古代ローマごくふつうの50人の歴史 の商品レビュー
ローマは偉大なり。江戸やローマを見ていると「平和」「寛容」「文化」は人類の果実だということがよく解る。2000年も昔にこれだけの成熟した文化があったのは人類の誇れる遺産だ。
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ごく普通のローマ人の足跡を墓石や数々の遺跡や遺品から辿る本。 酒場の女将さんから愛されわんちゃんまで。 こういう、昔のふつうの人の暮らしにとても興味があるのでこの本はどんぴしゃでした。 特に興味深かったところを抜粋。 閏日の追加が2月なのは、1年の始まりが3月からだったから。 衣服を整えるブラシには茨やハリネズミの皮。 イーストの製法が生み出されたふんわりパンができたのは前2世紀前半。 プリニウスの博物誌が結構引用されるけど、中にはぼやきみたいな記述もあったそう。 例えば『ぴりっと辛いだけなのに、高価な胡椒がこれほど流行るのは異常だ』とか。 博物誌はいつかは読んでみたいんですよね。せめて鉱物宝石の巻だけでも。 宴会の際の食べ残しは床に落としていたんだけど(そういうのを飼っている猟犬なんかが食べていた)、それを模したモザイク画が残ってておもしろいなぁと。 古代ローマに12階建てのビルがあったの、ほんとすごい。現代の電気を使う重機も無い時代に。 それを言ったら古代ギリシアの神殿やピラミッドだって大概ですけれど(笑。 焼成レンガには作ったメーカーの刻印があって、建物の製造年代特定の一助にも。 ローマで作られたレンガがカルタゴにまで輸出されていた。 特別な泉にコインを投げる風習は紀元前からあったんだなぁ。 中には呪うための呪物(呪いを刻んだ銅板)まで。呪詛板を入れて沈めたオイルランプも見つかっている。 剣闘士が有名だけど他にもローマ市民の娯楽として楽しまれたのが戦車競争。 四頭立てか二頭立ての馬車を走らせた。 剣闘士は興行師によってまとめられ育成や食事、医療も受けられていた。 命がけではあるけれど、戦闘というある意味スポーツじみた見栄えの良いパフォーマンスを披露するパフォーマー集団。 死者は思う以上に少ない。一人当たりの年間の戦闘数も。あと年季明けも早め。 誕生日を祝う習慣は古代ギリシアにはなく、古代ローマにはあった。 子供用の人形が思った以上に精緻! お墓に納められていた物だけど、関節で曲がる仕組みがあって座らせられた。肩や肘も曲がる。 多肉植物の由来になったエウポルビア。……ユーフォルビアか-!! ガラス製品にも製造元の刻印を付けられているものがあった。 毛糸を入れたかごのフレスコ画かわいい。 捨て子から奴隷となり、主人が養父となって高度な教育を施し、カエサルの家庭教師になったグニポ。 のちに自宅で学校を開き、キケロさんも40代にして師事したという。 おおらかな人徳で人気の教師だった。 キケロも頻出しましたねぇ。主役ではないけれど。 この時代の本を読むと言うことは音読することで、黙読はなかった。 現代の図書館では考えられないくらい、あちらこちらで人の声が聞かれたんだろうなぁ。 プリニウスは音読させながらパピルス紙にメモを取っていたそう。 あらためて、この時代の『奴隷』の概念は他の時代とは違う物だなぁとしみじみ。 もう別の言葉を当ててもいいくらいに思います。 もちろん主人となった人間によるところが大きいのですが。
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偉大な文明の一つである古代ローマ、それを構成する“一般人”に焦点を当てた一冊です。 古代ローマは事あるごとに文字や絵に残す国柄で、大体の記録が現代へ受け継がれています。 そんな国の成り立ちに貢献した偉人の紹介から始まり、今回の主役である一般人へ移ります。 市民と解放奴隷と奴隷とい...
