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河合隼雄の幸福論 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/08/20

筆者の愛情深い生き方が端々に感じられて、とても素直に読めた本でした。 河合隼雄さんという方は、心理療法の「権威」でありながら、読んでいて威張るところがいっさい感じられない、まさに、かざらないで生きておられた、僕からすれば、最高に素敵で格好いい人でした。 そして、ご自身も含めた多く...

筆者の愛情深い生き方が端々に感じられて、とても素直に読めた本でした。 河合隼雄さんという方は、心理療法の「権威」でありながら、読んでいて威張るところがいっさい感じられない、まさに、かざらないで生きておられた、僕からすれば、最高に素敵で格好いい人でした。 そして、ご自身も含めた多くの生き方・感じ方を紹介することによって、「幸福論」をつむぐところに、河合隼雄さんらしさが滲み出ていると思いました。 涙するところが多くありましたし、私自身もある種の理想や確信、希望を授かりました。 特に、最後のエピソードは、非常に感動的なものでありました。

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2024/05/09

図書館で借りた。久々に本を読めてよかった。河合隼雄先生はやはり良い。人や物事に対する温度感がなんともいえない、ちょうど良さというか。温かく、それでいて現実的で、、うまくいえない。また読み返したい。

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2024/02/10

昔から河合隼雄が好きで久しぶりに手に取ってみた。 何かを掘り下げる内容ではなくエッセイ本。 現代人は物質面で豊かになった一方で、精神的にはどうなのかという問いかけに対する答えが全体として書かれている。 プレゼントで嬉しいのは、金額ではなくどこまで心を使ったか。 子育てで大切なのは...

昔から河合隼雄が好きで久しぶりに手に取ってみた。 何かを掘り下げる内容ではなくエッセイ本。 現代人は物質面で豊かになった一方で、精神的にはどうなのかという問いかけに対する答えが全体として書かれている。 プレゼントで嬉しいのは、金額ではなくどこまで心を使ったか。 子育てで大切なのはどれだけお金をかけたかでも、どれだけ時間をかけたかでもない。 どれだけ心を使ったかが一番大事。 人生において地位、名誉、お金、自己実現、いろいろあるが、心を使える人間関係を作ることが人生を豊かにする事かもしれない。

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2024/02/10

豊かさとは、幸福とは、お金や地位ではない、という書はよくあるが、本書では、これまでの経験で教育的見地から子どもたちの成長を扱った話題が多い。多忙の中でも講演、ディスカッション、読書量とこなすパワーと積極性がすばらしい。2023.11.19

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2023/07/16

臨床心理学の視点からの幸福論。 体系的な内容ではないがゆえに、誰にでも刺さる部分があるのではないだろうか。 簡単な事ではないが「自分自身にとって幸福と感じられるかどうかが問題」という言葉を受け入れて行動してみたい。

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2023/07/16

河合隼雄先生が亡くなって16年が経つ。かつて講義を受けたことがあり、懐かしくもあったので手に取った。 30年近く前にかかれたせいか、はじめは古さを感じた。けれども、後半、「共鳴するからたましい」あたりから、だんだんとピッタリくるように感じる。ひとつに賭ける、昇りつめた幸福、生き...

河合隼雄先生が亡くなって16年が経つ。かつて講義を受けたことがあり、懐かしくもあったので手に取った。 30年近く前にかかれたせいか、はじめは古さを感じた。けれども、後半、「共鳴するからたましい」あたりから、だんだんとピッタリくるように感じる。ひとつに賭ける、昇りつめた幸福、生きにくい子、二人の女性、ゆとりのある見とおし、音のない音。 あとがきはご子息である河合俊雄さん。同じく心理臨床家であるので、これ以上の適任はいないということかと思う。しかし、自分の父親を推す息子はそうそういないのではあるまいか。外の顔と家族から見る顔は、違うものだから。それだけに、稀有な存在だったということかもしれない。あるいは、殉職の弔いの意味が今もあるのだろうか。 その日の講義も受講者でいっぱいだった、しかし開始時間をいくら過ぎても先生は現れない。ざわめきが広がるが、特に帰る人はいない。皆、待っているのだ。講義時間を半ば過ぎただろうか、助手がやってきて、「河合先生は来られないので、これを読んで下さい」とA3一枚のプリントを配付する。受講者はそのプリントを手に退席し始める。ビルの玄関あたりに私も出たところで、階上から河合先生がさっと降りてきて、横を抜けていく。女子学生が「ああ!」と言うと、河合先生はニンマリと振り返り、去って行った。事情があったのだろう。憎めない人だった。プリントの文章が何だったか忘れてしまったが、先生が講義を放ったこの日のことを思い出す。

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2023/06/22

もともと「しあわせ眼鏡」というタイトルで新聞連載されていた。あの1995年前後のことである。それがいままた文庫として読むことができる。私にとってはそれが一番の幸せだ。心に響くことばがたくさんある。引用していく。・・・父親が自分のしていることを「しあわせ眼鏡」なんていうものをかけて...

もともと「しあわせ眼鏡」というタイトルで新聞連載されていた。あの1995年前後のことである。それがいままた文庫として読むことができる。私にとってはそれが一番の幸せだ。心に響くことばがたくさんある。引用していく。・・・父親が自分のしていることを「しあわせ眼鏡」なんていうものをかけて見ると「ハッ」と気がついて、子どものほんとうの「しあわせ」を、自分はお金をかけて努力して奪おうとしていることがよく見えてきたりすると、ほんとうに便利なのだが、などと思ったりする。(幸福とは何か) 「子どもの幸福」の一番大切なことは、子ども自身がそれを獲得するものだ、ということである。とは言ってもそれを「見守る」ことは、何やかやと子どものためにおせっかい焼きをするよりも、はるかに心のエネルギーのいるものである。(子どもの幸福) 佐藤学の著書からのエピソード。あまり授業に出ていなかった著者に音楽の教師がバッハ「シャコンヌ」のレコードを聴かす。それがきっかけで著者は最下位の成績から発奮して勉強を始めることになる。実は音楽教師もそのころ行き詰っていた。教師自身のために「祈る思い」でレコードをかけていたのだ。「象徴的経験は祈りを共有する人と人との出会いにおいて準備されるものなのである。」これは教育における一番大切なことを教えてくれるエピソードではないだろうか。(共鳴するたましい) 人間が幸福であると感じるための条件として ▷将来に対して希望がもてる ▷自分を超える存在とつながっている、あるいは支えられていると感じることができる――という二点が実に重要である。(幸福の条件) 個別的で具体的なことを土台とするが、それだけでは身勝手になったり偏ったりするので、あくまで個別的で具体的な実体験を基にしつつ、それを深めていくことによって、だんだんと一般性をもつように努める。(人生学) この考えの一番大きい欠点は、子どもの人生は子ども自身のものだという考えが、すっぽり抜けている点にある。子どもの幸福は、しょせん子ども自身がつくり出していくものである。・・・子どものことは子どもにまかせて、じっくりいこうという長い見とおしをもつと、親も子も、もう少しゆったりとできるのではないだろうか。(ゆとりのある見とおし) 幸福というものも、たとえ他人にはそれだけしか見えないにしても、それが厚みをもつためには、悲しみによって支えられていなくてはならない。(音のない音) 30年前に書かれたとは思えない。時代が変わっても変わらないものがある。具体的であればあるほど普遍的である。特に子育て中の親に読んでほしい。

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