眠りつづける少女たち の商品レビュー
脳に与える影響を深く知ることができた。韓国の少女の話は自分が納得というかこうだと思ったら医師の診断を自分の思っている診断を下してくれる医師巡りをし、著者に行き着くがやはり他の医師と同じ診断だが、何がそう引き起こしているのか、そして脳波などを調べ本人がこれからの人生きちんと歩めるよ...
脳に与える影響を深く知ることができた。韓国の少女の話は自分が納得というかこうだと思ったら医師の診断を自分の思っている診断を下してくれる医師巡りをし、著者に行き着くがやはり他の医師と同じ診断だが、何がそう引き起こしているのか、そして脳波などを調べ本人がこれからの人生きちんと歩めるようにしてあげたいという願いから入院させ説明するがきちんと本人に伝わらないもどかしさそして脳は受け入れなければこうだと思った行動に出る。 超音波で人を攻撃された外交官。大人で頭のいい人でも騙されて違う原因なのに攻撃されたと脳は信じ、他者も同じような症状がでて集団感染になる。 理由づけがないと不安になり少しでも似た症状があればこれだとおもい同じ症状になる。脳のすごさを知る機会となった
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生物・心理・社会的に精神疾患をとらえなくてはいけないのに、まさしく放っておくと意識的無意識的に生物的、心理的要因に重きを置いてしまう現代近代化社会の傾向をありありと感じた。人間ひとりひとりを著者がつぶさに書くことにより、リアルにひとりの人を想像し感じることができて非常に良かった...
生物・心理・社会的に精神疾患をとらえなくてはいけないのに、まさしく放っておくと意識的無意識的に生物的、心理的要因に重きを置いてしまう現代近代化社会の傾向をありありと感じた。人間ひとりひとりを著者がつぶさに書くことにより、リアルにひとりの人を想像し感じることができて非常に良かった。また、患者のためを思い奮闘しても思うように伝わらない著者のもどかしさも余す所なく書かれていて、医者としての真摯な姿勢を貫きながらも無力を感じていることをこんなにも赤裸々に描いていることに感動した。 生物・社会・心理、この3つを忘れずに意識的に考えていくことの大切さを改めて感じた。同時に、それを相手に伝えることの難しさを知りながらも、あがきながら伝えていく姿勢のなんとかっこよいことか。 オリヴァー・サックスの「火星の人類学者」を以前読んで抱いた感動が蘇ってきたと思ったら、まさかのスザンヌ・オサリバンがその後継者として注目されていると読後に知ってなるほどと思った。
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「病は気から」と言われても、簡単に”気”は変えられない…スウェーデン、ニカラグア、カザフスタン、コロンビア、キューバ、米NY州のル・ロイ。集団奇病を訪ねて世界を歩く。器官の機能に問題はない。かといって演技でもない。思い込みを指摘しても治らない。心が体に及ぼす作用は、想像以上に制御が難しい。生物だけでなく心理や社会という側面でも評価し対処しなければいけない。西洋医学が世界で通じるとは限らない。”おまじない”が功を奏することもある。自身の健康管理にも、人の病に向き合う時にも、心と体の奥深さを思い知らされる。
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スウェーデンで報告されている、子どもたちが無反応で目を瞑ってベッドに横たわっている、という謎の病を調査に行くのは、神経科医の著者。この症例も有名らしいが、ほかに、キューバでアメリカの外交官らが、「音波攻撃」で不調を訴えた例も有名、このような心身症が取り上げられている。 人間の心...
スウェーデンで報告されている、子どもたちが無反応で目を瞑ってベッドに横たわっている、という謎の病を調査に行くのは、神経科医の著者。この症例も有名らしいが、ほかに、キューバでアメリカの外交官らが、「音波攻撃」で不調を訴えた例も有名、このような心身症が取り上げられている。 人間の心と身体、興味深くもあり、怖ろしくもあり。 スウェーデンの症例では、もっぱら難民申請中の家族の子どもが発症する。そして、ほとんどの子は、難民申請手続が遅滞する状況に家族が直面したときに始まる。すなわち、特定の地域、中でも対象者は年齢、社会的背景などにより限定されている。1970年代終盤以降、アメリカ精神医学会のリーダーたちは、心理のみに着目した「心理編重」から、精神疾患は脳の疾患としてとらえるべきという「脳に焦点を絞る」考えが主流になったという。これにより、スウェーデンのような症例が、正しく診断されず、時には症例の広がりや二次被害を生んでいると著者は述べる。 予測符号化は、脳にプログラムされている予測をもとに身体症状を生み出すという。脳は外部情報を経験に基づいて評価する。あきらめ症候群と呼ばれたスウェーデンの症例では、周囲で強制送還に直面している子どもたちが無気力になり、やがて昏睡状態に陥りうることを知っている、すなわち、特定の状況が起きたときに、身体がどう反応すべきかを告げる事前予測を脳にコード化して持っていて、その状況がもとで生じた最初の身体的影響を感じるや否や、脳がシャットダウンを始めたと。 心当たりもあるが、人は何らかの身体の不調に気づいたとき、それに何らかの理由や説明を求める。そこに、似たような事例や、見聞きした情報があれば、それに関連づけて自らの症例を判定する。時には、聞きたい答えを求めて医者を訪ねるかもしれない。何となく怖ろしくもなるが、逆に考え過ぎを戒めることにしたい。 ほかに興味深いのは、製薬会社が製品を売るために、新しい指標を導入したり、判定基準を定めたり、という話。ある日突然、その症例や予備軍が何倍、何百倍に膨れ上がるとか。そうして、また実際に不調を訴える人が増えると。
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