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円周率の日に先生は死んだ の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2024/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・あらすじ パイの日(3.14)に数学教師のマークルが殺された。事件の真相を第一発見者である生徒のサル(過去編)と同僚教師のノラ(現在)+αの視点で展開する。 ・感想 住人全員が知り合いというアメリカの田舎町が舞台・ 登場人物たち其々が場所、人物、過去に雁字搦めに囚われていてそれらから逃げたい人、諦めてる人、受け入れてる人…様々な人間模様が書かれてた。 ミステリーというよりは人間模様中心の作品で事件もその真相も結構ベビーだった。 悠久の歴史と語られなかった物語とそれらを観察するものの話。 でも最後はちょっとした希望が残されていたので、サルにはどうかこれから幸せに生きていってほしいと思う。 いくら追い詰められて切羽詰まっていたとしてもマークルの行動は教師として、大人として最低だなと思ってしまう。 舞台であるネヴァダ州ラブロックをグーグルマップでみてみたら本当に周囲には何も無い! 色んなものに囚われてる人ばっかり出てくるのに、作品読んでて閉塞感とか圧迫感を感じないのはこのスケールのでかい土地のイメージがあるからかな。

Posted byブクログ

2023/07/25

3月14日〜この円周率の日に数学教師アダムの焼死体が発見された。 第一発見者は、教え子のサルで近くに先生の車があったから…偶然見つけたと。 同僚の社会科教師ノラは、この不可解な死に疑念を抱きアダムのことを調べ始める。 寂れた町で起こった事件は、親や祖父母の代からの知り合いという...

3月14日〜この円周率の日に数学教師アダムの焼死体が発見された。 第一発見者は、教え子のサルで近くに先生の車があったから…偶然見つけたと。 同僚の社会科教師ノラは、この不可解な死に疑念を抱きアダムのことを調べ始める。 寂れた町で起こった事件は、親や祖父母の代からの知り合いという濃密で小さなコミュニティであるが故に限られた登場人物ではある。 そのなかで謎の中心にいるのは、少年サルである。彼が大人たちを惹きつけるのは、観察力があり物静かで注意深く、賢さと共感力を持ち人の心の機微に敏いからだろう。 サルが見たものの全てが明らかになるが。 果たしてそれは…。 どうしてここまですることができるのだろうか。 ほんとうにサルのことを考えれば、彼に全てを委ねることはしなかったはずだと思うのだが。 大人の甘えや我儘さ、弱さを見せて苦しみから逃れたとは… そこまで考えが及ばないほど苦悩していたのかと思うとそれを憎む。 この小説は、少年を中心にしながらも登場する大人たちはそれぞれに罪や後悔を抱えていて思い通りにいかない人生と小さな町に息苦しさを覚えながらも生きているというのが伝わる。 それを見ながら育った少年サルには、安らげる希望がある未来であってほしいと心から思う。

Posted byブクログ

2023/06/17

幸せな未来を願わずにはいられない… 悪魔に取りつかれた大人と少年の物語 #円周率の日に先生は死んだ ■きっと読みたくなるレビュー 悪魔…人間を蝕む悪魔の恐ろしさが痛いほどわかる作品。 本作に登場する大人たちは、様々な悪魔に取りつかれ、自分自身を失ってしまいます。少しの運のなさ...

