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AIとSF の商品レビュー

4.3

19件のお客様レビュー

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2024/06/15

2024年6月10日読了。2022年からの生成AIブームの高まりを受けて企画された、AIをテーマにした書下ろしSF短編アンソロジー。厚い単行本ではあるが22人のSF作家が寄稿しておりショートショートというよりは少し長い、沢山の話が読めて面白い。まあ「AIと人間とは?」というテーマ...

2024年6月10日読了。2022年からの生成AIブームの高まりを受けて企画された、AIをテーマにした書下ろしSF短編アンソロジー。厚い単行本ではあるが22人のSF作家が寄稿しておりショートショートというよりは少し長い、沢山の話が読めて面白い。まあ「AIと人間とは?」というテーマってそれこそ60年以上前からずっとSFが追求してきたテーマでなので、生成AIが爆発的ブームになったとは言えSF作家の想像力にも限界があるもんだよなあ…とは思う。『智慧練糸』なんかは今っぽくて面白いが数年たつとこの設定も陳腐化してしまうのでは、という気もする。ハードにAIの行く末を考察したようなSFより、『準備がいつまで経っても終わらない件』のようにコメディっぽかったり『予言者の微笑』のようにロマンティックだったりする短編の方が面白かった。

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2024/04/17

日本を代表するSF作家たちがAIを切り口にした短編を書いているということで、深く考えずに購入しました。600ページ以上の大作ですがあっと言う間に読了しました。各作品の冒頭に書かれている1ページの解説が、作品理解にとって非常に有用でした。AIがもたらす未来像を考えるにあたって様々な...

日本を代表するSF作家たちがAIを切り口にした短編を書いているということで、深く考えずに購入しました。600ページ以上の大作ですがあっと言う間に読了しました。各作品の冒頭に書かれている1ページの解説が、作品理解にとって非常に有用でした。AIがもたらす未来像を考えるにあたって様々なヒントをもらった気がします。 以下自分の備忘録として各作品の要点を書きますが、各作品のキーワードが入っていることもあると思いますので、そのあたりはご容赦ください。 <以下ネタバレにつながるキーワードが入っているケースもあります> 『準備がいつまで経っても終わらない件』:自ら問いを発するAIの凄さと恐ろしさ。 『没友』:亡くなった人間として存在するボット 『Forget me, bot』:AIの回答をエンジニアする。AIに「忘れさせる」テクニック。 『形態学としての病理診断の終わり』:過去のデータ分析はAIに、新領域を人間に。 『シンジツ』: AIによる真犯人特定。ただしAIによる冤罪も起こりそう。 『AIになったさやか』: 亡き人がAIとして「生き続ける」時代の到来。 『ゴッド・ブレス・ユー』: 亡き人がAIになるだけでなく、体も保有する時代の到来。 『愛の人』:感情労働を担うAI 『秘密』:AIに自分の顔を使う許可を与える売顔というビジネス 『予言者の微笑』:AIによる世界滅亡の予言 『シークレット・プロンプト』:超監視社会とマイノリティ排除 『友愛決定境界』:誰が友で誰が敵かを決めるのは誰? 『オルフェウスの子どもたち』:ペーパークリップ・マキシマイザーの建物版 『智慧練糸』:仏師が生成AIを使ったら・・・(コメディ) 『表情は人の為ならず』:表情→文字情報としての感情への変換 『人類はシンギュラリティをいかに迎えるべきか』:人類リセット計画 『覚悟の一句』:AIにおける心や意識 『月下組討仏師』:言葉を介さず脳内イメージを直接アウトプットしてくれるAI 『チェインギャング』:モノが人をコントロールする世界 『セルたんクライシス』:アシモフ作品のオマージュ 『作麼生の鑿』:素のままのところに仏はいる?生成しないAI 『土人形と動死体』:AIが生み出すもの、AIによる人間のなれの果て

Posted byブクログ

2024/01/29

AIの発展や利用の著しい昨今、具体的な話としてどのような未来像が描かれているのかを知りたくて読んだ。読了して、その目的は無事に達成されたと思う。 作品集として楽しく、また興味深く読ませてもらった。すべてについて語ってみたいが、あえて一つだけ挙げるなら「AIになったさやか」が印象...

AIの発展や利用の著しい昨今、具体的な話としてどのような未来像が描かれているのかを知りたくて読んだ。読了して、その目的は無事に達成されたと思う。 作品集として楽しく、また興味深く読ませてもらった。すべてについて語ってみたいが、あえて一つだけ挙げるなら「AIになったさやか」が印象深い。読み手の先入観、あるいは願望を覆す物語で、よく練られた構成だった。

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2024/01/22

 日本SF作家クラブ編集による短編集である。ポストコロナとSF(2021)、2084年のSF(2022)に続く書下ろしアンソロジー。  まだ”AI”という言葉がなく、電子頭脳あるいは電子計算機、単にコンピューターと呼ばれていた時代からそれらを題材にした小説があった。人間に造反し...