偉大な文明の一つである古代ローマ、それを構成する“一般人”に焦点を当てた一冊です。 古代ローマは事あるごとに文字や絵に残す国柄で、大体の記録が現代へ受け継がれています。 そんな国の成り立ちに貢献した偉人の紹介から始まり、今回の主役である一般人へ移ります。 市民と解放奴隷と奴隷という確固たる身分がありますが、しかし奴隷の生活が劣悪というわけでもないのが面白いところです。 ローマ人には無い能力を持つ優秀な奴隷も沢山いて、彼らがいたからこその国だと理解しました。 靴職人、居酒屋の女将、美容師、賞金王、医者、教師、司書、助産師、そして飼い犬などの生涯が綴られていて大変興味深く楽しいです。 ちなみに私と同業の司書はカッリステネスさんが紹介されていますが、彼はアポロン神殿付属の公共図書館で働く奴隷だったそうです。 私も負けず劣らず忙しくしていますが、どの時代でどんな立場であろうと生きるうえでの役割があるというのは恵まれたことなのかもしれませんね。
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古代ローマにはそれ程興味は無く、無名の人々の暮らしに惹かれて手に取りました。 非常に面白くって、是非おすすめしたいです。 古代ローマや、人の生活に興味を持って居られる方々に。
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烏兎の庭 第七部 7.9.23 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto07/diary/d2307.html#0709
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読んで良かった時思える本だった。 知識が増すと言うよりは、既知に深みが増し輪郭や発色が感じられるものだった。 一般の暮らしをする人々の生活や一生に触れている。中には奴隷だったり解放奴隷だったり、その奴隷のシステムにも触れており読みながらローマ時代の人の扱いを復習できる。 職業や...
読んで良かった時思える本だった。 知識が増すと言うよりは、既知に深みが増し輪郭や発色が感じられるものだった。 一般の暮らしをする人々の生活や一生に触れている。中には奴隷だったり解放奴隷だったり、その奴隷のシステムにも触れており読みながらローマ時代の人の扱いを復習できる。 職業やその家族、大切にしてきたもの、50人が読みやすい文量で展開されどの方も好感をもてるものだった。 歴史と言うよりは生活面の記録だが、歴史的史実も並行してあり時代感を感じられる。 古代ローマと言えばと言う概念があると思うが、一般人の幸せのようなものを垣間見れる良い本だった。
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古代ローマの人々の生活を、碑文やポンペイ遺跡等に残る 遺物から読み解き、当時の庶民の姿を分かり易く解説する。 ・カラー口絵16ページ ・この本を読むときに知っておきたい10のこと ・この本を読むときに知っておきたい10の人 首都ローマの地図/イタリアの地図/古代ローマ世界の地図 ...
古代ローマの人々の生活を、碑文やポンペイ遺跡等に残る 遺物から読み解き、当時の庶民の姿を分かり易く解説する。 ・カラー口絵16ページ ・この本を読むときに知っておきたい10のこと ・この本を読むときに知っておきたい10の人 首都ローマの地図/イタリアの地図/古代ローマ世界の地図 第1章 ローマのはじまりの歴史 第2章 衣・食・住事情 第3章 日常生活をのぞき見る 第4章 働く人たち 第5章 学術・技術の担い手 コラム、注釈、主要参考文献有り。 第1章は、ローマ建国から共和政までの神や伝説の人物の逸話。 第2章から、ポンペイの遺跡に残る痕跡やローマの墓碑等の 碑文や資料から見えてくる、当時の人々の暮らしが明かされる。 主に共和政末期から帝政初期の、人々の衣食住や仕事、日常生活、 交通事故、祝祭、娯楽、名前、墓、寿命、教育、文化、建築など。 紹介されるのは、クリーニング屋、居酒屋、パン屋、 マンションの管理人、美容師、戦車競走のスター選手、剣闘士、 医師、ジュエリーデザイナー、様々な職人たち、フレスコ画家、 学校の先生や家庭教師、詩人、本屋、図書館司書、建築家など。 更に、犬や神までも。 ローマ市民のみならず、解放奴隷や奴隷、多彩な人種が暮らす 古代ローマには、穏やかな人生有り、功成し遂げる人生有り、 波乱な人生有り。女性の社会進出も見られます。 推測はあれど、多くの資料から当時の事を補っているので、 (靴や髪型の種類、ガラス職人の署名入り製品など) ほぼ無名の人々の姿が蘇ってくるように感じられます。 古代ローマの、人の営みや息吹が多彩に感じられ、 楽しく興味深い内容でした。
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