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その気持ち、なんて言う? の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2023/12/19

言葉のプロたちが、まだ言葉にされていなかった感情に言葉で輪郭を引く。それぞれが出した答えが面白いのはもちろん、同じくプロによる解説を読むことで、まだこんな表現ができるのかと豊かさが増す。印象的だったのは、寝落ちの瞬間を書いた開高健さんの文章に対して、村山由佳さんが書いた解説(P2...

言葉のプロたちが、まだ言葉にされていなかった感情に言葉で輪郭を引く。それぞれが出した答えが面白いのはもちろん、同じくプロによる解説を読むことで、まだこんな表現ができるのかと豊かさが増す。印象的だったのは、寝落ちの瞬間を書いた開高健さんの文章に対して、村山由佳さんが書いた解説(P27)。ああ、言語表現はもっと楽しいものなのだなとハッとさせられた。

Posted byブクログ

2023/12/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・この番組を制作して一番感じたのは、言葉にしてみると、ささやかな日常が何か特別なものに見えてくるということです。 ・日常を劇的に変えることはできないけれど、日常を見つめるまなざしは言葉によって変えることができる。 ・寝る前にスマホを触り過ぎて、気がついたら2時半!→結局残ったのは 1%の内容と ブルーライト色の後悔 ・好きな人にメッセージを送り待つ、この気持ち何と言う?→世界で最も平等なのは “時間”です …というのは嘘だ。 どこぞの誰かが カップ麺が湯立つのを 待つ3分と、 私があなたの返信を 待つ3分とが、 同じなわけがない。 ・気なるあの人と飲んだ。終電が刻一刻と近づいているが、言い出せない。→いま口を開けば、 この時間に名前がついてしまう。 この空間に輪郭が引かれてしまう。 できればこのまま時空の座標から抜け落ちて、 何もない場所を漂っていたい。 ・じつは、なんの力ももなかったあのころの自分に会いに行くのが同窓会のような気がします。 ・SNSでときどき覗く、友人のキラキラした日常にもやっとする。自分の日常が不満なわけじゃないけど… →SNSは、白雪姫に出てくる魔法の鏡のように自分の見せたいもの、自分が見たいものを見てしまう。泣きながら文字を告知をしているのかもしれないし、そこの一面だけでは何も判断できない。 ・武器としての言葉を たくさんインストールする ・若者の本離れ、と言われて久しい世の中です。でも、今の若い人も、言葉そのものはすごく好きなんじゃないかな、と私は思っています。 ・比喩には、読者を文章に対して能動的にさせる力があると思っています。 ・比喩って、効果的なものが1ページか2ページに一つあるぐらいのほうがむしろ輝くんです。 ・私にとって言葉は、自分の内側から吐き出すようなものではない。そうではなくて、自分と他人との間にもあるものが言葉、という感覚です。 ・自分の周囲のごく狭い範囲だけを観察している限り、言葉には唯一の正解があるように思えてきます。でも、実際には、言葉はさまざまな人がさまざまな場所で使っています。言葉の多様性を理解するのは大切なことです。

Posted byブクログ

2023/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

その気持ち、なんて言う? 嬉しいとか、悲しいとか抽象的な言葉の表現ではなく かなり限定的な感情をどう言い表すかを 芸人、女優、小説家、ミュージシャン などがドラマチックかつ印象的な言葉で表現されている本書 ●好きな人にメッセージを送り待つ。 この気持ちなんて言う?  →世界で最も平等なのは時間ですと、言うのは嘘だ。カップ麺が湯立つのを待つ3分と、私があなたの返信を待つ3分とが、同じな訳が無い。(水野良樹) ●私には好きな人が居る。でも彼が楽しそうに他の子と話しているのを見るとなんだか落ち着かない。2人は付き合っている訳ではないのだろうけれど… この気持ちなんて言う?  →気が付けば、わたくしは一面の空に星のような砲弾を降らせていた。夜の中を去りながらほんの半日前、あなたの瞳が本当はわたくしに対しても分け隔てなく美しかったことを、帰れない家のように思い出していた。(島本理生) ●あと少し乗り切れば。ちょっと一息つけるはずのタイミングでクレームが発生。 この気持ちなんて言う?  →石になったからだが人間のようにふるまっている。 ●久しぶりに友達と飲んで給料の話になった。友達の収入が自分よりずいぶん高かった。 この気持ちなんて言う?  →一緒に走ろうと言われて抜かされたマラソン大会のヨーイドンが聞こえた(吉澤嘉代子) ●お世話になった先輩が引退することになった。もっと「ありがとう」以上の ことを言いたいのに… この気持ちなんて言う?  →恩人としての顔を、君は見せた試しは無かったが、喜びにつけ悲しみにつけ、君の徳が僕を潤すのを密かに僕は感じた。僕は君と生きた縁を幸いとする。(川端康成:親友への感謝 横光利一の葬儀で読み上げた弔辞) ●時々のぞく友人のSNS。別に今の生活に不満があるわけでは無いのにモヤモヤする この気持ちなんて言う?  →私が今笑っているのか泣いているのかが、私にしか分からないように、あの子の本当の笑顔も涙も液晶は写さない。 ●もう日曜日が終わる この気持ちなんて言う?  →現在、日曜を、日曜として楽しむことが出来ない。日曜の陰に隠れている月曜の、意地悪い表情におびえるのだ。(太宰治:正義と微笑) ●青春と言う言葉はあるけれど、その一言じゃ語り切れない この気持ちなんて言う?  →飛び出す、という言葉を、僕たちは体現できる。17歳のこの瞬間だけ(朝井リョウ:桐島部活辞めるってよ) ●いつまでも食べられると思っていたカルビ。まさかこんな日が来るなんて この気持ちなんて言う?  →久しぶりにあの人を見かけた。変わらない貴方に変わりゆく私。青春の輝きはそのままに。でも、もう貴方じゃないみたい(吉澤嘉代子) ●来週からもう7月。もう半年経ったんだ… この気持ちなんて言う?  →いつもいつも、この速度を忘れて過ごしている。

