超新星紀元 の商品レビュー

3.2

25件のお客様レビュー

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2023/10/08

三体著者の初長編作。日本の読者は長編を逆の時系列で読むこととなった。 暗黒物質に阻まれ8光年の近距離にありながら、その存在を知られていなかった恒星が超新星爆発を起こし、地球上に満遍なく降り注がれた放射性物質により、13歳以下の人間しか生き残れないことが明らかとなる。全世界の大人た...

三体著者の初長編作。日本の読者は長編を逆の時系列で読むこととなった。 暗黒物質に阻まれ8光年の近距離にありながら、その存在を知られていなかった恒星が超新星爆発を起こし、地球上に満遍なく降り注がれた放射性物質により、13歳以下の人間しか生き残れないことが明らかとなる。全世界の大人たちはわずか1年で子供達へそれぞれの国の引継ぎを急遽行い死滅。後には子供達が自身で支配する国々が残った。子供達のみの世界は、その純真さと未熟さゆえに共同し平和的な世界運営がされるのではないかという楽観的な思いが西暦時代には期待されてもいたのだが…。実際には彼らは子供特有の残酷さを、思う存分発揮するのであった。 戦争についてかなりの枚数を使っているのが若干退屈ではあるが、その後の収束手続きもなかなか面白く、そのことにより後に起こったであろう大混乱も、著者の想像力で詳細に描いて欲しかった。 戦争時代の常任理事国に理事国中では極端に軍事力が脆弱な日本が入っていたことに違和感があったが、冷兵器ゲームの発案をさせる為だったようだ。まぁ確かにそれは日本が最適であろうけど。しかし実戦であれだけ準備した日本刀が使われなかったのは謎である。

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2023/09/30

風呂敷ではなく魔法の絨毯だ  こどもたちだけの世界になる。潤沢な生活が送れる日常からゲームへ、戦争へ。ここまでは多少の眉唾を感じながらも、「こども」の理解が深いことに驚きながら読み進めることができた。「エンダーのゲーム」を思い起こしながら。  そこからの展開が、まさに風雲急だ...

風呂敷ではなく魔法の絨毯だ  こどもたちだけの世界になる。潤沢な生活が送れる日常からゲームへ、戦争へ。ここまでは多少の眉唾を感じながらも、「こども」の理解が深いことに驚きながら読み進めることができた。「エンダーのゲーム」を思い起こしながら。  そこからの展開が、まさに風雲急だった。少しダレてきた感じの戦争ゲーム終結からの展開は、風呂敷ならぬ絨毯をひろげたものだった。これには驚いたなぁ。  その狙いや効果についてあまり理解が追い付かなかったのは事実なんだけれど、着眼点というかゲームの延長としての発想に、純日本人である私は驚愕したわけだな。地や血が知を上回るという島国感情かなぁ。  ラストはほぼ想定通りで、その必然性や過程の想像が困難なんだけれど、とにかく発想の豊かさや分枠などないのではないかと思うような「本ならではの」「SFならではの」自由奔放な発想の展開に大いに満足。  人名から性別が認識でないとか、なんか中国語そのもので日本語になっていないんじゃないの?とかローラーコースターよりジェットコースターっていうほうが理解しやすいんじゃないの?ってな日本語的障壁は残るものの、大事にとっている「三体」にそろそろ着手しようかな。  とにかく間違いなく☆4だな。

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2023/09/24

劉慈欣の第一長編。 センス・オブ・ワンダーを感じられる、とても面白い話でした。 劉慈欣らしい、とんでもない発想からのとんでもない展開。 何度も「おぉ!」と驚かされる展開があり、とても楽しめた。 三体が好きなら楽しめるはず。 「子供の世界ってどんなだろう」その想像を、軽々と斜め...

