評伝 伊藤野枝 ~あらしのように生きて~ の商品レビュー
確かにこの時代は社会主義者たちを国家は弾圧して、大杉・野枝は虐殺されるという今では想像も出来ない出来事だけれど、でも今の時代の方が目に見えない何かで遥かに束縛されているような気がする。大杉が生きた時代はお金がなくても、会社員にならなくても、定住する家がなくても結構自由に生きていら...
確かにこの時代は社会主義者たちを国家は弾圧して、大杉・野枝は虐殺されるという今では想像も出来ない出来事だけれど、でも今の時代の方が目に見えない何かで遥かに束縛されているような気がする。大杉が生きた時代はお金がなくても、会社員にならなくても、定住する家がなくても結構自由に生きていられた。もちろんそれはほんの一面なのだけれど、そんなことをこの時代の様子を描いている著書を読むたびに思う。彼は本当に自由を生きた人たちだ。大杉伊藤らの子供達のその後も描かれていたのは、今までに読んだ書物にはなくその点でも秀逸だ。
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おそらく、現時点で一番新しい伊藤野枝の評伝。 伊藤野枝という希代の女性、ひとりの人間の思い、その生き様が描かれている。 あの時代に一人の人間として自分の人生を生きたい、と強く思い、それを実行した、その姿に引き込まれ一気に読了。 最終章では、辻潤との子 辻まこと、大杉栄との子 ルイ...
おそらく、現時点で一番新しい伊藤野枝の評伝。 伊藤野枝という希代の女性、ひとりの人間の思い、その生き様が描かれている。 あの時代に一人の人間として自分の人生を生きたい、と強く思い、それを実行した、その姿に引き込まれ一気に読了。 最終章では、辻潤との子 辻まこと、大杉栄との子 ルイズこと伊藤ルイさんについても詳しく触れられている。 文章も読みやすく、伊藤野枝の生涯を知る最初の一冊として最適かと思う。
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評伝 伊藤野枝 堀和恵 郁朋社 日本語もさわやかで 読み応えのある内容だ 伊藤野枝と言う超人を 若くして失ったことは いかにも惜しいことであった それにしても この激しい愛と情がせめぎ合う 目先の物欲と無限の慈愛 利己性と利他性 部分感と全体観 大きな組織化を求めてやまない 不...
評伝 伊藤野枝 堀和恵 郁朋社 日本語もさわやかで 読み応えのある内容だ 伊藤野枝と言う超人を 若くして失ったことは いかにも惜しいことであった それにしても この激しい愛と情がせめぎ合う 目先の物欲と無限の慈愛 利己性と利他性 部分感と全体観 大きな組織化を求めてやまない 不安を掻き立てる競争原理 方や 対等な関係を模索して 家族や村社会を核としながら 利権を生まずに世界を繋げていく かつて縄文期にあったであろう 理想的に調和の関係 アナーキズム無政府主義
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頭がぐらぐらするぐらい良かった!! 伊藤野枝がどういうひとだったのか。 どうしても大杉栄との恋愛沙汰に目がいくし、関東大震災のときの流言蜚語で捕まって虐殺されたひとだと言うことは知っていた。 伊藤野枝のことを書いている小説もたくさんあるけど、読んだことはない。 今は彼女の声が聞き...
頭がぐらぐらするぐらい良かった!! 伊藤野枝がどういうひとだったのか。 どうしても大杉栄との恋愛沙汰に目がいくし、関東大震災のときの流言蜚語で捕まって虐殺されたひとだと言うことは知っていた。 伊藤野枝のことを書いている小説もたくさんあるけど、読んだことはない。 今は彼女の声が聞きたくてたまらない。 たぶん、あの時代にTwitterやInstagramがあったら伊藤野枝は毎日何度も何度も熱い言葉を呟いて、あっという間に有名なインフルエンサーになってたと思う。 青踏はそんなに軽く、言葉を発信するようなものじゃなかったとは思うけど、ワタシには女性が窮屈じゃない、世の中を広く見ていくし意見を言ってもいいって場所を作った雑誌に俄然興味が湧いた。 平塚らいてうや伊藤野枝たちが新しい女について侃々諤々はなしをしていたのではないかとわくわくする。 この評伝は伊藤野枝が生きていることを実感させるような素晴らしい本だと思う。 伊藤野枝と大杉栄、あとふたりの娘伊藤ルイについて、もっと知りたくなる。 章わけも素晴らしかった。 一章では子供のころから学生時代、辻との出来事、二章は平塚らいてうと青踏について、三章は大杉栄との出会い、四章は虐殺されるまでの出来事、五章は伊藤野枝の遺した人々のはなし。 特に伊藤ルイのところで目の奥や鼻がつんつんした。 読んでいた場所が家だったらたぶん泣いてたと思う。 虐殺されるほど世界に影響を持っていた両親が伊藤ルイにどんなことを残したのか、伊藤ルイの声も聞きたいと強く感じた。 最後に参考文献が羅列されているので参考にして読んでみたいと思う。
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「どうせ、あたしたちは畳の上でまともな死に方なんてしや しない。きっと、思いがけない殺され方をするだろう」。 1923年9月16日。関東大震災の発災からわずか16日後、 アナキストの大杉栄、甥・橘宗一と共に憲兵隊に虐殺された 伊藤野枝は、生前に語っていたという。 彼女の最期を...
「どうせ、あたしたちは畳の上でまともな死に方なんてしや しない。きっと、思いがけない殺され方をするだろう」。 1923年9月16日。関東大震災の発災からわずか16日後、 アナキストの大杉栄、甥・橘宗一と共に憲兵隊に虐殺された 伊藤野枝は、生前に語っていたという。 彼女の最期を知れば、この言葉は自身の「死」の模様を予言して いたようにも聞こえる。 いわゆる「甘粕事件」で28歳でこの世を去った野枝。彼女は何を 願い、どのような思想を持ち、何故虐殺されるに至ったのか。 彼女が書き残したもの、彼女に関わりのあった人々の軌跡を 描きながら、短かった野枝の生涯を描いたのが本書だ。 野枝は常に自分の信念を貫いた。「勉強がしたい」と思えば 故郷を飛び出して東京に向かい、周囲が決めた望まぬ結婚から 逃れる為に出奔する。それは、「自由」を求めての闘いでも あった。 しかし、その自由の為に後々命を落とすことになるのだが…。 「家」に縛られない自由な女性像。野枝が理想とした世界は 彼女の没後100年経つ今日でも実現していない。野枝の生きた 時代ほどではないにしろ、日本は今でも「男社会」なのだよな、 とつくづく思った。 あの時代、体制や国家に異を唱える女性たちを社会は「新しい 女」と読んだ。野枝はそれを上回る「新し過ぎた女」ではなかった だろうか。 「人たらし」で有名な大杉栄。彼との出会いがなければ野枝の 無残な死はなかったのではないかと思う一方、出会ったことで 彼女の裡にあった才能が引き出されてもいるのだろうな。 短い生涯だった野枝だが、その時その時を精一杯生き、貧しくも 誇り高い女性であったのだろう。 本書の参考文献にも掲載されている松下竜一『ルイズ 父に貰いし 名は』は、婚姻関係を結ばなかった大杉との間に生まれた末娘に ついて書かれた良書。かなり前に読んだが、野枝の意思を継ぐ 者として、再読したくなった。
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