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帝国図書館 の商品レビュー

4.3

12件のお客様レビュー

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2024/08/06

最後の項「帝国図書館とは何であったのか」に記載されているとおり、戦前の図書館員の理想は今なお大切なことである。 待ち時間の長さなどの憂さ晴らしに利用者が落書を書いていたという話にびっくりした。数時間待ちが当たり前だったようである。浦安市のテーマパークのアトラクションのような話であ...

最後の項「帝国図書館とは何であったのか」に記載されているとおり、戦前の図書館員の理想は今なお大切なことである。 待ち時間の長さなどの憂さ晴らしに利用者が落書を書いていたという話にびっくりした。数時間待ちが当たり前だったようである。浦安市のテーマパークのアトラクションのような話である。

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2024/02/02

現在の国立国会図書館の源流である帝国図書館をその成り立ちから紐解いていく1冊です。淡々と年代順に事項を並べるような形式ではなく、主には帝国図書館を形作っていった様々な人たち(働いていた人たち、利用した人たち、帝国図書館のありように影響を与えた人たち)の書いた文章を通じて生き生きと...

現在の国立国会図書館の源流である帝国図書館をその成り立ちから紐解いていく1冊です。淡々と年代順に事項を並べるような形式ではなく、主には帝国図書館を形作っていった様々な人たち(働いていた人たち、利用した人たち、帝国図書館のありように影響を与えた人たち)の書いた文章を通じて生き生きと描かれていき、とても楽しく読むことができました。 図書館で働く者のはしくれとして、国立国会図書館の昭和戦前期までの所蔵状況や納本制度の実態については以前から興味があるので、そういった実務的な観点からも、本文や引かれている文献などが今後の業務上の参考にもなりそうだと思いました。

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2023/12/07

国立図書館構想により誕生した帝国図書館の変遷が解説されている一冊。 日本における図書館についての説明から始まり、書籍館、国立図書館構想、帝国図書館の紆余曲折、そして国立国会図書館設立まで扱われています。 文部省博物局に設置された書籍館を帝国図書館並びに国立国会図書館の源流と位置付...

国立図書館構想により誕生した帝国図書館の変遷が解説されている一冊。 日本における図書館についての説明から始まり、書籍館、国立図書館構想、帝国図書館の紆余曲折、そして国立国会図書館設立まで扱われています。 文部省博物局に設置された書籍館を帝国図書館並びに国立国会図書館の源流と位置付け、施設から館長や司書官・司書長や書記などの人員についても詳細に研究されています。 とても難い内容ですが、司書として大変勉強になりました。

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2023/09/13

明治初期に設立された「書籍館」からはじまり、その後、「国立図書館」になり、戦後に「国立国会図書館」として統合されるまでの歴史を辿る。 声の大きなやり手の図書館長が理想と強い決意の元、うまく立ち回ればすべてなんとなかるというものでもなく、あるタイミングでの、時局や政治的背景、活字...

明治初期に設立された「書籍館」からはじまり、その後、「国立図書館」になり、戦後に「国立国会図書館」として統合されるまでの歴史を辿る。 声の大きなやり手の図書館長が理想と強い決意の元、うまく立ち回ればすべてなんとなかるというものでもなく、あるタイミングでの、時局や政治的背景、活字メディアの発展状況、そして利用者側である人々のリテラシーの成長具合など、複数の要素が絡まっており、図書館のありようや状況がその都度、振り回されている様がひしひしと感じられて、読みながら歴史ドラマだなぁと思いました。 関東大震災で次々大きな大学図書館や公共図書館の書物が燃え尽きる中、国立図書館の蔵書はほぼ燃えなかったのは良かった…。

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2023/08/26

国際子ども図書館にチェコの絵本の展示会を見に行ったとき、この場所はもともと何だったのか気になっていましたが、国立国会図書館以前の帝国図書館でした。1897年4月スタートの帝国図書館は内外古今の図書記録を蒐集保存し、閲覧参考の用に供することを目的とし、その機能は上京への憧れになるほ...

国際子ども図書館にチェコの絵本の展示会を見に行ったとき、この場所はもともと何だったのか気になっていましたが、国立国会図書館以前の帝国図書館でした。1897年4月スタートの帝国図書館は内外古今の図書記録を蒐集保存し、閲覧参考の用に供することを目的とし、その機能は上京への憧れになるほどでした。東京帝大、京都帝大の蔵書数より少なく、それでも閲覧室利用の6割が学生生徒だったようです。戦中は蔵書を戦火から退避、時に避難所となり、戦後は占領地からの略奪本の返還。紆余曲折あって図書館機能のみならず、場所柄、施設設備、人事、運用面での変遷もまた興味深く読みました。

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2023/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

国会図書館に吸収合併されるまで。帝国図書館としては、国会図書館になったのは不本意だったのか。帝国からはや80年近く。昭和の御代から明治維新に近い時間だからこそこうやってまとまったのだろう。大正期の話が割と少ないのは意外だった。

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2023/07/16

大戦前の、日本の図書館の歩み。 そもそも、図書館とは何か、誰にとってものか、目的は何かが関係者毎に違っていたり、熱い想いと気合の一方、無理解だったり予算がつかなったり、省庁の引き合いがあったり、本当に手探りやってんなと思う。 図書館の、社会的使命の重さ。 なんかなー、図書館戦...

