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終わりのない日々 の商品レビュー

4.6

7件のお客様レビュー

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2025/05/05

1845年から49年にかけてアイルランドを襲ったジャガイモ飢饉のため、1人でアメリカに渡ってきた主人公「トマス」マクナルティ。彼がアメリカで出会った「二枚目」ジョン・コール。そして2人の「娘」フィオナ。 どこまでも乾いているのに湿った血の匂いがする、マッカーシーの小説に似ている...

1845年から49年にかけてアイルランドを襲ったジャガイモ飢饉のため、1人でアメリカに渡ってきた主人公「トマス」マクナルティ。彼がアメリカで出会った「二枚目」ジョン・コール。そして2人の「娘」フィオナ。 どこまでも乾いているのに湿った血の匂いがする、マッカーシーの小説に似ているのだけれど、深い深い愛情が通奏低音のようにずっと聞こえている。よかった。

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2024/01/06

文学ラジオ第129回https://open.spotify.com/episode/0eV6UUZdrpiJkUYQcI7lel?si=dd67ea92b4dd4f85 戦争を描いているので強烈なシーンが連続する部分はあったが、そのなかで生きることとは?ということを問いてくる...

文学ラジオ第129回https://open.spotify.com/episode/0eV6UUZdrpiJkUYQcI7lel?si=dd67ea92b4dd4f85 戦争を描いているので強烈なシーンが連続する部分はあったが、そのなかで生きることとは?ということを問いてくる作品でもあった。 「終わりのない日々」という作品のタイトルは読了後、ゆっくりと沁み込んでいくと思う。たぶん自分もこの作品でいうところの「終わりのない日々」を経験していて、トマスと同じようにその日のことを振り返るときが来るのだと思う。 重い内容の割には文体と文章のおかげで読みやすいので、是非気になった人は手に取ってみて欲しい。 19世紀アメリカの戦争の設定と聞くとハードで暗そうな話に思うかもしれないけど、そんなことはない。たしかにトマスの人生はハードだったけど、希望もあって、愛もあって、明るく生きていたように思う。 トマスの語りがとにかく魅力的なので、その声を聞いてほしい。トマスの人生が心に染み込んでくると思う。でもそこには暖かさや明るさもあるから、悪いものではないはず。

Posted byブクログ

2023/11/23

南北戦争の頃のアメリカ トマス・マクナルティと永遠の恋人ジョン・コール アイルランドからの移民トマスはアメリカでジョン・コールと運命的な出会いをし生涯を共にする 15,6歳の頃の女装してダンスパートナーをしたり、軍に参加したり、 永遠に続くと思ってた、終わりのない日々 軍の行程と...

南北戦争の頃のアメリカ トマス・マクナルティと永遠の恋人ジョン・コール アイルランドからの移民トマスはアメリカでジョン・コールと運命的な出会いをし生涯を共にする 15,6歳の頃の女装してダンスパートナーをしたり、軍に参加したり、 永遠に続くと思ってた、終わりのない日々 軍の行程と戦い、彼らだけではないが過酷すぎて辛いのに、トマスの語りは軽妙で詩的で愛に溢れていて美しい。 トマス、ジョン、彼らの娘ウイノナのささやかで穏やかな幸せを願わずにはいられない

Posted byブクログ

2023/11/14

舞台は19世紀半ば。大飢饉によりアイルランドから命からがらアメリカに渡ってきた語り手トマス。トマスは同じ年頃のジョン・コールと出会い、美少年である2人はメイクをしてドレスアップし、女性として酒屋で鉱夫たちとダンスをすることで生きていく。かと思えば、成人男性になると軍でインディアン...

舞台は19世紀半ば。大飢饉によりアイルランドから命からがらアメリカに渡ってきた語り手トマス。トマスは同じ年頃のジョン・コールと出会い、美少年である2人はメイクをしてドレスアップし、女性として酒屋で鉱夫たちとダンスをすることで生きていく。かと思えば、成人男性になると軍でインディアン戦争を潜り抜け、かと思えばまた束の間の平和のうちに女装をする。インディアンの少女ウィノナを助けて共に暮らし、また南北戦争を生き抜いていく。 軽妙で穏やかな語り口とは裏腹に、起伏にとんだ波瀾万丈な彼等の人生。 そして主人公が男と女を行ったり来たりするところも興味深い。ジェンダーについておそらく意識が希薄であったであろう時代において、ジェンダーを語る。戦争も語る。でももっと深い何かがある。底知れない。 一回読んだだけでは味わいきれない作品だ。読むのにかなり時間がかかったのに苦痛ではなかった。訳と原作の為せる技か。

Posted byブクログ

2023/11/20

表紙は夕焼けに浮かび上がる二人のカウボーイらしき男のシルエット。そんな入り口からは想像もできない物語が23章に渡って語られます。まさに語り。主人公トマスの一人称がどんどん物語を進めてます。テンポ感も軽快、まるで朝の連続テレビ小説のような進み方です。でもそれは暴力と悲しみと救いの無...