幸せな未来を願わずにはいられない… 悪魔に取りつかれた大人と少年の物語 #円周率の日に先生は死んだ ■きっと読みたくなるレビュー 悪魔…人間を蝕む悪魔の恐ろしさが痛いほどわかる作品。 本作に登場する大人たちは、様々な悪魔に取りつかれ、自分自身を失ってしまいます。少しの運のなさやタイミングの悪さによって、最悪の事態を招いてしまう。それが周りにどんな不幸をもたらしてしまうのか…海の底よりも深い罪を、まじまじと見せつけられるのです。 ほんのちょっとの興味、苦しみからの逃げから始まる地獄への階段。なにより、どんなことよりも最優先になってしまう現実は本当に恐ろしかったです。 本作の一番の読みどころは、登場人物の厚い描写です。 読み手との距離感がめっちゃ近いんです。優しい言葉では心を洗われ、厳しい言葉では心臓を握りつぶされてしまいます。 本作の主人公である少年サルは、辛い環境にも関わらず、ひた向きに生き抜ぬいていく。誰よりも優しい心を持っていますが、経験や知識も脆弱で、自分勝手な大人たちに振り回されてばかり。弱さによって、時おり心にささやかれる悪魔の声が、さらに読み手を悲しくさせてしまう。 利益や価値観を最優先にする大人たちが酷すぎる。 自己管理ができず、責任の取り方を間違える。これもすべて悪魔の仕業なのか。依存というのはあまりにもおぞましい。ただ、彼らは人間の屑だと排除すれば解決するわけではない… どうすれば助けてあげられたのでしょうか。 そして本作の謎解き要素、先生の死の真相や起こった事実。あまりにも罪深くて読むに堪えない。人として最もやってはいけないことであり、怒りで頭がパンクしそうになりました。 少年の未来を応援したい。 豊富な想像力を持ち合わせた才能は、きっとたくさんの人を幸せにできる力がある。たくさん勉強して、友達を作って、健康に育ってほしいと願うばかりでした。 ■きっと共感できる書評 人間は弱い生き物であるということが痛いほどよくわかります。 長い人生、失敗したり、辛い目にあったり、思い通りにいかないことばかりです。経験と知識によって善悪は理解しているつもりでも、「弱さ」によって身を滅ぼしてしまう。 ひとりでは太刀打ちできない時、まず人に助けをもとめること。そして来を見続けることに、解決する鍵があるのではないでしょうか。

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2023/05/04

3月14日――円周率の日――に、数学教師アダム・マークスの焼死体が発見された。第一発見者はアダムの教え子サル・プレンティス。死体は偶然見つけたと言ったきり口を閉ざすサルに、社会科教師ノラ・ウィートンは疑念を抱く。 11歳の孤独な少年サルとアダムの出会いから焼死事件までの数ヵ月間と...

3月14日――円周率の日――に、数学教師アダム・マークスの焼死体が発見された。第一発見者はアダムの教え子サル・プレンティス。死体は偶然見つけたと言ったきり口を閉ざすサルに、社会科教師ノラ・ウィートンは疑念を抱く。 11歳の孤独な少年サルとアダムの出会いから焼死事件までの数ヵ月間と、平凡な教師ノラが真相解明のために奔走した焼死事件後の数週間。それぞれの視点が重なるとき、すべての謎が明らかになる。 初めて読む作家。タイトルに惹かれて読んでみた。 アダムとサルの語り合う場面が印象に残った。

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2023/04/30

小さな田舎町で起こった焼死事件。亡くなったのは数学の教師アダムで、発見したのは教え子の12歳のサル。現在と過去のパートがあり、サルは事件以前から、現在は教師の同僚などの視点から進む。サルの生い立ちや、閉鎖的な町での暮らし、数学教師アダムとの出会い、交流。そこからサルの日々が変わり...

小さな田舎町で起こった焼死事件。亡くなったのは数学の教師アダムで、発見したのは教え子の12歳のサル。現在と過去のパートがあり、サルは事件以前から、現在は教師の同僚などの視点から進む。サルの生い立ちや、閉鎖的な町での暮らし、数学教師アダムとの出会い、交流。そこからサルの日々が変わり始めていくけれど、それが読み応え抜群。大人たちに飲み込まれていってしまいそうなサルと、どこかで離れなきゃと思うサルの揺れに緊張感が伝わってくる。終盤のサルの葛藤には読んでいて辛くなるほどの感情が溢れていた。前作『エヴァンス家の娘』同様に素晴らしい作品。

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