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中村哲 思索と行動(上) の商品レビュー

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2025/02/06

2段組で400ページを超えるなかなかの大著でかつ、上巻です。 なので、読み通せるかという躊躇がありましたが、タイトルの通り、中村哲さんがその時に応じて、何を思い、何を感じ、どのように考え、何を成したかが、つぶさにわかる書物で、中村哲さんのことを詳しく知るにはこれ以上のものはない...

2段組で400ページを超えるなかなかの大著でかつ、上巻です。 なので、読み通せるかという躊躇がありましたが、タイトルの通り、中村哲さんがその時に応じて、何を思い、何を感じ、どのように考え、何を成したかが、つぶさにわかる書物で、中村哲さんのことを詳しく知るにはこれ以上のものはないと思います。 今まで数々の自己啓発本を手にしてきましたが、今まで読んだどの自己啓発本よりも豊かな読書体験であり、多くの学びがありました。 戦争、宗教、民族、自然環境などの外部要因や人々の無理解、身勝手な政治、人の業に発する理不尽に幾度となく苛まれても、目標を見据えて常に第一線で行動を重ねてこられたからこその言葉には、圧倒的な力があります。 中村哲さんの文章に自分自身の過去・現在・未来が揺さぶられるような感覚をうけながら読み進めました。 「しかし、厳しい自然の掟に唯々として従う者の、この「迷信」を、笑おうとは思わなかった。死にかけた赤子の一瞬の笑みに感謝をする世界がある。シロップ一サジのささやかな「治療」が恵みである世界がある。死ぬことが神意ならば、生きていること自体が、与えられた恵みなのだ。」p.313 「考えれば確かに暗いことは多いが、我々に誠ある限り恐れるものは何もない、と柄にもなく感情にふけった。そして理屈ぬきの善意で支えられてきた自分を幸せだと思った。  一九八八年度も難問は限りなかろうが、努力ある限り困難はある。祈りは見える力として現実化してのみ活路がある。支える会とて同様である。組織や事業が自己目的化してその防衛・保全が目標となった瞬間から自由とナイーヴさは失われる。本来の素朴な正義感や思いやりを理屈の中で変質させてはいけない。『それぞれのペシャワール』へ向けて良心の実弾をぶち込め。そうして支え合いの中に身を失う事によって得る恵みのいかに大きいかを知らねばならぬ。これが一九八七年度の結論である」p.124

Posted byブクログ

2025/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人はどこにあっても、どんな立場にあっても、それぞれのやり方で、それぞれの思いを負って生きていくように召されていると言う事実であります 今日の日本の繁栄に限らず、すべての繁栄となのつくものは、弱者の犠牲の上に築かれてきたことを否定するものはいますまい 西欧人の目を通してみるイスラムは、野蛮で、迷信的で、愚かな異教社会の規範であった。それは西欧を範としてきた日本のイスラム観にも大きな影響を与えてきた 一体、このようなあまりに異質な風土で、家族を巻き込んで疲労と危険と誤解な中で、絶望的な仕事を続けることに、どれほどの意味があろうかと何とも自問した 人間は常に意味と説明を求めるものである。しかし、数百万人の犠牲を前に、大げさな論法を軽々しく語るのはためらいがある。人の知恵も、言葉も、あまりに貧しい きらびやかで喧しい割に、中身のない過剰包装時代、汗水流して働くことを厭う一億総貴族時代、お金と効率主義で頭のいかれた一億総白痴時代、こざかしい評論ばかりで実のない口先時代、タガが緩んでビジョンを失った無気力時代。

Posted byブクログ

2024/07/14

中村哲さんが成されてきたことに改めて感動しました。本の最後にある中村哲さんの言葉は重い。 2024年7月現在、イスラエルがパレスチナに対して行っているジェノサイドを思うに付け、哲さんの言葉がずしりずしりと心に突き刺さる。

Posted byブクログ