劉慈欣の第一長編。 センス・オブ・ワンダーを感じられる、とても面白い話でした。 劉慈欣らしい、とんでもない発想からのとんでもない展開。 何度も「おぉ!」と驚かされる展開があり、とても楽しめた。 三体が好きなら楽しめるはず。 「子供の世界ってどんなだろう」その想像を、軽々と斜め上に超えて行ってくれます。 最後が尻すぼみというか、もっと詳しくその後の話が読みたかった。 三体が最後までしっかり描かれていだだけに、少しガッカリした。

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2023/09/24

こういうシンプルな設定からの予想外な展開が楽しめるSF作品は大歓迎。 エピローグで作者自身が作中人物として出て来たのにはちょっとひきました。

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2023/09/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ようやく読めました、劉慈欣の長編一作目!やはり一作目なので荒削りで、最初の盛り上がりから、途中でお?となり、おお?となって、なんか終わった笑という感じでした。 14歳未満の子供たち以外が死滅するという設定は超面白いし、それまでに大人たちが必死に子どもたちに何かを残そうとした最初のパートはお涙頂戴のエンタメとしてはぐぐっと読ませる面白さがあった。ただその後の展開としては、超スーパーコンピューター最初だけしか登場しないじゃん…?とか、いくら子供でも戦争途中で止めるんじゃない?とか、こういうことしているうちに大人になっていくわけで、そうしたらやっぱり《西暦時代》と同じような習慣になるんではないか?とかハテナハテナなまま話が進んでいく感じで、そこが「まあ長編一作目だもんね!」というとこで差し引きながら読む感じ。南極でのオリンピックという名の大戦争や、国土交換ゲーム(ゲーム?)など、話が飛んで行ったと思ったらさらに飛んでいきました…このあと三体に繋がっていくんだなあといういつもの感慨はありましたが、よく考えると三体以降、劉慈欣長編書いてないんだよな…三体を超えるものが出てくるのか…気長に待ちたいと思います。『白亜紀往時』も出るとのことなので。

Posted byブクログ

2023/08/31

1番最初の長編小説らしいのですが、気づかなくて最近見つけて読みました。 前半と最後のあたりは面白かったのですが、途中戦争の描写が細かすぎてよく分からないので、私は飛ばし読みしてしまいました。戦争や兵器などに興味や知識がある人は興味深く読めるのかな?? この作品以外は全て、心から面...

1番最初の長編小説らしいのですが、気づかなくて最近見つけて読みました。 前半と最後のあたりは面白かったのですが、途中戦争の描写が細かすぎてよく分からないので、私は飛ばし読みしてしまいました。戦争や兵器などに興味や知識がある人は興味深く読めるのかな?? この作品以外は全て、心から面白いと思い、興奮しながら読みましたが、こちらは他の作品と比べると興奮度合いは下がります。 創世記の展開からオチに至るまでの部分の説明がもう少しあれば楽しかったかなと思います。 でも大好きな作家さんなので、また新刊が出たらすぐ読みたいです。

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2023/08/28

あらすじから惹きつけられ、序盤の感情的な導入からいったいどんな展開がなされていくのかとワクワクしていたら、全く予想できない方向に話が進んでいって非常に驚きました。いや、とても面白かったんですが、まさかそんな展開になるとは。 三体に比べると風呂敷の畳み方を含め、正直荒削りな部分的...

あらすじから惹きつけられ、序盤の感情的な導入からいったいどんな展開がなされていくのかとワクワクしていたら、全く予想できない方向に話が進んでいって非常に驚きました。いや、とても面白かったんですが、まさかそんな展開になるとは。 三体に比べると風呂敷の畳み方を含め、正直荒削りな部分的も多いんですが、著者のルーツを知るという意味ではとても魅力的な作品だと思いますので、三体を読み終わった方にはぜひ手に取って欲しいですね。

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2023/08/27

劉慈欣の初期小説。さすが! 超新星爆発により13歳以下の子供たちだけが生き残ることになった地球。『蝿の王』を超える残酷ぶりが吹き荒れるわけだが、淡々とした筆致とユーモア、子供ならではの軽い命認識などとあいまって、悲惨感はなく、どう落とし前をつけるのかなとページを繰る手が止まらない...