表紙は夕焼けに浮かび上がる二人のカウボーイらしき男のシルエット。そんな入り口からは想像もできない物語が23章に渡って語られます。まさに語り。主人公トマスの一人称がどんどん物語を進めてます。テンポ感も軽快、まるで朝の連続テレビ小説のような進み方です。でもそれは暴力と悲しみと救いの無さの連ドラでアメリカという国の地下水流に流されるような感覚になります。ページをめくる手が止まりませんでした。そして猛々しい血の匂いの中で徐々に浮かび上がるジェンダーというテーマと母性というテーマ。それがスムーズに感じられるのも細かな独り語りの積み重ねに依るものかもしれません。主人公のつぶやきの物語によってアメリカの血なまぐさい歴史も詩的な神話に思えてくるのです。と言う感じで週末一気読みでしたが、あとがきでカズオ・イシグロの「真に思いがけない場所から現れた奇跡の作品。『終わりのない日々』は暴力的でありながらどこまでも詩的な西部小説であり、生まれつつあるアメリカの圧倒的ビジョンを私たちに見せてくれる。一言一句にいたるまでこれほど魅力的な一人称の語りには数年来出会ったことがない」とのコメントに遭遇。これ以上、言うことなし!

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2023/08/20
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1849年から1865年頃のアメリカが舞台。 語り手トマス・マクナルティはジャガイモ飢饉で家族を失い、アイルランドからカナダを経て単身アメリカにやってきた。 アメリカで初めてできた友だちがジョン・コール。彼も放浪の身の上。曾祖母はインディアンである。 二人がまだ15歳くらいの頃からの物語。書き方が淡々としているため、はじめは気づかなかったのだが、実はすごい純愛小説だった。 トマスはジョンを愛し、性自認が女性であることに気づいていく。まだLGBTなんて言葉さえなかった時代。身寄りもお金もない二人は、生きるために軍隊に入り、インディアン討伐(という言葉は間違っているが当時の白人はそう考えていた)や南北戦争に参加する。 それらのシーンは凄惨でリアリティがあり、『本当の戦争の話をしよう』を思い出すほど、兵士それぞれが実在していたと感じられるような描写だった。アイルランドの現代作家が書いたと知らなければ、その頃に従軍したことがあるのかなと思うほど。 国が混乱している中で翻弄される理不尽さを考えられないほどの過酷な日々。その中で無口なジョンと愛し合い、擬似家族を作っていくところは、胸に迫った。 もっとベタベタに二人の愛を描いた方が読者は感情移入できただろうがあえてそれはせず、読者の想像に任せているところもとても良かった。 映画になりそうな(そして映画にした方が分かりやすくなるだろう)小説。特にスー族の首長「最初に馬を捕まえた男」や、元狙撃手ライジ、勇気ある少女ウィノナなど映像で見てみたいなと思った。

Posted byブクログ

2023/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容は1845年から1865年くらいまでのアメリカで移民で孤児の主人公トマスが同じく孤児の少年ジョン・コールとどのように生き抜いていったか、その間の兵士としての暮らしや南北戦争の悲惨な様子などが一人称で描かれていて、残酷な話もたくさん出てくるのだが、不思議ととても読みやすかった。 アメリカが銃を離せない理由も何となくわかる。 先住民・黒人への扱いや差別意識は、今でこそおかしいと思えるが、当時はやるかやられるかの恐怖から殺していたんだろうと思う。あとは日本の差別政策と同じことかな。誰かを見下さずにはいられない人間の弱い心を為政者に利用されているように思う。 あとがきによれば、本作はいわゆる西部小説というジャンルに入るらしいが、主人公がゲイであるところは今時なのかも。 戦争中は人をありえないほど残酷にするんだとわかる。アメリカの分断の歴史が生々しく描かれ、タイトル通り終わらないのかと思ったが、ラストはどうにか生き抜いた主人公の運の強さにホッとした。 主人公たちが引き取ったスー族の娘のウィノナの後日談が2020年に出版されているようだが、翻訳されないかなぁ。セバスチャン・バリーの他の作品も読んでみたい。

Posted byブクログ