ロッタの夢 の商品レビュー
ドイツからアメリカにやってきたロッタの一家。しかし英語もろくに話せない一家にとってアメリカは「自由の国」ではなかった。学校にも行けず、日々の生活にも困ってしまったロッタたちに手を差し伸べてくれたのは『若草物語』の作者オルコット一家だった…。 1848年ドイツ革命(その結果としての...
ドイツからアメリカにやってきたロッタの一家。しかし英語もろくに話せない一家にとってアメリカは「自由の国」ではなかった。学校にも行けず、日々の生活にも困ってしまったロッタたちに手を差し伸べてくれたのは『若草物語』の作者オルコット一家だった…。 1848年ドイツ革命(その結果としてのアメリカへの移民)とオルコット一家が実際にボストンに住んでいた時期がちょうど重なっていたという史実をもとにした物語。テンポの速い臨場感あふれるストーリーに引き込まれます。移民の暮らしの過酷さ、彼らに向けられる差別的な態度に愕然とする一方で、それでも互いに助け合い、手を差し伸べる人たちも大勢いたことに救われる思いがしました。 またオルコット家の側も決して経済的に余裕があるわけではなく、父親は理想主義だが生活力はなく、報われないことも多い支援活動に理想と現実のはざまで葛藤するさまが『若草物語』のマーチ家よりも赤裸々に描かれていて一層真実味がありました。 物語の最後、新しい一歩を踏み出すロッタ。子供のころにこの本を読んでいたら、 「ロッタ、良かったね、頑張って!」と応援して本を閉じたことでしょう。でも大人になった今では、教育、女性の経済的自立、貧困、福祉、現代でもなお解決されたとは言い切れないさまざまな社会的問題にわずか13才の少女が立ち向かっていくのかと思うと手放しで「よかったね」とは思えない。『若草物語』という懐かしさに惹かれて軽い気持ちで手に取りましたが、いろいろと考えさせられる一冊でした。『若草物語』ももう一度改めて読んでみたいと思いました。
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心を豊かに。 自分だけでなく、自分の周りの人々も、縁があり、関わることになった人々も、心が豊かになれるように。 疲れていても、うまくいかなくても、自分のことだけで頭がいっぱいになってしまって、自分本位にならないように。 それでも、どうしてもだめなときは、「驚き桃の木山椒の木」…で...
心を豊かに。 自分だけでなく、自分の周りの人々も、縁があり、関わることになった人々も、心が豊かになれるように。 疲れていても、うまくいかなくても、自分のことだけで頭がいっぱいになってしまって、自分本位にならないように。 それでも、どうしてもだめなときは、「驚き桃の木山椒の木」…でもこの言葉どこから出てきたんだろうな。 役者の言う、「珍訳」のひとつなのかもしれない。 神がいても、いなくても、自分に恥じない生き方をしたいということなのよね、みんな。 それができている間は、とても大変な状況だとしても笑顔でいられるのかもしれない。
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オルコット一家がかなり理想的に描かれているのはともかく、当時のアメリカ東部でのアイルランド人移民の扱いがこんなだったのかと勉強になります。「風と共に去りぬ」で、南部では資産階級にもなりうるアイルランド系(スカーレットを含む)に対して、ヤンキー婦人の「いいアイルランド人の召使いを探...
オルコット一家がかなり理想的に描かれているのはともかく、当時のアメリカ東部でのアイルランド人移民の扱いがこんなだったのかと勉強になります。「風と共に去りぬ」で、南部では資産階級にもなりうるアイルランド系(スカーレットを含む)に対して、ヤンキー婦人の「いいアイルランド人の召使いを探している」という台詞があったのを思い出しました。言葉の壁、識字の壁というものが古くから移民にとって大きなものであったことが思われます。
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発行当時に、ネットでみかけた時から気になっていた本。 若草物語などの作者、ルイザ・メイ・オルコットの十代のころに出会ったドイツ移民の少女・ロッタの物語。 オルコットのことは史実で、ロッタは創作という面白い試みだった。 私は子供の頃、若草物語シリーズと赤毛のアンシリーズを、大人に...
発行当時に、ネットでみかけた時から気になっていた本。 若草物語などの作者、ルイザ・メイ・オルコットの十代のころに出会ったドイツ移民の少女・ロッタの物語。 オルコットのことは史実で、ロッタは創作という面白い試みだった。 私は子供の頃、若草物語シリーズと赤毛のアンシリーズを、大人になってからは大草原の小さな家シリーズを愛読してきたので、鼻息荒く読んだ。 アメリカとカナダ、19世紀と20世紀の違いはあれど、私にとってこれらの作家&作品は少女の夢に満ちた家庭小説であり、いつもそばにいる友達のような本だった。 これらは映像化されたものもそこそこ楽しんできた(第2若草物語は映画で、第4若草物語はアニメで見てきた。赤毛のアンの映画は大好きだし、スピンオフのテレビシリーズ・アボンリーへの道も再放送で友人とハマりまくった。総じて映像化には恵まれてきた作品&作家たちだったけど、10年くらい前にあった創作要素の強い、アンの続編映画はなんだったんだ)。 長じてのち、原作の方では、オルコットの8人のいとこも読んだし、モンゴメリはもっと暗いエミリー系ものめりこんで読んでいた。 例え、作者が鬱って自◯して亡くなったことを知っても、曲がり角の向こうを明るく見せてくれたこの女性たちは、私の大好きなお姉様方である。 と、そんなわけで、前のめりに読み始めた本作、オルコット一家が登場するまでが絶望的展開で、やべーどーしよーと思ったが、中盤からは明るくなってきてホッとした。 しかし、こんな貢献の仕方はきりがないだろうから、後半にはオルコット夫妻が疲れ切っていたのもよくわかる。 1849年のアメリカということで、マンガ片喰と黄金の舞台と一緒だーーー!とテンション上がって読んでいた。 ほとんど関係ないけど(笑) 最後に、若草物語の原題がリトル・ウィメンであること、あとがきにでも書いたらよかったのでは…? 追記 登場人物ではマイケルが好きだな。 あの一家は半グレなのか、落ちぶれていても頼りがいのある良き隣人なのか、章によってマチマチで謎。 わかってはいたけど、キリスト教の影響大。 たしかに本家の若草物語で天路歴程の話、してたかもなー。 それをドイツプロテスタントのロッタやその母がどう見てどう感じたか、はなかなか私たちには伝わりにくいところではある。 誕生日も、最後のお別れプレゼントも宗教グッズだらけだしな。 四姉妹のお芝居にはむしろそれを感じないのが奇跡のよう。 というか、あれも天路歴程なの??謎だ。 そういえば、思い出したことがあとひとつ。 お隣の好青年、ローリーいなかったね! なんで?!ジョーとエイミーのあいだであれこれしたローリー、あんたがいないと寂しいっすよ! 私は若草物語を読んでいた子供のころ、実際に四姉妹の四番目ぽい立ち位置だったので、自分の投影はエイミーなのだけど、メグよりは影が濃いけどジョーと対立することの多いキャラで、やはりあまり良く書かれないことも多くてそれが不満だった気もする…とまた隙あらばなんとやらです。
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