駈込み訴え の商品レビュー
矛盾や葛藤、自己保存などの人間臭さが文章に滲み出ていて圧倒されました。 最後の一文で物語の全ての見方が一気に変わり、鳥肌がたちました。
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「旦那様…」との書き出しに、主人公は女性と思いきや、まさかの、かの有名なユダ!ユダがこんなにもイエスを慕い、愛し、敬い、トクベツの情と行動を捧げてきたのに、それに期待するほど応えてくれないのは、あまりにも悲しい。片思いの辛さというべきだろうか。 この人だけには分かってもらえたと思うときがあっても、本当のところはそうでもなくて、ユダの寂しさ、辛さが伝わってきた。太宰治は、心の機微を描くのがとてもうまいと思う。この寂しさ、私も分かるところがあり、とても共感できた。
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書き出しの部分が ずっと耳に残っていて 気になっていた 知ってるようで 未読のままになっていた作品 なるほど こういうお話だったのね... カリスマは 遠くから憧れているにはいいけれど 側にいると 自分の心のバランスを保てなくなるものなのだろう ユダの心の揺れが 激しく痛々...
書き出しの部分が ずっと耳に残っていて 気になっていた 知ってるようで 未読のままになっていた作品 なるほど こういうお話だったのね... カリスマは 遠くから憧れているにはいいけれど 側にいると 自分の心のバランスを保てなくなるものなのだろう ユダの心の揺れが 激しく痛々しい 人の心の揺れは 時代も国も越えるんだなぁ
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ユダがどういう心持ちでキリストを裏切ったかが、ユダの一人称で綴られている名作。 GOの影響で、新国立劇場の演劇「骨と十字架」を観たりして、この手のものに興味が向いてる。 太宰治、じつはあまり好きじゃないんだけど、これは非常によくできてる。むかーし若い時にも読んだけど、今の方が理解できる。年を重ねたんだろうな、それなりに。 イラストも不気味で美しくて善き。 このシリーズ、良いですね。
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ホノジロトヲジさんのイラストの世界観で、また違う感じに読ませてくれました。このシリーズのおかげで中学生が近代(?)文学を読んでくれます。
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イラストはよく分からなかったが、途中からキリスト教っぽいと思ってやっぱりユタで嬉しかった。 聖職者の隣にいるのも大変だと思った。 太宰治らしい、暗いけど惹かれる話だった。
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ユダの心は、計り知れず、マグダラのマリアも謎。タイムマシンがあったら、1番行ってみたいのが、この時代。奇跡は、どう仕組まれたのか。謎だらけ。
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乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「駈込み訴え」です。この作品も私がよく利用している図書館に入り、1番に読めました(*^^)v ストーリーの方は、師として仰ぐ「あの人」を「私」は殺してほしいと訴えるところからはじまる…。「ずたずたに切りさいな...
乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「駈込み訴え」です。この作品も私がよく利用している図書館に入り、1番に読めました(*^^)v ストーリーの方は、師として仰ぐ「あの人」を「私」は殺してほしいと訴えるところからはじまる…。「ずたずたに切りさいなんで、殺して下さい」と…。「あの人」と「私」は同じ年…「師」の立場と「師」とその弟子の生活を守ってきたにも関わらず、意地悪く無理難題を押し付けるばかりか、こちらの苦労を全くわかろうとしない…。こともあろうか、「私」も気になっていたマリアに、「あの人」が恋をしているかの様子を目の当たりにし、ジェラシーをも感じる…。もう認めよう、「私」は「あの人」を無条件に愛しているのだ…。こんなことなら、「あの人」を殺して自分も死のうか…もうそうするしかないと、決意するのだが…。 う…ん、わかりにくいっ(汗)。「私」は葛藤を繰り返し、気持ちもころころ変わる…。何より、このストーリーは聖書を知らないとダメなのかも…何の知識も入れないまま読み始めたので、うん??となってしまいました…。「あの人」と「私」の関係性も、聖書のさわりでもわかっていれば、もっと驚けたし内容も理解しやすかったのかもしれないと感じました。なんだか、ちょっと悔しいなぁ…。ホノジロトヲジさんのイラスト、独特なタッチでこの作品も描かれていて、よかったです。
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「私」は常に「あの人」への羨望と嫌悪、愛憎を拗らせていた。物語の終盤「あの人」の唐突な振る舞いに対して、「私」は「あの人」は寂しさを抱えているのだと慮り、背信を取りやめようとする。その瞬間だけは「私」にとって「あの人」は神ではなく、2個上の自分と同列の人間であり、引け目を感じることなく愛せる対象になったのではないか。「私」にとって「あの人」は手が届かないからこそ惹かれ、手が届かないからこそ口惜しい存在だったように思う。
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師を殺してくれと訴える私。 師を愛するあまり、自分だけのものにしたいと願うあまり、応えられない想いが積もる。 新約聖書は読んだが太宰にかかると彼の行動原理はこうなるのか、と感心した。
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