ディンマスの子供たち の商品レビュー
ティモシー・ゲッジはディンマスに住む大人たちの憎しみを養分に生きているようです。彼が町の隠し芸大会で披露するのは喜劇なのですが、たぶんまったく笑えない内容でそんなものを見せられる町人には悲劇といってよいでしょう。彼が悲劇的な喜劇にこだわるのは出生に秘密があるようですが、彼が町をう...
ティモシー・ゲッジはディンマスに住む大人たちの憎しみを養分に生きているようです。彼が町の隠し芸大会で披露するのは喜劇なのですが、たぶんまったく笑えない内容でそんなものを見せられる町人には悲劇といってよいでしょう。彼が悲劇的な喜劇にこだわるのは出生に秘密があるようですが、彼が町をうろついているのに出くわすのは読者も恐ろしい感じになってきます。
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とある街を舞台に様々な家族が一人の少年の自己中心的な言動によって秘密を暴露され、あるいは疑念を植え付けられ、日常を揺さぶられていく。この悪魔じみた少年の、悪意のさじ加減が絶妙。身近にあるあると思わされるちょっとした不快な言動がやけに執拗で、足の小指をぶつけた痛みのように、ささやか...
とある街を舞台に様々な家族が一人の少年の自己中心的な言動によって秘密を暴露され、あるいは疑念を植え付けられ、日常を揺さぶられていく。この悪魔じみた少年の、悪意のさじ加減が絶妙。身近にあるあると思わされるちょっとした不快な言動がやけに執拗で、足の小指をぶつけた痛みのように、ささやかなディティールから強烈に不快感が想起される。面白い人物造形だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
うーん、一言で言えば確かに「ダーク」。 ティモシーが不気味で怖いのは、人が隠そうとしていることを見ているからだよね。見られたという恐怖、暴かれるのではないかという恐怖。強く迫ってくるわけではないのに、見られたというだけで、勝手に怖くなる。 スッキリもしないし、私には希望もそれほど感じられなかったが。不快というのとは違う、なんか人の折り目の深さを感じるというか。
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