南風に乗る の商品レビュー
敗戦から沖縄返還までの流れを、地元政治家瀬長亀次郎、詩人山之内貘、英文学者中野好夫らの活動を通じて描く。 敗戦、米軍統治、本土復帰は沖縄の人から見れば理不尽の一言に尽きることを本書は再確認させる。 自由と民主主義の盟主を謳う米国の非道な振る舞い。 米国に阿り沖縄に目を向けない...
敗戦から沖縄返還までの流れを、地元政治家瀬長亀次郎、詩人山之内貘、英文学者中野好夫らの活動を通じて描く。 敗戦、米軍統治、本土復帰は沖縄の人から見れば理不尽の一言に尽きることを本書は再確認させる。 自由と民主主義の盟主を謳う米国の非道な振る舞い。 米国に阿り沖縄に目を向けない本土の政治家。 一方で、本書には書かれないが、東西対立の中で沖縄が置かれた戦略的に重要な地理的位置という不幸。 亀次郎と佐藤首相の国会でのやり取りに互いの立場や人格が凝縮されている。 沖縄の現状も本書のすぐ延長線上にあると感じる。 作者は一時期、戦時帝国陸軍スパイ物を得意としていたが、これほど自民党政治に批判的とは知らなかった。
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沖縄本土復帰までの苦難を山之口貘、瀬長亀次郎ら沖縄人の視点で描かれた作品。「なんで沖縄ばかりが犠牲に…」と憤る。『肝苦サン』や『命どぅ宝』。痛みを知る人から生まれた沖縄言葉も貘さんの詩も美しかった。
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沖縄の本土復帰50年を機に書かれた小説。ちょうどWOWOWでスタートした野木亜紀子オリジナル脚本のドラマ『フェンス』と共鳴する内容。著者は過去に史実をベースとしつつもフィクションとして大胆に改変した歴史小説を何作品か発表しているが、今作はそれらと異なりほぼノンフィクションの様相。...
沖縄の本土復帰50年を機に書かれた小説。ちょうどWOWOWでスタートした野木亜紀子オリジナル脚本のドラマ『フェンス』と共鳴する内容。著者は過去に史実をベースとしつつもフィクションとして大胆に改変した歴史小説を何作品か発表しているが、今作はそれらと異なりほぼノンフィクションの様相。沖縄の理不尽な歴史を広く知らせるという意義はあると思うが、イデオロギーの色も強いため果たしてこれは小説なのか?という疑問は残るかな…
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