正しく生きる の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大仰なタイトルですが、ケーズデンキを創業した加藤肇と彼のファミリー・ヒストリー。また、戦前から東日本大震災頃まで、市井の民として、どう感じ、どう動いたかも描かれています。 通信隊として終戦を迎え、加藤電機商会としてラジオの修理から創業。松下のナショナルショップへ加盟後、松下以外も扱う量販店へと拡大。ヤマダ電機とコジマの激安戦争「上州戦争」に、カトーデンキ販売(現・ケーズデンキ)も加わった「YKK戦争」を展開し、その後は、ヨドバシカメラ、ビックカメラといったカメラ群も加わった家電量販競争の歴史は、「そういえば、あった、あった」と思い返しました。そのなかにあっても、戦時中で兵士の命が粗末に扱われた経験から、社員に無用な無理をさせない「がんばらない経営」を掲げ、そのため、逆に全国からのFCの申し出で規模を拡大。 家電販売業界では「お客には三種類しかない」という言葉があるそうです。価格重視の「金に付く客」、続いて販売員重視の「人に付く客」、最後が「店に付く客」で、この順で客をつかむことが商売繁盛のコツだそうですが、読んでいると本当にそうだと思います。 内容は、創業者の社員重視の考えを中心にしたものであり、437ページの読後は「清涼感」という一冊です。
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