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パリの砂漠、東京の蜃気楼 の商品レビュー

4.4

28件のお客様レビュー

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2024/07/24

パリと東京を股に掛け書かれた、エッセイという名の私小説。 おそろしい本だった。 この本には希死念慮そのものが描かれている。心の弱っている人が読めば、希死念慮に連れて行かれるだろう。 テロが身近な為、むしろ自らと死の間に距離を置けるパリ。パリに比べれば平和な為、ぼんやりとした死が...

パリと東京を股に掛け書かれた、エッセイという名の私小説。 おそろしい本だった。 この本には希死念慮そのものが描かれている。心の弱っている人が読めば、希死念慮に連れて行かれるだろう。 テロが身近な為、むしろ自らと死の間に距離を置けるパリ。パリに比べれば平和な為、ぼんやりとした死が自らに迫り来る東京。 この本を読んでいる間、どちらにも住んでいない私はどちらの風景にも紛れていた。死が目の前に在った。 おそろしい本だった。 子供や友人の何気無い描写、また、好きな音楽のくだりに救いがあって良かったと心から思う。 心身共に余裕のある時だけ読む事をおすすめする。 著者が好きな音楽を好きなだけ聞いて、心身をゆっくり休める事が出来たらと願わずにはいられなかった。 私は初めて金原ひとみ作品を読んだ。彼女は文章が巧い。

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2024/07/23

人はよく、パリを目指す。私が知っているのは芸能人や小説家といった有名人だけだけれど。 昔には芸術家が憧れてパリを目指したが、現代の有名人たちがパリを目指すのは、いい塩梅に放っておいてくれるから?だろうか。 アメリカ以上に人種の坩堝らしいから、木を隠すなら森、なのかもしれない。 勝...

人はよく、パリを目指す。私が知っているのは芸能人や小説家といった有名人だけだけれど。 昔には芸術家が憧れてパリを目指したが、現代の有名人たちがパリを目指すのは、いい塩梅に放っておいてくれるから?だろうか。 アメリカ以上に人種の坩堝らしいから、木を隠すなら森、なのかもしれない。 勝手に想像するも、やはり一人一人にそれぞれの考えはあると思う。 耳以外のところにピアスをしている人は、個人的にちょっと怖いな・・・ と思って読み始めたら、金原さんはふるえている小鳥のようだった。 文章は、感情の粒子が細かくて、なめらかな手触り。 「パリ(編)」と「東京(編)」に分かれている。 パリ編には、エトランゼの哀しみを感じる 文章は日本語で書かれているのだから、パリで書こうが東京で書こうが変わりはないと思われるが、パリ編での文章は、言語的な不自由さを初め、「伝わらない」ことに絶望している。 東京に戻ると、そういう、薄い被膜のようなものが剥がれて、自分を取り囲む状況にはっきりものを言っている感じがする。 (はっきりものを言ったとて、伝わらないことは伝わらないのだが) 6年、異国に住んで戻ってきたら、彼の国とこの国の違いを感じることも多いだろう。 日本の男は未だ昭和のおっちゃんのように無礼でセクハラ体質である。 フランスの店員は押しなべて接客が雑で、客に対してイラっとすれば態度に出るし、女性店員はすぐヒステリックになる人も少なくない。 その点、日本の女性店員の接客は、そこまでしなくてもと思うほどしつこく丁寧で、その理由を考えた時、理不尽に悪意をぶつけてくる男の客と極力摩擦を起こさないように最新の注意を払っているのだろうと思った。 (この文章が書かれた当時「カスハラ」の言葉はまだない) 自覚:自分は恋愛体質である 相手を傷つけることを極端に恐れている。メールやLINEの返信も、これは相手がどう受け取るだろうかと、何度も書いたり消したりする(自分も同じなので、シンパシイを感じる) なぜか自己肯定感が異常に低く、というか、「生まれてすみません」といつも感じているらしい。 だから、自分を見てくれる、肯定してもらえる恋愛に縋ってしまうというのだ。 恋愛をして、小説を書くことでしか生きられないという。 よく読めば、きちんと日常生活を送っているのだが、どうも、カスミを食って生きているような儚い感じが拭えない。

Posted byブクログ

2024/07/06

私と彼女は違う。のに、すごくわかる。私もいつもうっすらと自己の存在を否定しており、世界の色々に傷つき、怯えている。きっとどうしたってその感覚がなくなることはないこともわかっている。から、最後の一文にとても心を打たれた。 しかし一番の感想は、文章が上手い!なんとなく小説は合わないよ...

