1,800円以上の注文で送料無料

眠りつづける少女たち の商品レビュー

4

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2026/02/05

『考えるナメクジ』『火星の人類学者』に続いて、脳や心理に関する本を読んだことになる。幅広い分野の読書を心がけているのに!特に『火星の人類学者』と本書を並行して読んだことで、対照的に感じた。本書は、地域集団の中で発生した謎の病気を主に扱っている。脳を含めた身体を検査しても問題は見ら...

『考えるナメクジ』『火星の人類学者』に続いて、脳や心理に関する本を読んだことになる。幅広い分野の読書を心がけているのに!特に『火星の人類学者』と本書を並行して読んだことで、対照的に感じた。本書は、地域集団の中で発生した謎の病気を主に扱っている。脳を含めた身体を検査しても問題は見られないのに、眠り続けたり失神したり暴れたりする病気。最初の事例は、スェーデンの難民の少女たちの眠り病。難民に非情な国は日本だけかと思っていたら、他にも悲惨な状況に置かれている国があるのに驚いた。次に、なぜ少女だけが眠りつづけるのかと疑問に思ったが、一応の回答が示されている。他の地域の事例では、男性にも謎の病が起きていた。著者は、これらの病気を、個人ではなく社会の問題の反映だと説明している。難民だったり、住環境の急激な変化によってストレスがある状況で発生したものだという。コロンビアでのHPVワクチン関連の話も出ている。社会的なストレスが原因で起こったものが、マスコミの報道や過剰診断により、周囲の人も同様の症状を示していく。謎の病の原因探しが行われ、たとえそれが間違っていると証明されても、患者や家族は信じたいものを信じてしまう。本の中では触れていないが、難民問題にしてもワクチンの話にしても日本にも当てはまる部分がある。なお本の中では、著者は医学用語の使用に多大な注意を払っている。私の感想の中では、誤用を避けるために、専門用語を使わないようにしたが、それでも間違っていないかちょっと心配だ。

Posted byブクログ

2025/10/16

思っていた内容と異なっていたので、ざっと読んで読了。 科学的なアプローチで結論を得るものと思っていたんですが…

Posted byブクログ

2025/09/14

当初は、眠り病という奇妙な疾患の原因や治療をあらゆる医学的検査によって証明されていくプロセスを描いたものかなと、思って読んでみた。読み進めていくと、そんな視野の狭さいものではなく、病というものはその人が置かれている社会や家庭環境などあらゆる外的要因が引き金となって物理的な身体的機...

当初は、眠り病という奇妙な疾患の原因や治療をあらゆる医学的検査によって証明されていくプロセスを描いたものかなと、思って読んでみた。読み進めていくと、そんな視野の狭さいものではなく、病というものはその人が置かれている社会や家庭環境などあらゆる外的要因が引き金となって物理的な身体的機能異常を引き起こすのだということを、いくつもの症例を通じて学ぶことができた。病は気から、というだけでなく社会や情勢や、病人になりきる状態から起こるものなんだ。目の前で苦しんでいる患者の声と心に寄り添うことの大切さが分かった。

Posted byブクログ

2025/09/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者の取材に基づいて、世界中にちらばる集団的な心身症や機能障害の実例とその原因となったと思われる社会的背景に迫る本。スウェーデンの難民の少女たちが眠りっぱなしになる「あきらめ症候群」、ニカラグアの先住民の伝統的な病で頭痛やめまいからけいれん、幻視に至る「グリシシクニス」、コロンビアの女子学生が集団でけいれん・気絶などで倒れた「解離性発作」など多くの例がふんだんなインタビュー、取材レポとともに紹介されている。 単に心が身体に影響を及ぼすという話ではなく、患者たちを取り巻く社会環境が病の認識、そして次の患者の出現や症状の悪化に大きく関わっていることを示唆しており、謎に迫るという話の持っていき方と相まってあっという間に読めてしまう。 コロンビアでは子宮頸がんワクチンの反ワクチン活動家が患者をたきつけて不安をあおり、状況を悪化させるだけさせて責任を取っていないという日本でも見たような状況になっておりやるせない気持ちにさせられた。また、心因性の発作であると診断されると周囲の好奇の目や偏見にさらされて辛い思いをし、「詐病ではない」と必死になって純粋に身体的な疾患であることにこだわろうとする患者たちの姿には胸が痛んだ。 「病は気から」的な認識はなんとなくあったけれど、こんなにも重く長引く症状が大勢に心理的・社会的要因で引き起こされるということは純粋に驚きだったし、患者のためになる診断・治療とは何なのか?を問う最後の議論も読みごたえがあって興味深かった。病を告知されることでその病自体に定義されるようになってしまうのが人間だが、今の過剰診断気味の医療は本当に患者を幸せにする方向に向かっているのか?病にとらわれる方向へ向かっているのではないか?という著者の意見、自分にも思い当たる節があって面白かった。医療者の人の感想を聞いてみたい本。

Posted byブクログ

2024/08/26

脳に与える影響を深く知ることができた。韓国の少女の話は自分が納得というかこうだと思ったら医師の診断を自分の思っている診断を下してくれる医師巡りをし、著者に行き着くがやはり他の医師と同じ診断だが、何がそう引き起こしているのか、そして脳波などを調べ本人がこれからの人生きちんと歩めるよ...

