「AV女優」の社会学 増補新版 の商品レビュー
作者の他の作品を経てから読むと文体がまだ定まってないというか混ざってるのが興味深かった。サブタイトルにあるように自らを語っている具体的な声のサンプルが欲しかったけど、これはサンプル収集ではなく収集したものから持論を組み立てている論文なのでしょうがないか。
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サブタイトルに 「なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」 とある。 その答えの一つは「それも仕事のひとつだから」。 第6章「動機を語る動機」にそれは詳しい。 「性的欲望喚起としてのコンテンツ」 「語り演出するという業務」 「戦略として語り」「自己陶酔」。 ただ本書に一貫しているのは...
サブタイトルに 「なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」 とある。 その答えの一つは「それも仕事のひとつだから」。 第6章「動機を語る動機」にそれは詳しい。 「性的欲望喚起としてのコンテンツ」 「語り演出するという業務」 「戦略として語り」「自己陶酔」。 ただ本書に一貫しているのは 「複雑にからみあった」 「きれいに峻別するのは難しい」(P16) という立場。単純ではない、複雑なのだ。 だから視点が経済学、倫理学、社会学を自由に 行き来し、多角、深みを増す。 根底に著者の、AV女優(セックスワーカー)への純粋な 興味があるのだろうと思っていたが、 この点に関しては『限界から始まる』 での上野千鶴子の本書への指摘が鋭い。 「『経済的強制』によらずに、 好奇心や反発心、挑戦的な気持ちや、あるいは 自傷動機から参入してくるあなたのような若い女性」 「性の市場のジェンダー非対称性をよく知っているから こそ、そのしくみを逆手にとってつけこもうとする 女性たち」(P28)。 「人間の愚かさよりは、けなげさやいじらしさを たっぷり学ぶ方が、どれほどよかったでしょう」(P31) というのも共感できる。 「シニシズムは結局、何も生み出しません」(P31) 気持ちいい位明快だ。
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