劉慈欣の初期小説。さすが! 超新星爆発により13歳以下の子供たちだけが生き残ることになった地球。『蝿の王』を超える残酷ぶりが吹き荒れるわけだが、淡々とした筆致とユーモア、子供ならではの軽い命認識などとあいまって、悲惨感はなく、どう落とし前をつけるのかなとページを繰る手が止まらない。

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2023/08/27

『三体』で有名な劉慈欣の第一長編。太陽系にある恒星が超新星爆発を起こしたことで、近い未来、地球には未知の放射線が降り注ぎ、人体細胞を破壊することが判明。自己修復が活発な12歳以下の子どもたちのみが生き残ることが可能な世界となり、残された数ヶ月間で大人たちは子ども達に文明を引き継ぐ...

『三体』で有名な劉慈欣の第一長編。太陽系にある恒星が超新星爆発を起こしたことで、近い未来、地球には未知の放射線が降り注ぎ、人体細胞を破壊することが判明。自己修復が活発な12歳以下の子どもたちのみが生き残ることが可能な世界となり、残された数ヶ月間で大人たちは子ども達に文明を引き継ぐ……というのが導入。 『蝿の王』や『十五少年漂流記』など、「子ども達だけの世界」という設定の物語はあるが、現代の中国が舞台となり、しっかりと"引き継ぐ"過程が描かれる点が新しい。作者の知識量によりディテールは細かく、何となく説得力を持つように見えます。けど、その他は結構ガバガバ。たぶん、というか間違いないなく作者は後半の展開をこそ書きたかったんだろうなあ。ミリタリーや戦争が好きなのはこれまでの著作で知っていたので、気持ちは理解できるのですが、にしてもそうはならんやろって展開ばかりで作品の評価は低くならざるを得ないです。作者のファンならその後の著作につながる要素も多数あるので手に取ってみては。

Posted byブクログ

2023/08/24

物語の中で何かと世界の命運を託される子供たち。汎用人型決戦兵器に乗って使徒を殲滅し人類滅亡を防ぐ子供たち。または、地球だけでなく火星の経済にも悪影響を及ぼす大人たちに対してモビルスーツに乗りクーデターを起こす子供たち。こういう物語は自らの未来を切り開くための力(信念)で悪(とされ...

物語の中で何かと世界の命運を託される子供たち。汎用人型決戦兵器に乗って使徒を殲滅し人類滅亡を防ぐ子供たち。または、地球だけでなく火星の経済にも悪影響を及ぼす大人たちに対してモビルスーツに乗りクーデターを起こす子供たち。こういう物語は自らの未来を切り開くための力(信念)で悪(とされるもの)に立ち向かうことが明確なのだが、この物語は災厄に見舞われて有無を言わさず未来を託され、明らかな悪(とされるもの)のない現代の地球で起こる。ただ生き抜くこと。世界は大きく変わらない(地球環境の変化はあるが生活は可能)のに日常が大きく変わることは、状況は違えどコロナ禍を経験してきた分なかなかに大変なことだと想像できる。この物語では大人たちが全ていなくなるため、知恵や経験が急に無くなることを考えると大変さはその比ではないかもしれない。変化した世界で無邪気な子供の純粋さは残酷で非情であるが、寂しさや心細さが半端ないからこそ人に優しくなれるようにも思う。それにしても過酷で容赦ない世界だった。純粋な欲望は恐ろしい。 地球から8光年離れた恒星が超新星爆発を起こし、地球に大量の放射線が降り注ぐ。そこに含まれる高エネルギー宇宙線は人体の染色体を完全に破壊するものだった。生き延びられるのは、染色体を自己修復する能力がある12歳以下の子供のみ。約1年後にはそれ以外の人類は死滅する。 後書きを見ると、この物語は2003年に本国で出版されたようだが、書き上げられたのは1989年とのこと。少し物語の内容に触れるが、大人が死滅した後の混乱を自意識を持ったAIが解決する場面があり、他にVRワールドも出てくる。だが、目立ったテクノロジーの描写は少なくどちらかと言えば現代的な内容が多かったように思えるのは、30年以上も前と思えば納得かもしれない。その反面、30年以上前にこの物語が書き上げられていたと考えると恐れ入る。

Posted byブクログ