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ウクライナ戦争をどう終わらせるか の商品レビュー

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2024/01/04

「ウクライナ戦争をどう終わらせるか」東大作著、岩波新書、2023.02.21 198p ¥1,012 C0231 (2023.12.25読了)(2023.12.15借入) 副題「「和平調停」の限界と可能性」 ウクライナ戦争は、いつ頃どのように終わるのでしょうか? 著者の予想は、プ...

「ウクライナ戦争をどう終わらせるか」東大作著、岩波新書、2023.02.21 198p ¥1,012 C0231 (2023.12.25読了)(2023.12.15借入) 副題「「和平調停」の限界と可能性」 ウクライナ戦争は、いつ頃どのように終わるのでしょうか? 著者の予想は、プーチン大統領が政権を握っている限り戦争は終わらないだろうと言っています。ウクライナの現実的な戦争終結の条件は、2022年2月24日の状態まで戻すこと、ということです。クリミア半島とウクライナ東部の親ロシア派の占領地域を認めるということになります。 僕の個人的な希望は、プーチン大統領が長引く戦争に嫌気がさして2024年の大統領選挙には出馬せず、自分の意をくんで動いてくれる人を指名し、戦争終結に持ってゆく、ことです。 【目次】 はじめに 第1章 ウクライナ侵攻と、世界大戦の危機 第2章 これまでの戦争はどう終わってきたのか―第二次世界大戦後 第3章 和平調停・仲介の動き 第4章 経済制裁はどこまで効果があるのか 第5章 戦争終結の課題と、解決への模索 第6章 日本のウクライナ難民支援―隣国モルドバでの活動 第7章 今、日本は国際社会で何をすべきか―深刻化するグローバルな脅威と日本 おわりに 参考文献 ●プーチン大統領は戦争の目的を見失っている(15頁) 「プーチン大統領は当初、ゼレンスキー政権を瞬く間に崩壊させ、傀儡政権を樹立できると考えていました。それが困難と分かり、北部側から軍を撤退させた後は東部や南部の戦線も含め狙いが定まっていません。まさに「場当たり的」な対応に終始しています」 「プーチン大統領自身が、戦争の目的を既に見失っている」 (トルコ、ボアジチ大学ギュン・クット准教授の話) ●穀物輸出合意(63頁) イスタンブールに、トルコ、国連、ウクライナ、ロシアによる「経同調性センター」が設置され、その四者のスタッフが、ウクライナに出入りするすべての船をチェックし、武器などがウクライナに運ばれていないことを確認し、穀物をオデッサ港などで積み込み輸出している。(2022年7月に合意し、8月から実施) ●経済制裁の影響(69頁) ニューヨーク・タイムズ紙は2022年9月5日、米政府高官の話として、「ロシアが北朝鮮から数百万単位のロケットや弾薬を購入する手続きを進めている」ことを明らかにし、「北朝鮮のような国に頼らざるを得なくなっているのは、国際的な制裁によって、武器や弾薬の不足に陥っている明らかな証拠」と報じている。 ●停戦ライン(87頁) キッシンジャー氏は「容易に解決できない状態に陥る前に、この戦争を終わらせるよう、今後二か月の間に交渉を始めるべきだ」と主張した。そして、「できれば、今回の戦争が始まる前のラインまで分割ラインを戻せれば理想的だ」という趣旨の発言をした。(2022年5月23日、スイス・ダボスの世界経済フォーラム) ●クリミアの帰属(93頁) もしクリミアの帰属をも軍事的に決着させるということになれば、プーチン大統領が権力を握っている間、また仮に、プーチン大統領が失脚した後も、戦争が続いていく可能性が高くなる。 ☆関連図書(既読) 「プーチンとG8の終焉」佐藤親賢著、岩波新書、2016.03.18 「犯罪被害者の声が聞こえますか」東大作著、新潮文庫、2008.04.01 「平和構築-アフガン、東ティモールの現場から-」東大作著、岩波新書、2009.06.19 (アマゾンより) ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。核兵器の使用も懸念される非道で残酷な戦争を終結させる方法はあるのか。周辺国や大国をはじめとする国際社会、そして日本が果たすべき役割とは何か。隣国での現地調査を踏まえ、ベトナム、アフガニスタン、イラクなど第二次世界大戦後の各地の戦争・内戦を振り返りつつ模索する。