Posted byブクログ

2023/09/29

2023/09/29 この番組オリジナルで出た表現がたくさん出てくるのかと思ってたけど、既出の本や文豪たちの本からのフレーズが結構多くてイメージと少し違った。朝井リョウと綿矢りさとヒャダインがなんかいいなーっていう表現が多かった!

Posted byブクログ

2023/09/05

吉澤嘉代子さんの言葉はいつもまっすぐで強くて、でもきらきらしてやわらかくてすごく好き! ご本人も、紡がれる言葉そのままのお人柄でとっても素敵 照史くんが出てるから見始めたけど、 言葉を楽しく深堀りできる番組でめちゃくちゃおもしろかった。普段流してしまうような感情も言語化すること...

吉澤嘉代子さんの言葉はいつもまっすぐで強くて、でもきらきらしてやわらかくてすごく好き! ご本人も、紡がれる言葉そのままのお人柄でとっても素敵 照史くんが出てるから見始めたけど、 言葉を楽しく深堀りできる番組でめちゃくちゃおもしろかった。普段流してしまうような感情も言語化することで日常のワンシーンになるのね、、、 本は手軽に番組を振り返れる感じでさくさく読めてよかったです。

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2023/08/06

言葉の力について、朝井リョウさんのパート 「比喩表現があると、読者はそこに自分の人生経験を差し出しながら意味を補填することになる」 「作者と読者がお互いの人生を差し出し合って補完し合う1種の「共犯関係」が成立している気がする」 細部まで語彙にこだわったことがわかる表現、普段...

言葉の力について、朝井リョウさんのパート 「比喩表現があると、読者はそこに自分の人生経験を差し出しながら意味を補填することになる」 「作者と読者がお互いの人生を差し出し合って補完し合う1種の「共犯関係」が成立している気がする」 細部まで語彙にこだわったことがわかる表現、普段言葉にできないほど些細だけど身に覚えのある感情、だから朝井リョウさんのことが好きなのだなぁと改めて思った(愛)

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2023/07/17

色んな方の表現があって、共感するものもあれば なるほどって勉強になるものもあったり。手軽に読めるからスキマ時間にオススメ!

Posted byブクログ

2023/07/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

Eテレの番組「言葉にできない、そんな夜。」を書籍化。 4分の3はお題から生まれたまたはお題に当てはまる文章が掲載、残り4分の1は番組に関わった方(かな?)の言葉に関する特別インタビュー。 Eテレの青少年向けの番組なのかな?お題が恋愛と仕事の悩みが多かったです。お題に関する名言集のように読めます。 文豪の言葉は少ない言葉でビシッと決めてくる。最近の方の文章は優しい言葉でできていて読み手の枠に収められるためにその枠に対して形を変えられるように感じました。時代の流れですね。 きらりと光る良い文章…と思い、文章の最後に記載の作者名を確認すると太宰治でした。たくさんの文章の中で光って見えるとはすごい。 月曜は黒、火曜は血、水曜は白、木曜は茶、金曜は光、土曜は鼠、そうして、日曜は赤の危険信号だ。淋しい筈だ。(P126~127) 太宰治「正義と微笑」 https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1577_8581.html 川端康成もやっぱりすごい。 僕は君と生きた縁を幸(さいわい)とする。(P114) 横光利一への弔辞として読まれた「親友への感謝」 特別インタビューは五名の方、どの方のインタビューもとても面白かったです。 朝井リョウさん(小説家)、金原ひとみさん(小説家)、最果タヒさん(詩人)、吉澤嘉代子さん(シンガーソングライター)、飯間浩明さん(国語辞典編纂者) 特に心に残ったのは最近読んだ他の本にも似たようなことが書かれていた朝井リョウさんのインタビューの中の文章です。 比喩や、少し飛んだ表現のようなものがあると、読者はそこに自分の人生経験を差し出しながら意味を補填することになります。文章に能動的になるのです。(P162)

Posted byブクログ

2023/07/01

言葉にできない時のモヤモヤ感が払拭されます。感情を連ねる言葉に想像力を煽られる読者。意味深な含みを持つ言葉を駆使する作者。言葉は選り取り見取り。日本語、天晴。

Posted byブクログ

2023/06/02

これまでにも今の自分の気持ちにしっくりくる言葉が見つからない時があった。 その度に、語彙力や経験値が足りてないなと感じて歯痒かった。 そんな言葉にできない瞬間を、見事に表現していく人たち。 他人の言葉のはずなのに、自分のことのように思わせてしまうから不思議。

Posted byブクログ