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名画を見る眼 カラー版(Ⅰ) の商品レビュー

4.4

16件のお客様レビュー

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2024/11/28

高階秀爾さんの訃報を知り手に取った本。もともと半世紀前に出版された本のカラー版であり、とてもわかりやすい。 各章は一枚の絵から始まる。読み終わっていると画家の一生や複数の絵も理解でき、時代背景、西洋美術史の潮流とこの絵・画家の位置付けがすっきりと頭の中に収まる。私は技術にはまっ...

高階秀爾さんの訃報を知り手に取った本。もともと半世紀前に出版された本のカラー版であり、とてもわかりやすい。 各章は一枚の絵から始まる。読み終わっていると画家の一生や複数の絵も理解でき、時代背景、西洋美術史の潮流とこの絵・画家の位置付けがすっきりと頭の中に収まる。私は技術にはまったく明るくないが、画家の技術的な有能さ、社会やパトロンとどう向き合ってきたかの問題意識もわかる。 前半はデューラーの「メレンコリア・Ⅰ」が印象的。終盤のクールベの「画家のアトリエ」、マネの「オランピア」の解説あたりから、時代が急展開してきている感覚がひしひしと伝わってきて、続編の期待を大いに高めてくれる。 歴史は大好きだが、美術はよくわからなかったという私のような身にとっては傍らに置きたい本だ。

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2024/11/07

以前近代絵画史の本でとても分かりやすい解説だった著者の油彩画から近代までで代表する作品の紹介 タイトルの通り、前半と後半は印象派の時代が境目になっているが、 やはり当時エポックメイキングな出来事だったのだろう 確かにパトロンからの依頼に自身の筆をどう反映しているかから、画家自...

以前近代絵画史の本でとても分かりやすい解説だった著者の油彩画から近代までで代表する作品の紹介 タイトルの通り、前半と後半は印象派の時代が境目になっているが、 やはり当時エポックメイキングな出来事だったのだろう 確かにパトロンからの依頼に自身の筆をどう反映しているかから、画家自身の考え方を表現することへ時代と共に変化していくことがよく分かる ヨーロッパ史、特にフランス革命に至るまでの流れや思想の変容と合わせて考えるとかなり面白い

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2024/11/03

 西洋近代社会の例に見られるように、文化は、聖から俗へ、富裕層から庶民層へと広まっていきます。  日本でいえば、太平洋戦争後の焼け野原から奇跡の復興を図っていく1960年代の高度経済成長期以降、クラシック音楽も美術鑑賞も庶民層に広がっていったそうです。  そして、その当時から美術...

 西洋近代社会の例に見られるように、文化は、聖から俗へ、富裕層から庶民層へと広まっていきます。  日本でいえば、太平洋戦争後の焼け野原から奇跡の復興を図っていく1960年代の高度経済成長期以降、クラシック音楽も美術鑑賞も庶民層に広がっていったそうです。  そして、その当時から美術鑑賞の指南役となっていたのが、本書の著者である高階秀爾先生だったということです。  わたしが、高階先生を知ったのは、NHK教育テレビ(今のEテレね)の「日曜美術館」という番組でした。  丁寧に作品の解説をしていらっしゃいました。  その語り口はエレガントで、時にはお洒落な冗談もおっしゃる。  子どものくせに、知的なものを精一杯背伸びして吸収しようとしていた当時のわたしには分かりませんでしたが、後に、これがエスプリというものだと知りました。  この本の初版は1969年10月。カラー版の本書は2023年5月に発行されています。 作品の批評は微に入り細に及び、膨大な知識と緻密な研究成果から解説されています。  美術作品の部分を捉えて仔細に描写していく筆致は、まるでフランス近代ロマン派作家のユゴーやバルザックの背景描写を読んでいるように的確であり流麗です。  また、西洋文化の基盤となっているキリスト教の秘蹟やギリシア哲学から連なる2500年間の思想背景も併せて説明してくださっています。  20世紀末以降、美術批評や美学の潮流は様々に分化し、作品もデジタル技術(死語か?)を取り入れたインタラクティブな現代アートが拡張しています。  3DMRIやAIなどの技術を駆使した名画の分析研究も盛んです。  このような現代の状況にあっても、高階先生の美術批評は一時代を築いた金字塔です。岩波新書がカラー版を2023年に発行したことも証と言えるでしょう。 (『 Ⅱ - 印象派からピカソまで』も同年6月に発行されています。)  ぜひ、新書というサイズの利点を活かして本書をバッグに入れ、紅葉鮮やかな日当たりの良い公園や、落ち着いた雰囲気のカフェなどでページを繰っていただきたいと思います。  超一流のキュレーターが企画した展覧会を、最高の解説者の話を聞きながら観覧するようなものですから。  「文化の日」を前に 哀悼をこめて

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2024/09/29

再読。いや、カラー版となった新装版として初読。 インターネットで画像検索すればカラーで見る事は出来るが、参考図板の画像まで掲載され、より読書に集中出来る配慮がされている。 内容は丁寧にして簡潔明瞭。時代背景にも触れている。 この中では、ラファエルロ「小椅子の聖母」、デューラー「メ...

