わたしの香港 消滅の瀬戸際で の商品レビュー
家族との対立、高い家賃と狭い部屋、市民間の格差や分断…香港で生きることに苦悩する著者はやがてその街の文化の中に居場所を見出すが―都市から自由が消えていく様にともに迷い、引き裂かれつつも、そこで生きようとする人々の姿に迫っていく。ミレニアル世代の著者が記録する激動の一九九七年から二...
家族との対立、高い家賃と狭い部屋、市民間の格差や分断…香港で生きることに苦悩する著者はやがてその街の文化の中に居場所を見出すが―都市から自由が消えていく様にともに迷い、引き裂かれつつも、そこで生きようとする人々の姿に迫っていく。ミレニアル世代の著者が記録する激動の一九九七年から二〇二〇年。(e-hon)
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返還前に香港に行った。狭い土地に多くの人が住むためには、高層ビルが建つしかないのだな、と納得の外観だった。中国語も勉強していたが、香港へ行っても、英語が通じるので楽だった。とはいえ、中国でありながら、中国ではない場所。本来中国の領土だった香港が、中国に戻るのは、植民地支配が終わる...
返還前に香港に行った。狭い土地に多くの人が住むためには、高層ビルが建つしかないのだな、と納得の外観だった。中国語も勉強していたが、香港へ行っても、英語が通じるので楽だった。とはいえ、中国でありながら、中国ではない場所。本来中国の領土だった香港が、中国に戻るのは、植民地支配が終わることを意味するので、望ましいことだと思っていた。しかし、返還後起こったことは、それとは逆のことばかりだった。 西欧の支配のもとの方が、人々は自由に行き来でき、自由に意見を述べられていた。中国からの圧力が年々強くなり、母国への復帰が必ずしもハッピーではない。自由系の新聞は廃刊となり、雨傘運動など発言が目立つものは逮捕。親中国系の議員が当選し、政を担う仕組みが作られる。香港映画といえば、アート系あり、はちゃめちゃ系ありと、エンタメ系の一ジャンルで大きな位置を占めていたのに、今は見る影もない。天安門事件で戦車に立ちはだかった男性が話題となったが、今香港で、目に見えて立ち上がる人は見当たらない。皆海外に逃げてしまった。何気に増えている自殺率は、逃げようもない香港の土地故か。著者自身も鬱に悩まされる。
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消え行く香港の姿を自らの自伝と絡めて描いている。筆者は1993年香港生まれ。シンガポールのインターナショナルスクールから香港の現地校、スコットランドの大学にすすみ、社会人になってからは香港をベースとしたジャーナリストとして活動。2014年の雨傘運動はスコットランドにいた時なので参...
消え行く香港の姿を自らの自伝と絡めて描いている。筆者は1993年香港生まれ。シンガポールのインターナショナルスクールから香港の現地校、スコットランドの大学にすすみ、社会人になってからは香港をベースとしたジャーナリストとして活動。2014年の雨傘運動はスコットランドにいた時なので参加せず。2019年の大規模な抗議活動には当事者として参加する。1997年の返還以降、多くの中産階級の香港人が海外に移住していく中で、時を追うごとに強まる北京の統制により、香港社会が受けていくストレスの姿を、筆者の一人称を通じて追体験する物語。チベット、新疆、内モンゴル。香港の次は台湾、その次はいよいよ。。。
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【香港の記録】 1993年生まれ、香港在住ジャーナリストが、香港と自分の関係を綴る。 彼女は、生まれは本土で、小さいときに親戚のつながりもあり香港に越してきてから、インターナショナルスクールに入学。 自分は香港人と言ったのは、英語ボランティアでトルコに行ったとき。 大学は香港、でも交換留学で一時期スコットランドへ。 卒業後は香港に在住し、ジャーナリストとして活動されているらしい。 第一部では、自己の生まれと所在について、香港という特殊な土地との関係とともに、自分の家とは、家庭とは、そして故郷とは、という問いとともに生きる彼女の幼少期から小学校ぐらいのあいだのことを綴る。自分にとって香港とは何なのか、この問いは本書を通して綴られている。 両親は著者が幼い頃から別居中で、母は弟を連れてシンガポールへ。 祖母と父と暮らす彼女の家庭事情は、なかなか息苦しそう。 伝統としてある家族への義理みたいなことも書かれていて、日本もこの伝統、共有しているところがあると思った。 第二部では、精神的な病の体験、香港の精神疾患の現状や医療関係にも言及。 2014年の雨傘運動を。彼女は交換留学中に画面越しに見た。自分と同世代の学生が活動をリードする傍ら、当事者となれなかった未練みたいなのが、ずっと彼女を覆っている。 その一方で、親元を離れた学生生活は、彼女が香港について発見し、揺れながらもその土地に属するものとして関わっていこうと覚悟する過程でもあったのだと思う。 第三部では、ジャーナリストとしての彼女が、香港について書くことについて、書き手のあり方、書く際の言語についてなど、香港独自の事情を踏まえて論じる。地元に根差したジャーナリズムの在り方についても。 そして、自分を生かしてきた音楽やサブカルチャーもたくさん紹介する。 日々の生活をかけて活動する地元の人たちがいる一方で、インターナショナルスクールに通い、英語も使えて、別に市民活動に身を投じなくても生きていける身分。