夢と一生 の商品レビュー
丸善を逍遥していた時に目についた一冊。「逝きし世の面影」以外に初めて読む著者の書にして、おそらく最初の自伝(語り)にして、おそらく最後の著書(2022年12月急逝)。そして、初めて読む(学生への啓蒙を目的にして立ち上げられた)河合ブックレットシリーズの、しかも最終刊。 最近観た...
丸善を逍遥していた時に目についた一冊。「逝きし世の面影」以外に初めて読む著者の書にして、おそらく最初の自伝(語り)にして、おそらく最後の著書(2022年12月急逝)。そして、初めて読む(学生への啓蒙を目的にして立ち上げられた)河合ブックレットシリーズの、しかも最終刊。 最近観た「青春ジャック」で知ったけれども、河合塾の講師には学生運動であぶれた本来なら教授級の知性が集結していたらしい。だから河合塾は若松孝二監督に、600万円で映画まで作らせている。渡辺京二も福岡校現代文講師をやっている。ただし、渡辺京二は学生運動溢れではない、それより先輩の元バリバリの共産党員で、六全協によって「溢れた」知識人であった。 加藤万里氏の思い入れたっぷりの「解説」を読んだ後では、少し書くのを憚れるのではある(しかも、レビュアーが1人もいない)が、渡辺京二氏を「日本近代思想史家。思想家、評論家」と紹介する以上、それに即して言えば、 「なるほど、92歳でここまで自分の人生を統一感持って語れる以上、それは筋を通した知識人だと言えると思う」 「しかも、寡聞を恥じるが、ここまで著書をものにしているとは思わなかった」 「思想家」と言って良いと思う。 しかし、勿論ここで展開しようとしたらあと5000字は必要なので、一言しか書けなくて失礼極りないのだけど、 氏の「共同体論」には与することはできない。 ここには、1930年生まれ、戦争に翻弄された純粋な「秀才」が、戦争に挫折し、左翼運動に挫折して、市井の知識人として生き通した男の最後の【語り】がある。それはそれで、とっても読み応えある「ブックレット」だった。
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