私と彼女は違う。のに、すごくわかる。私もいつもうっすらと自己の存在を否定しており、世界の色々に傷つき、怯えている。きっとどうしたってその感覚がなくなることはないこともわかっている。から、最後の一文にとても心を打たれた。 しかし一番の感想は、文章が上手い!なんとなく小説は合わないような気がして避けていたが、読んでみようかな。

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2024/06/30

再読。今読んだら結構持ってかれるなと思って軽く読んだ。 やっぱり東京編の『おにぎり』が一番好き。 P.108 耐え難い動画を観た時、こんな奴ら死ねばいいではなく、こういう奴らは滅びろではなく、なぜ自分が死にたいと思うのだろう。 めちゃくちゃわかる。私も傷つけられた側だとしても...

再読。今読んだら結構持ってかれるなと思って軽く読んだ。 やっぱり東京編の『おにぎり』が一番好き。 P.108 耐え難い動画を観た時、こんな奴ら死ねばいいではなく、こういう奴らは滅びろではなく、なぜ自分が死にたいと思うのだろう。 めちゃくちゃわかる。私も傷つけられた側だとしても、相手を恨むのではなくそんなことに傷つく自分情けねーって悲しくなって、死にたくなる。 パリ編の『ピュトゥ』も好き。小説でもエッセイでも、金原さんの書く傷つく描写が好きなのかもしれない。 アッシュベイビーを読んだ時にも感じたことだが、好きな人に殺されたいという気持ちも分かる気がする。実際に私は今好きな人がいないし、仮に居たとしてもその人に犯罪者になって欲しいわけではないのにどうせ死ぬなら好きな人に首絞められて死にたい。めちゃくちゃ我儘。

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2024/06/23

これは自分の読むタイミングでも かなり感じ方が違うのではと思わせてくれる。 調子が良い時に読むと なんでここまで…という部分が目立つし 調子が悪くてネガキャン中は わかりすぎて一つ一つが心に刺さるのだろう。

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2024/06/05

もともとエッセイあんまり得意でないので だからどーしたと思ってしまう。 異文化に身をおくからこそ分かるものが あるのかなぁ。

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2024/05/24

金原さんが代弁してくれたから、言わなくて済んだ言葉がたくさんあった。 読了したら付箋がたくさんになり、その一文一文が[私はどうか?]を考えさせてくれた。 ノートに考えをまとめていく作業がこんなに心地よいデトックスになる本は初めてだった! 誰かと意見を交換し合いたい、そんな大事な本...

金原さんが代弁してくれたから、言わなくて済んだ言葉がたくさんあった。 読了したら付箋がたくさんになり、その一文一文が[私はどうか?]を考えさせてくれた。 ノートに考えをまとめていく作業がこんなに心地よいデトックスになる本は初めてだった! 誰かと意見を交換し合いたい、そんな大事な本になりました。 これを超える本は2024年内には多分現れない。

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2024/05/06

金原さんの子供の頃の感情などが共感できる部分があった。多分金原さんと自分は全然違う人生だと思うが、同じような感情を持ってる気がする。(程度は違うが)根底にあるものは皆んな同じものなのかも?充実した読書体験だった。 とにかく金原さんがかっこよかったです。

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2024/05/01

パリと東京での生活を綴ったエッセイ集。 ただ生活すること、人生を続けていることで次々に心に湧き出てくる生きづらさを文章にしてくれる。気質が圧倒的に陰であっても、家族や知人との楽しい日常はある。その乖離のなかに私もいる。

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2024/04/30

金原さん初のエッセイ。だけど、今までの作品も読んでるうちにふわっと著者が頭に浮かぶような、そんな私小説を感じさせるものが多かったから、意外にもエッセイは初なんだ!と思った。 金原さんの作品は陰鬱だと言われるけど、エッセイを読んで物凄いエネルギッシュさを感じた。

Posted byブクログ