自己欺瞞と彼女は言う。彼女なりに何とか折り合いをつけようとしているのかもしれない。そもそも建設的なあいまいさで成り立っているような土地で、一人の人が背負うにはとても大きな問いだと思う。 まったく状況が違うけれど、日本にいても、特に日常に困らずに生活できる立場にある時、社会を変えるために活動するには何らかの正当化理由が必要なんじゃないか、ってなる。わざわざ社会のために、途方もない努力をしなくても、自分の生活を快適に過ごすことを優先する方が断りにかなっている、とか。必要に迫られてじゃない社会活動は、自己欺瞞とされても無理はない、とか。 そうかもしれないけれど。 以下、引用。 消えそうとしてると彼女が言う香港。 彼女が自分自身を自己欺瞞と言いながらも、記録し続ける、関わり続ける、その場に居続ける、その彼女の生きる香港について。本書を通して、少し知ることができた。
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香港について、僕が知っていたことはかなり限られていて、留学の話があって初めて興味を持った。一言で言えば、環境的にも社会的にもディストピアな都市であったのは間違いない。その中でも、もちろん喜びがあって、その様子を瑞々しく描いている。雨傘革命に関する映画も観てみたいと思う。
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本屋でたまたま手に取ったら、好きな翻訳家の一人である古屋さんが邦訳されたと知り、ジャケ買い。 『転がる台湾に苔は生えない』とほぼ同時期の香港を、中国本土にもルーツを持つ著者が、自分の半生とともにつづったノンフィクション。 知らないバンド名が羅列される箇所もあり、読み進めるのは少...
本屋でたまたま手に取ったら、好きな翻訳家の一人である古屋さんが邦訳されたと知り、ジャケ買い。 『転がる台湾に苔は生えない』とほぼ同時期の香港を、中国本土にもルーツを持つ著者が、自分の半生とともにつづったノンフィクション。 知らないバンド名が羅列される箇所もあり、読み進めるのは少ししんどいこともあったが、英語ができる香港人、という筆者の立場からは、「外国人が見ている」香港と、「地元の人が見ている」香港の対比が鮮やかで、そのはざまで苦闘する筆者の姿に、どこか共感を覚えた。
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量が多いので、パラパラと流し読みで読了。 つまらなくはないけど、 この分厚さを読み通すほど、 彼女の人生にも香港にも興味を 持てなかった。
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返還直前に生まれ、2010年代から香港で起こってきたデモを体験して取材もした筆者による、自伝も兼ねた返還以降の香港年代記。中国に生まれながらも香港市民としてのアイデンティティをもつ筆者だが、自らの半生と香港の社会及びカルチャー面の移り変わりを客観的に見て記している。映像やニュース...
返還直前に生まれ、2010年代から香港で起こってきたデモを体験して取材もした筆者による、自伝も兼ねた返還以降の香港年代記。中国に生まれながらも香港市民としてのアイデンティティをもつ筆者だが、自らの半生と香港の社会及びカルチャー面の移り変わりを客観的に見て記している。映像やニュースでは伝わりにくい複雑さを香港は持っているが、このような市井のジャーナリズムは実に貴重であるし、これまで自分が通ってきたそれぞれの年代の香港の姿も重ね合わせて理解して読める。
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「刺さる」1冊だと思った。ぼくはついつい香港を扱った作品の中に「メディアが流布した」「おなじみの」風景を見てしまう。洗練された先端をゆく都市にして、催涙ガスの匂いが漂う自由民主化の土地でもある、と。違う、とこの著者は冷や水を浴びせる。著者はカミングアウトするのに勇気を要しただろう...
「刺さる」1冊だと思った。ぼくはついつい香港を扱った作品の中に「メディアが流布した」「おなじみの」風景を見てしまう。洗練された先端をゆく都市にして、催涙ガスの匂いが漂う自由民主化の土地でもある、と。違う、とこの著者は冷や水を浴びせる。著者はカミングアウトするのに勇気を要しただろう自らの生きづらさにあふれた半生まで綴って、そうした既存の香港を描くジャーナリズムが見ようともしない「わたしの香港」を克明に描写する。それは世界的な風潮である英語帝国主義やオリエンタリズムをも指弾する域に達しこちらを冷徹にたたっ斬る
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香港のこと、過去20年くらいのことは、自分も何度も行き、かなり知ってたとはいえ、「なかの人」からの語りというのは、友達もいない身としては貴重。とはいえ、これはこの人の経験であって、人それぞれなのであろうということを改めて感じた。香港人と言ってもいろいろである、ということを。本人の話と、何人かの周りの人の話が書かれているが、それ以外さらに、いろいろな人やことがあるのだろうなと思えた。 周りの人の中にはなーんと黄
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