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2023/12/29

第二次世界大戦後の紛争がどのように終結したのか、日本がどのような支援をしてきたかなど、知らないことばかりでした。

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2023/11/08

イスラエルとパレスチナにおける軍事衝突の悲惨さが報じられるのを見ても、誠に残念なことではあるが、「この戦争も果たして終わりがあるのか」という雰囲気を感じる。  ウクライナの戦況を伝える報道が続いているが、この著者がこの本で提示したかった一つの見解は、『「軍事的な作戦だけで、この戦...

イスラエルとパレスチナにおける軍事衝突の悲惨さが報じられるのを見ても、誠に残念なことではあるが、「この戦争も果たして終わりがあるのか」という雰囲気を感じる。  ウクライナの戦況を伝える報道が続いているが、この著者がこの本で提示したかった一つの見解は、『「軍事的な作戦だけで、この戦争が終わる」と考えることは、かなり非現実的なことである』ということだそうだ。  ロシアは開戦から数週間でウクライナのゼレンスキー政権を倒し、傀儡政権を作ることを目指していた。これはまさにロシアが勝利する形での「軍事的決着」と言える。しかし、このようにロシアが一方的に勝利する可能性は、ウクライナの懸命の防戦や西側諸国の軍事支援もあり、非常に難しいことが明らかになった。  他方で、ウクライナが「軍事的な手段だけで」この戦争を勝利することも極めて難しいとも感じる。著者は、「ウクライナの勝利とは何を意味するか」を明確にする必要があるという。ロシアの軍事侵攻が始まった昨年2月から6月くらいまで、ゼレンスキー大統領は「2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始した前のラインまでロシア軍を押し返せば、ウクライナの大勝利だ」と訴えていた。ウクライナを支援する多くの西側諸国もこの考え方を共有していた。  しかしその後、ウクライナ政府内の意見が強まる中で、ゼレンスキー大統領とその政権は、 ①「クリミア半島も含め、2014年以降失った領土の全てを軍事的に取り戻す」、 ②「プーチン大統領をはじめロシアの戦争犯罪者の処罰を行う」、 ③「ロシアに損害の賠償(戦時賠償)をさせる」、 と主張しており、これが現在のウクライナの勝利の定義になっている。問題は、この3条件をプーチン大統領やロシア政府が政治的に受け入れる可能性が殆どないと考える。

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2023/06/25

ウクライナ戦争をいかに終わらせるか、破滅的な核の応酬や経済圏の分離も見据えつつ、プーチンがいても失脚してもなんとか外交的解決策を模索することの重要性を説いている。 ベトナムやソ連のアフガン侵攻など過去の戦争終結を振り返り、大国の撤退こそ終結の道とする。和平調停は国連よりも大国や周...

ウクライナ戦争をいかに終わらせるか、破滅的な核の応酬や経済圏の分離も見据えつつ、プーチンがいても失脚してもなんとか外交的解決策を模索することの重要性を説いている。 ベトナムやソ連のアフガン侵攻など過去の戦争終結を振り返り、大国の撤退こそ終結の道とする。和平調停は国連よりも大国や周辺国の力の方が有用で、レバレッジを有する国が仲介に乗り出す必要がある。経済制裁はやたらめったらやればいいというものではない。 ブチャでの虐殺が明らかになる前には、和平交渉が形になりかけていたと初めて知った。日本の支援や、中村哲さんのアフガニスタンでの功績はこの本を読むまでなんとなくしか知らなかった。タリバンに政権が移ってから、確かに女性を抑圧したりはあるかもだが、日本のNGOともうまく連携しているんだな。

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2023/06/11

本書には書かれていないが、開戦を巡ってはウクライナ側にも避難されるべき事実関係がある。 ウクライナの歴史を学ぶと、ソ連のスターリン時代にロシア人に対して深い遺恨があることかずわかる。 ウクライナ人は最後の一兵となるまで戦うことになりそうだ。 そして、遺恨を利用する軍需産業が大笑い...

