強欲資本主義は死んだ の商品レビュー
原題は「Greed is Dead: Politics after individualism」ということで個人主義の次の世界はコミュニティの時代へ、という主張がなされています。この手の主張はそれこそマイケル・サンデルなどの本でもおなじみではありますが、イギリスの経済学者から出さ...
原題は「Greed is Dead: Politics after individualism」ということで個人主義の次の世界はコミュニティの時代へ、という主張がなされています。この手の主張はそれこそマイケル・サンデルなどの本でもおなじみではありますが、イギリスの経済学者から出されていることに何か隔世の感を覚えました(日本の経済学者がこういう主張をしてもインパクトはないが、オックスフォード大学の先生がこういう主張をすることが面白い)。 書かれている内容自体は、そこまで目新しさは感じませんでしたが(タイトル、副題から想定されている内容だなということ)、本書で一番大事なメッセージだと思ったのは「市場とコミュニティは対立するものではなく、本来は同じものである」という点でしょう。古代ギリシャ語では、買い物をする、と公の場で発言する、という言葉は似ていたようで、確かに市場(いちば)に行くと、知り合いの店員さんや近所の人に会って雑談をする・・・というのが昔は当たり前だったのが、今では2つの違うものになっていった、ということかと思います。資本主義がそういう方向に進んでしまった、分化してしまったことの弊害が起きているよ、ということだと理解しました。 禅の大家である鈴木大拙は、分節化していくアプローチはノイローゼにしかつながらない、と看破していますが、そうではなく市場でもありコミュニティでもある、今風でいうと「両立思考」というか融合していくようなトレンドが今後重要になるのだろうなと感じました。
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近代から現代に至るまでの世界的な経済的、政治的出来事の背景を追う。すでに古くなったとされる社会性を指摘し、新しい時代にかけての経済・政治における価値、行動様式を提案する。
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