「死にたい」と言われたら の商品レビュー
はじめに―自己紹介と注意事項 第1章 自殺はなぜ起こるのか 第2章 「死にたい」と言われたら 第3章 「死にたい」と思ったら 第4章 自殺は悪いことか 第5章 幸福で死にたくなりづらい世界の作り方 おわりに―あなたに何ができるのか
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自殺潜在能力(死に切る力)、所属感の減弱、負担感の知覚が高まると自殺の危険が高まる。だから「死にたい」と言われたら、まずは物理的に自殺を実行できそうなものを遠ざけ、心のつながりを作って所属感を補強し、その人がしてくれたことなどを折々に指摘して感謝したりしていく。でも一人で対応していくのは無理だから、少し落ち着いたところで援軍を探す。 オデュッセイアにある、セイレーンの歌声に惹かれて海に飛び込まないように、予め自身をマストに縛り付けておく話、なるほどなと思った。 要するに、自殺念慮は衝動的で波があるから、そこを一旦乗り越えるのが大事なんだろう。 自殺対策が法制化されて20年足らず、そもそも自殺対策という観点ができて半世紀、まだその対策の効果が科学的に測定されておらず、公金で行われているから限界もあって、費用対効果が得られているのか謎らしい。でも全てが数値に上がってくるものでもないだろうし、難しそうだなぁ。 人生に思い残すことはないくらい満足して、最高の状況で主体的に選ぶ自殺、かつ他人に経済的にも心理的にも迷惑をかけない自殺、なんてそんなもんは存在しない気がする。 死にたいと感じたことがある人が人口の2,3割だが、実際に自殺で死ぬのはその1割程度で人口の2%に過ぎない、ということだけれど、私は逆に2%も自殺で亡くなってることが驚きだった。50人に1人自殺するってこと?2,3割しか死にたいと思ったことないっていうのも少なすぎて衝撃だけど、つまり「死にたい」って言われた段階でやっぱりちゃんと受け止めないと。 自殺という個人的に見えることも、当然のことながら社会的なことが背景に大きくあることを認識させられた。自殺対策を水際でこてこてするんじゃなくて、福祉にアクセスしやすい、孤独を感じにくい、希望が持てる社会にみんなが参画できることが一番大事。
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自殺をなるべく科学的に論じることを試みる本。 なぜ人は死にたくなるのか、死にたいと言われたら、死にたいと思ったら、自殺は悪いことなのか、幸福で死にづらい世界の作り方の五章編成だが、それぞれ明晰な文で内容がスッと頭の中に入った。 特に人はなぜ死にたくなるのかについては、客観的に書か...
自殺をなるべく科学的に論じることを試みる本。 なぜ人は死にたくなるのか、死にたいと言われたら、死にたいと思ったら、自殺は悪いことなのか、幸福で死にづらい世界の作り方の五章編成だが、それぞれ明晰な文で内容がスッと頭の中に入った。 特に人はなぜ死にたくなるのかについては、客観的に書かれており、かなり腑に落ちる内容だった。 ・自殺感の潜在能力(自殺企図、手段へのアクセス、不適切なメディア報道、自傷経験、アルコールの有害な使用、虐待) ・所属感の減弱(災害、戦争、孤立) ・負担感の知覚(スティグマ、失業・経済的損失) この三要素が重なったとき、人は自殺する可能性が高まる、というもの。
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読みやすかったです。 はじめに で著者の優しさに触れ、ずっと避けてきた内容でしたが今読もうと思えました。とてもわかりやすく、入りにちょうど良かったです。
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感想 知性ある生物の宿命。自分の生命を終わらせてしまう。そこに感情を織り交ぜてしまう人間。大切な人の死を食い止めたい。だが少し考える。
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自殺は悪いことかという章で、生物の生存するための観点から読み解けたことは良かった。また他にも図で説明しているものもあり、自殺を少し距離を置いて冷静に知識として認識出来て良かった。
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自殺リスクが高まる条件、いろいろな状況への対応方法の例示、自殺の現状と現在の取り組み、何が課題でどうしていくべきかなど、網羅的にわかりやすかった。
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若年層向けに書かれた本で、構成は割とわかりやすい。 1学術的なもの 2二人称(死にたいと言われたら) 3一人称(死にたいと思ったら) 4哲学的考察 5インフラをどう整備するのか 中年の自分がこの本を手に取ったのは、少なからず自殺の現場に遭遇しているからでもあり、自分自身、生に興味...
若年層向けに書かれた本で、構成は割とわかりやすい。 1学術的なもの 2二人称(死にたいと言われたら) 3一人称(死にたいと思ったら) 4哲学的考察 5インフラをどう整備するのか 中年の自分がこの本を手に取ったのは、少なからず自殺の現場に遭遇しているからでもあり、自分自身、生に興味がなくなってきているからでもある。 たいていそうだと思うが、中年になると、あらゆることに興味が薄れてくるし、何かをする気もなくなってくる。気力がないから、死のうとも思わない。 本を読み、よくよく考えてみると、家族がいるからかもしれない。最大のゲートキーパーになりうるのは、家族なのかなと思う。
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「死にたい」と言われる人の気持ちを知っている。 知っている人は、自分の「死にたい」は言いづらくなる。 知っているから。 相談できるところ? 死にたいを相談できるところはそうそうないし、死にたいという言葉だけど、相談したいことは死にたいではなかったりすることもまた多いから、本当に難...
「死にたい」と言われる人の気持ちを知っている。 知っている人は、自分の「死にたい」は言いづらくなる。 知っているから。 相談できるところ? 死にたいを相談できるところはそうそうないし、死にたいという言葉だけど、相談したいことは死にたいではなかったりすることもまた多いから、本当に難しい。 その上、適当な相談場所を事前に調べておくなんてことを求められたら本当に相談するところなんてない。 そんなことは全てわかった上で書かれた本だと思う。 難しいのはわかっているけれど、わかった上でこう書くのが必要だと考えているから書かれた本なのだろう。
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p.63 「死にたい」と打ち明けた人間が最も恐れるのは、意を決して行った重大な自己開示が軽く扱われることだからです。 p.64 「死にたい」という気持ちに向き合うということは、向き合う(向き合わされる)側にとってもとてもしんどくて恐いことであり、できれば避けたいものだからです。 p.68 共感することと、肯定することを混同しているかもしれません。 p.73 考えを変えていくためには、頭の中で論理的に考えることだけではなく、「ああそうだったんだ、自分の考えは違ったのかもしれない」という変化に対して感情的に納得できる体験が必要です。 p.78〜79 「死にたい」という訴えが強烈で、そこに目を奪われる分だけ、背景にある問題が見えなくなります。 p.79 あまり期待をしすぎずに、さまざまな人をとりあえず1回あてにしてみて、あてにならない時はサッと乗り換える、くらいの感じがいいと思います。 p.153〜154 仮にこの先も経済と科学技術が発展し続けていけば、今以上に不老長寿に近い状況が達成されるでしょう。その時には、我々は自分自身の人生を満足の上で終わらせ、幸せな死を達成するために、自殺することを目指すようになるはずです。 面白く分かりやすかったですが、新刊だったので、新しい情報やコロナ前後での比較などがもっとあればいいなと思いました。
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