水車小屋のネネ の商品レビュー
正直芥川賞作品で苦手意識を持ってて、以来読まずにいた津村さん。 こんな心の機微とか押し付けない姉妹の心持ちとか気持ちのいい距離感の優しさとか、とても心和らぐ作品だった。単なるロードムービーだと薄っぺらくなるような、本だからこその表現というか。エピローグ良かったー。
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ほんとうに素晴らしい作品でした。周囲の人たちの良心の集合こそが自分なのだと心から思える律の気づきが、この作品を貫くコンセプトだ。その良心を集めるネネと水車小屋の素朴な役割が、この作品の魅力を引き上げている。
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優しさの連鎖がじんわりと心に染みる1冊でした。 毒親に育てられ、姉妹で逃げた先で出会う、まともな大人たちと不思議な鳥ヨウムのネネ。 姉妹のひたむきに生きる姿と、後押ししてくれる大人のあるべき姿が読んでいて心地良かったです。 何も持っていなくても人は助けられる。 本来、何も持っ...
優しさの連鎖がじんわりと心に染みる1冊でした。 毒親に育てられ、姉妹で逃げた先で出会う、まともな大人たちと不思議な鳥ヨウムのネネ。 姉妹のひたむきに生きる姿と、後押ししてくれる大人のあるべき姿が読んでいて心地良かったです。 何も持っていなくても人は助けられる。 本来、何も持っていない人なんていないんだと、前向きな気持ちになれる所も素敵でした。
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40年間の姉妹とそしてネネのお話 500頁だったんだ サクサク読ませる 厳しい現実が 沢山の優しさで救われて良い読後感 物語年代が飛ぶところがあって その間どんな毎日があったのだろう 想像したり 物語の出てくる映画「グロリア」見なきゃ 2023年 mybest本
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優しさの連鎖、ヨウム・ネネの聡明さに感動。また津村さんの作品の中のお気に入りができてしまった。ラジオから流れる音楽、コンクールで歌う楽曲の候補のラインナップ、津村さんらしくてにやにや。出てくる映画名がこらまた全然わからなかった。図書館で借りて読んだけど、蔵書としておこうと決めた。
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18歳の姉と8歳の妹が、母とその婚約者との生活をやめて、蕎麦屋の住み込み仕事のため移り住み、その土地で出会う人たちとの暮らし。 蕎麦屋は水車小屋で蕎麦を引いており、その水車小屋に住み蕎麦ひきの見張りをしているのが、ヨウムのネネだ。 親には恵まれなかった登場人物達だけど、行く先で...
18歳の姉と8歳の妹が、母とその婚約者との生活をやめて、蕎麦屋の住み込み仕事のため移り住み、その土地で出会う人たちとの暮らし。 蕎麦屋は水車小屋で蕎麦を引いており、その水車小屋に住み蕎麦ひきの見張りをしているのが、ヨウムのネネだ。 親には恵まれなかった登場人物達だけど、行く先で出会う人たちの善意によって生かされ、人格も形成されていくのか。 自分が持っていないものを人に与えてもらい、それを今度は自分が誰かに手渡したいと願う妹の律。 登場人物みんな魅力的で、心があたたかくなった。 ネネがよくしゃべる愉快な鳥で、ヨウムの知能は人間の3歳くらいと言われてるらしい。 ネネの言葉の覚えっぷりは3歳を優に凌ぐものの、ネネの「永遠の子ども」らしさが、物語全体を優しくしてくれてる。 約40年間の物語。 津村さんの小説は短めのものが多いイメージだったけど、あとがきによれば、これは津村さんの一番長い小説だそうです。 出会いと別れがあり、単にすれ違うだけの人もいる。 滅多に会えなくなっても、故郷は待ってくれている。そんな優しいラストだった。
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ネグレクトなどを題材にした作品。何度も涙してしまった。つい最近もリアル事件があったばかりで、お姉ちゃんの判断に喝采。題名のネネは蕎麦を挽く水車小屋に住むヨウムの名前、やりきれない家族との軋轢に苦しむ人々への緩衝としてだけでなく、なくてはならない存在。
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今回もやはり大好きでした。 実は新聞連載を時々横目で見つつ、鳥?ネネ?あんまり食指が動かないな〜、なんてスルーしてたのだけど、単行本で読んだら、何と素敵な同時代大河小説でしょう!(そんな言葉ないと思うけど) 津村さんは、声高に何かを語ることはしない。社会問題について触れる時も押...
今回もやはり大好きでした。 実は新聞連載を時々横目で見つつ、鳥?ネネ?あんまり食指が動かないな〜、なんてスルーしてたのだけど、単行本で読んだら、何と素敵な同時代大河小説でしょう!(そんな言葉ないと思うけど) 津村さんは、声高に何かを語ることはしない。社会問題について触れる時も押し付けがましさがない。むしろ感情の起伏を抑えて、語り口をわざわざ平坦にしているように思う。それでいて、読み手の心には、じわじわと温かな血液が流れ込んでくるのが不思議。 本書には、とても美しいとか、才能に溢れているとか、大変な力とか、物語に出てきがちな突出した何かを持つ人はほぼ出てこない。さらに、自分の不幸を嘆く人が出てこない(いても遠くに霞んでいる)。 描かれるのは、市井の人々の、譲れない価値観だったり、人に寄り添う気持ちだったり、心の再生だったり、出会いを大切にすることだったり。一言で言うと「思いやり」なのかな。読んでいて、善意のリレー、という言葉がしばしば浮かんだ。 警戒心の強い私としては、善意の人たちの構成比率が高い世界だと思ったし、実際の田舎はユートピアな側面ばかりではないし、全員の人生がいい方向にいくなんて奇跡だと思う。でも、周りがどうあれ、いい方向に進めるように自分の人生の舵をきちんと取ってるからいい方向に進める訳ですよ、ということは、自分にいいたい。 そして、私もおそばに呼ばれたい…。
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親元を離れて生きる姉妹の成長と暮らし、周りの人々との交流を描いた長編。 なんと言ってもヨウムのネネがかわいくて、ネネが出てくるたびに嬉しくなります。ネネの賢くて、自分の意志は感じさせながらも人間に従順な素直さの塩梅が絶妙です。 ネネは女の子だと思って読んでいたので、終盤に「おじい...
親元を離れて生きる姉妹の成長と暮らし、周りの人々との交流を描いた長編。 なんと言ってもヨウムのネネがかわいくて、ネネが出てくるたびに嬉しくなります。ネネの賢くて、自分の意志は感じさせながらも人間に従順な素直さの塩梅が絶妙です。 ネネは女の子だと思って読んでいたので、終盤に「おじいちゃん」と書いてあったのには驚きました(それでもかわいさは変わりませんが)。 新聞に連載していたとあって400ページ超えの長編のため、面白いながらも読むのになかなか時間がかかりました。10年ごとに章立てされていて、短いエピローグも含めると40年に渡る話です。だいぶたくさんの人が登場しますが、各章ごとに少しずつ人が増えていくのであまり混乱せずに済みました。 津村さんが好きなのであろう(好きなのが伝わってくる)音楽に関する内容が随所で登場するので、音楽好きの人はより楽しいと思います。
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津村さん史上最長編なのでしたか。もっと長くてもよいです。おそば食べたくなる。そんなに好きじゃないのに!
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