再読。いや、カラー版となった新装版として初読。 インターネットで画像検索すればカラーで見る事は出来るが、参考図板の画像まで掲載され、より読書に集中出来る配慮がされている。 内容は丁寧にして簡潔明瞭。時代背景にも触れている。 この中では、ラファエルロ「小椅子の聖母」、デューラー「メレンコリア・I」、フェルメール「絵画技術」、ターナー「国会議事堂の火災」が好き。

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2024/09/21

今まで「綺麗だな〜すごいな〜」だけだった名画への解像度が上がり、とても勉強になった。 それぞれの国や宗教的な背景が絵にあらわれていることを知り、昔の時代に思いを馳せるきっかけになった。 海外の美術館にも行ってみたい。

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2024/09/14

宗教画としての絵画も、識字率の低い時代に聖書を読めない人のためという側面もあるので、元々絵画は読み物であるという観点から言うと、とても勉強になる一冊。 作品の背景や作家が表現したかった事を知る事で、作品の表象的な理解にとどまらず、深く理解することができる。

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2024/09/08

絵画をなんとなく見ていたものにとって、とても勉強になる本。絵画の持つ「目で見るもの」という機能と「目に見える以上の寓意を描くことができる」という機能、「作者が書いた以上のものを読み取ることもできる」という意味で本質的には文章でのコミュニケーションとほぼ同義なのかもしれない。2も読...

絵画をなんとなく見ていたものにとって、とても勉強になる本。絵画の持つ「目で見るもの」という機能と「目に見える以上の寓意を描くことができる」という機能、「作者が書いた以上のものを読み取ることもできる」という意味で本質的には文章でのコミュニケーションとほぼ同義なのかもしれない。2も読まねば。

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2024/09/02

絵画の見方を、要を得た文章で伝えてくれる。白黒版を若い頃に読んでいたが、内容はほぼ忘れていた。図版がカラーになったことは喜ばしい。白黒では分からなかった部分がかなりあったからだ。しかし、初読の時ほどの感激はなぜかなかった。感性、経験、知識ともに深化してしまったがゆえか。

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2024/04/29

「西洋美術史入門」の本というにはあまりにも高度で深い解説。取り上げられている15点の絵画は有名なものばかりですが、絵画の技法のみならず、神話、歴史、哲学、宗教や音楽に至るまで様々な視点から論じられていて、まさに「絵画とは全人間的な精神活動(あとがきより)」と感じさせられます。絵に...

「西洋美術史入門」の本というにはあまりにも高度で深い解説。取り上げられている15点の絵画は有名なものばかりですが、絵画の技法のみならず、神話、歴史、哲学、宗教や音楽に至るまで様々な視点から論じられていて、まさに「絵画とは全人間的な精神活動(あとがきより)」と感じさせられます。絵について論じる著者のことばの選び方と表現力には舌を巻いて感嘆するばかりでした。絵画の知識を得るだけでなく、文学作品のように読みごたえもある1冊です。 ―「オランピア」には、今にも崩れ去ろうとする壮麗な建築を最後の一点で辛うじて支えているような緊張感と不安感とがある。

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2024/04/09

15点の有名な絵画について、著者の保有する広範な知識や経験を基にその作品の背後に隠された様々なエピソードが次々に現れる好著だ.現物を見たものはなかったが、画集などで出会ったものが多かったが、ここまで綿密に解説してある事例はなかった.今後の絵画鑑賞の手引きとしたい.特にフェルメール...

15点の有名な絵画について、著者の保有する広範な知識や経験を基にその作品の背後に隠された様々なエピソードが次々に現れる好著だ.現物を見たものはなかったが、画集などで出会ったものが多かったが、ここまで綿密に解説してある事例はなかった.今後の絵画鑑賞の手引きとしたい.特にフェルメールの「絵画芸術」の論評が楽しめた.

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