大戦前の、日本の図書館の歩み。 そもそも、図書館とは何か、誰にとってものか、目的は何かが関係者毎に違っていたり、熱い想いと気合の一方、無理解だったり予算がつかなったり、省庁の引き合いがあったり、本当に手探りやってんなと思う。 図書館の、社会的使命の重さ。 なんかなー、図書館戦争とか、ワンピースのオハラとか、知性化戦争のライブラリー協会とかぼんやり考えながら読んでいた。 惜むらくは本の構成が年表みたいなもんで、情報としてはともかく読み物としてそう面白いものとは感じなかった。 利用者側の状況とか、もっと分量割いてもらってもよかったかな。

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2023/07/27

この本を読みながら、現在、上野国際こども図書館で行われている『「東洋一」の夢 帝国図書館展』に出かけてきました。で、帰り道でもパラパラ。「読んでから見るか、見てから読むか」を越えた「読みながら見る」という立体的読書体験でした。角川商法は角川春樹が発明したプロモーションビジネスでし...

この本を読みながら、現在、上野国際こども図書館で行われている『「東洋一」の夢 帝国図書館展』に出かけてきました。で、帰り道でもパラパラ。「読んでから見るか、見てから読むか」を越えた「読みながら見る」という立体的読書体験でした。角川商法は角川春樹が発明したプロモーションビジネスでしたが、この本の出版と展覧会にはプロデューサーがいるのかな?でも入場無料だし、商売っぽさは感じなかったのだけど…でも現実の出来事とシンクロする読書は,アカデミックでありながらジャーナリステリックで、しかもコンパクトという新書の特徴そのもの、だと思いました。今回は、ウクライナものやAIもの違って、この新書の出版に国会図書館が当ててきたのかも…まったく偶然かも…。TOSYOKANというユーザー名でブクログを使わせてもらいっている自分としては、日本の図書館が,何を「夢見て来たのか」と図書館を利用する人が図書館に、何を「夢見て来たのか」の記録は,非常に刺激になりました。芥川龍之介、谷崎潤一郎、菊池寛、江戸川乱歩、宮沢賢治、平塚らいてう、吉屋信子…後年著名になる文学者たちの交差点であることだけでなく、多くの無名な人々の知の泉としての帝国図書館。そして図書館を日本の公共的なインフラとして成立させようとしてきたこの本で初めて知った人々の努力。これから図書館は、何を「夢見ていくのか」?この帝国図書館の建物は、国際こども図書館として子どもの本の一大ポータルになっていて、子どもが無心に絵本を開いている姿こそ、現場に出向いて出会ってよかったことかもしれません。それにしても「役に立つ」読書と「なぐさみの」読書の整理は、この業界がずっと抱えている問題なのだとも改めて認識しました。

Posted byブクログ

2023/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本で今のような図書館がどう成立したのか、戦前の「国立図書館」に絞って記述してあるので掴みやすい。新書だが、知りたいことが分かりました。 その知りたいこととは、なぜ図書館関係者は戦前から不満を抱えていたのか、ということ。もちろん予算が足りない!ということは大前提だが、他にも大問題になるテーマがあり、そこでエピソードも交えてわかりやすく書かれている。 個人的には三つほど挙げたい。 まず国立の図書館としては、大英博物館のように博物館と図書館が一体のものとしてスタートするかどうか議論になったこと。 第二に文部省が二代目館長を送り込んできたこと。あまり図書館実務に詳しくない人だったようだ。 第三に占領下の国立国会図書館の作られ方。国会による法整備とともに、占領軍から上野の国立図書館と国会図書館が併合されることが勧告される。 全体としても図書館の現場で働くヒト、運営者(所轄の官庁や管理者)そして利用者の3者の視点が入ったオーソドックスな(?)図書館史になっている。とりあえず手元に置いて損はない。

Posted byブクログ

2023/05/30

明治以降の書籍館開館以降の国立図書館の辿ってきた軌跡を書いた図書。図書を保存し調査研究を支援することこそ国立図書館の役割と説いた田中稲城、利用者優先を掲げて使われる図書館を目指した松本喜一など歴代館長も紹介されている。結局、国立図書館は予算が十分でなく、サービス軸もぶれていたよう...

明治以降の書籍館開館以降の国立図書館の辿ってきた軌跡を書いた図書。図書を保存し調査研究を支援することこそ国立図書館の役割と説いた田中稲城、利用者優先を掲げて使われる図書館を目指した松本喜一など歴代館長も紹介されている。結局、国立図書館は予算が十分でなく、サービス軸もぶれていたよう。しかし保存された書籍と辿ってきた図書館の歴史は、今後の日本社会にも豊富な材料を提供してくれる、ということを実感した。図書館の役割って国立図書館ですら変容していくんだな…

Posted byブクログ