脳に与える影響を深く知ることができた。韓国の少女の話は自分が納得というかこうだと思ったら医師の診断を自分の思っている診断を下してくれる医師巡りをし、著者に行き着くがやはり他の医師と同じ診断だが、何がそう引き起こしているのか、そして脳波などを調べ本人がこれからの人生きちんと歩めるようにしてあげたいという願いから入院させ説明するがきちんと本人に伝わらないもどかしさそして脳は受け入れなければこうだと思った行動に出る。 超音波で人を攻撃された外交官。大人で頭のいい人でも騙されて違う原因なのに攻撃されたと脳は信じ、他者も同じような症状がでて集団感染になる。 理由づけがないと不安になり少しでも似た症状があればこれだとおもい同じ症状になる。脳のすごさを知る機会となった

Posted byブクログ

2024/03/20

生物・心理・社会的に精神疾患をとらえなくてはいけないのに、まさしく放っておくと意識的無意識的に生物的、心理的要因に重きを置いてしまう現代近代化社会の傾向をありありと感じた。人間ひとりひとりを著者がつぶさに書くことにより、リアルにひとりの人を想像し感じることができて非常に良かった...

生物・心理・社会的に精神疾患をとらえなくてはいけないのに、まさしく放っておくと意識的無意識的に生物的、心理的要因に重きを置いてしまう現代近代化社会の傾向をありありと感じた。人間ひとりひとりを著者がつぶさに書くことにより、リアルにひとりの人を想像し感じることができて非常に良かった。また、患者のためを思い奮闘しても思うように伝わらない著者のもどかしさも余す所なく書かれていて、医者としての真摯な姿勢を貫きながらも無力を感じていることをこんなにも赤裸々に描いていることに感動した。 生物・社会・心理、この3つを忘れずに意識的に考えていくことの大切さを改めて感じた。同時に、それを相手に伝えることの難しさを知りながらも、あがきながら伝えていく姿勢のなんとかっこよいことか。 オリヴァー・サックスの「火星の人類学者」を以前読んで抱いた感動が蘇ってきたと思ったら、まさかのスザンヌ・オサリバンがその後継者として注目されていると読後に知ってなるほどと思った。

Posted byブクログ

2024/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「病は気から」と言われても、簡単に”気”は変えられない…スウェーデン、ニカラグア、カザフスタン、コロンビア、キューバ、米NY州のル・ロイ。集団奇病を訪ねて世界を歩く。器官の機能に問題はない。かといって演技でもない。思い込みを指摘しても治らない。心が体に及ぼす作用は、想像以上に制御が難しい。生物だけでなく心理や社会という側面でも評価し対処しなければいけない。西洋医学が世界で通じるとは限らない。”おまじない”が功を奏することもある。自身の健康管理にも、人の病に向き合う時にも、心と体の奥深さを思い知らされる。

Posted byブクログ

2023/08/17

スウェーデンで報告されている、子どもたちが無反応で目を瞑ってベッドに横たわっている、という謎の病を調査に行くのは、神経科医の著者。この症例も有名らしいが、ほかに、キューバでアメリカの外交官らが、「音波攻撃」で不調を訴えた例も有名、このような心身症が取り上げられている。 人間の心...

スウェーデンで報告されている、子どもたちが無反応で目を瞑ってベッドに横たわっている、という謎の病を調査に行くのは、神経科医の著者。この症例も有名らしいが、ほかに、キューバでアメリカの外交官らが、「音波攻撃」で不調を訴えた例も有名、このような心身症が取り上げられている。 人間の心と身体、興味深くもあり、怖ろしくもあり。 スウェーデンの症例では、もっぱら難民申請中の家族の子どもが発症する。そして、ほとんどの子は、難民申請手続が遅滞する状況に家族が直面したときに始まる。すなわち、特定の地域、中でも対象者は年齢、社会的背景などにより限定されている。1970年代終盤以降、アメリカ精神医学会のリーダーたちは、心理のみに着目した「心理編重」から、精神疾患は脳の疾患としてとらえるべきという「脳に焦点を絞る」考えが主流になったという。これにより、スウェーデンのような症例が、正しく診断されず、時には症例の広がりや二次被害を生んでいると著者は述べる。 予測符号化は、脳にプログラムされている予測をもとに身体症状を生み出すという。脳は外部情報を経験に基づいて評価する。あきらめ症候群と呼ばれたスウェーデンの症例では、周囲で強制送還に直面している子どもたちが無気力になり、やがて昏睡状態に陥りうることを知っている、すなわち、特定の状況が起きたときに、身体がどう反応すべきかを告げる事前予測を脳にコード化して持っていて、その状況がもとで生じた最初の身体的影響を感じるや否や、脳がシャットダウンを始めたと。 心当たりもあるが、人は何らかの身体の不調に気づいたとき、それに何らかの理由や説明を求める。そこに、似たような事例や、見聞きした情報があれば、それに関連づけて自らの症例を判定する。時には、聞きたい答えを求めて医者を訪ねるかもしれない。何となく怖ろしくもなるが、逆に考え過ぎを戒めることにしたい。 ほかに興味深いのは、製薬会社が製品を売るために、新しい指標を導入したり、判定基準を定めたり、という話。ある日突然、その症例や予備軍が何倍、何百倍に膨れ上がるとか。そうして、また実際に不調を訴える人が増えると。

Posted byブクログ