 日本SF作家クラブ編集による短編集である。ポストコロナとSF(2021)、2084年のSF(2022)に続く書下ろしアンソロジー。  まだ”AI”という言葉がなく、電子頭脳あるいは電子計算機、単にコンピューターと呼ばれていた時代からそれらを題材にした小説があった。人間に造反したり、反乱を起こしたりするものが多かったような気がする。本書にはそんな単純な話はない。現在では実際に人間の能力と同等のAI(人工知能技術)が登場してきたからである。帯にある「未来をつかむのどちらか?」のとおり、未来は一体どうなるのであろうか、気になるといえば気になる。  本書の最後に収録されてる「この文章はAIが書いたものではありません」は、小説ではなく大学の先生が書いた「現在のAI」についての解説である。AIってよくわからないと感じている方は、これを最初に読んだほうがよい。

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2024/01/06

こいつはオモシロい。 そもそもは品田遊さんの作品が読みたくて手にとってみたけど、22人の作家によるAIと人類の未来には圧倒されるばかり。 とはいえAIについては懐疑的な未来を提示する作家さんが多い。そうかな? 「AIも単なる技術で、普及すればAIとは呼ばれなくなる」とする鳥海さん...

こいつはオモシロい。 そもそもは品田遊さんの作品が読みたくて手にとってみたけど、22人の作家によるAIと人類の未来には圧倒されるばかり。 とはいえAIについては懐疑的な未来を提示する作家さんが多い。そうかな? 「AIも単なる技術で、普及すればAIとは呼ばれなくなる」とする鳥海さんの解説は、まったくその通りだね。

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2023/12/12

・月下組討仏師 ・準備がいつまで経っても終わらない件 ・シークレットプロンプト がお気に入り。 ・智慧練糸 は抱腹絶倒。ところでこれの読み方がいまだにわからない……

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2023/11/25

エンタメか純文学かわかりにくくはる。AIが映画で普通になったあと、実社会は様々なAIという名のもとでしんとうしていったが、このSFの未来がここに書かれているより現実に理解可能なもので進化していくのはなんとなく想像していける。

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2023/12/19

現在からの延長線上の話だけではなく、「考え方だけSFの要素」っぽい作品もありぶっ飛びすぎて 「今何の話?」と置いてけぼりになる部分もしばしば…そこの理解できる部分が少ないのが私の弱点で、ちゃんと言葉の定義と関係性を図示して整理しないとわからないままになりそう。 で、そここそ一番読...

現在からの延長線上の話だけではなく、「考え方だけSFの要素」っぽい作品もありぶっ飛びすぎて 「今何の話?」と置いてけぼりになる部分もしばしば…そこの理解できる部分が少ないのが私の弱点で、ちゃんと言葉の定義と関係性を図示して整理しないとわからないままになりそう。 で、そここそ一番読みたい部分なので… 読みたいけど理解しきれずという悶々読了。 気になった作品だけ再読する(しても良いくらい長いので忘れてる話もある) 微妙にアニメなどでよくあるモテ設定入れてきた話がなんか邪魔に感じるくらい違和感があった。

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2023/11/02

22人の作家による短編集。 AIとの未来をいろんな形で描いていて面白かった。 冤罪の救いとなるか「シンジツ」、不確定要素のある未来「預言者の微笑」、野崎まど氏のユーモラスな「智慧練糸」、そして雰囲気が好みの「土人形と動死体」が良かった。 ボリューム満点お腹一杯。

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2023/09/15

22名の作家達によって紡がれる,AIを伴うSF世界.類似の発想はほぼなく,豊かなアイデアの世界を堪能できる.結局行き着くところは,生物とは何かという定義になる.子孫が残せ,…という昔からの定義は,少子化(あるいは遺伝的欠損)で子供が残せない人類が一定数いる現状から,曖昧になりつつ...

22名の作家達によって紡がれる,AIを伴うSF世界.類似の発想はほぼなく,豊かなアイデアの世界を堪能できる.結局行き着くところは,生物とは何かという定義になる.子孫が残せ,…という昔からの定義は,少子化(あるいは遺伝的欠損)で子供が残せない人類が一定数いる現状から,曖昧になりつつあることは否めない.将来的に現在の定義ではヒトといえない(しかし,ヒトとの区別がほぼつかない)生命体がヒトを数的に凌駕すると容易に予想され,定義が浸食されることだろう.本作の中でも,その曖昧性を描く作品が散見される.フィクションとして楽しむも良し,一つの未来の形である緩やかなディストピアと感じるもまた良し.

Posted byブクログ