラティブにはどうしても心惹かれるものがある。 こういった本がちゃんと出版されることに感謝。

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