本書には書かれていないが、開戦を巡ってはウクライナ側にも避難されるべき事実関係がある。 ウクライナの歴史を学ぶと、ソ連のスターリン時代にロシア人に対して深い遺恨があることかずわかる。 ウクライナ人は最後の一兵となるまで戦うことになりそうだ。 そして、遺恨を利用する軍需産業が大笑いするという構図だ。 もちろん、開戦して罪のないロシア人を無駄死にさせているプーチンも大馬鹿である。

Posted byブクログ

2023/04/21

ウクライナ戦争について、ベトナム戦争やイラク戦争やアフガニスタン戦争などの例を引きながら説明したものである。もっとウクライナ戦争に焦点化してもよかったし、歴史的なことが書かれていないと理解が難しいのかもしれない。  和平調停についてもっと深く書かれてもよかったのではないか。

Posted byブクログ

2023/04/20

題名通り、ウクライナ戦争をどう終わらせるか、その困難さ、そして日本に何ができるのかが書かれている。 戦争を終わらせるには、「軍事的勝利」か「交渉による和平」しかない。ロシアに対して軍事的勝利をするのはあまり現実的ではない。したがって、交渉するしかない。一度は和平案が出されたもの...

題名通り、ウクライナ戦争をどう終わらせるか、その困難さ、そして日本に何ができるのかが書かれている。 戦争を終わらせるには、「軍事的勝利」か「交渉による和平」しかない。ロシアに対して軍事的勝利をするのはあまり現実的ではない。したがって、交渉するしかない。一度は和平案が出されたものの、頓挫してしまった。今のままでは戦争は長引きそう。 日本に何ができるのか、軍事支援はできないので、難民支援がメインになる。難民の「自立と安定」を支援する。アフガニスタンで中村哲氏が行ってきたようなことをする。 目新しさはあまりないが、これまで侵略の被害にあった国々を取材してきた著者の言葉はとてもわかりやすかった。

Posted byブクログ

2023/04/16

 戦争を終わらせる方法はあるのか。国連アフガニスタン支援ミッション和解・再統合チームリーダーなど、現場経験を活かして、考察する。  本書では、まず、この戦争の長期化、核の恐怖と背中あわせの戦争を指摘し、戦争の目的が定まっていないから、止めようがないという。これに加えて、ロシアは凄...

 戦争を終わらせる方法はあるのか。国連アフガニスタン支援ミッション和解・再統合チームリーダーなど、現場経験を活かして、考察する。  本書では、まず、この戦争の長期化、核の恐怖と背中あわせの戦争を指摘し、戦争の目的が定まっていないから、止めようがないという。これに加えて、ロシアは凄まじい大義なき疲弊戦を続け、かつ、国民全体を対象にした動員も始めており、ロシア人1人1人にとって、もうこの戦争は他人事ではない事態になった。  プーチン大統領の失脚、政権の崩壊? は、戦争を終わらせるひとつの方策かもしれないが、世界大戦へのエスカレートを防ぐためには、これに頼るわけにもいかない。プーチン大統領の存続する限り、結局は最終戦争に突き進むということでは人類が終わってしまう可能性すらある。 そこで、現実的な処方箋として、プーチン大統領のもとでどのような終結の方法があるのか外交的な模索を続けることがどうしても必要である、とする。著者の基本的な立場である。  次に、第二次世界大戦後の戦争は、どう終わってきたのかを概観するが、結論は、ベトナムでもアフガンでも、「大国の軍を自分たちの区なから撤退させる」ことを目標に戦い続けた。・・・侵攻する側に大義がないことを世界に示しつつ、大国本土への攻撃は控え、大国内での市民の反戦の動きを高めることで軍を撤退させるのが、侵攻を受けた側の一貫した戦略だった、と見事な整理を読者に提示する。  以上を踏まえ、「和平調停・仲介の動き」に論を進めるが、まず、国連への期待と限界について、戦争が始まった後の和平交渉では、紛争の当事国が支援しているグローバルな大国や周辺諸国が本気になって戦争をやめようとし、双方の紛争当事国に対して説得を行う必要がある。それがなければ、国連の調停だけでは、なかなか戦争が終わらない現実がある、と述べる。  どういった方法が考えられるか、ここで、大国や周辺国の力(レバレッジ)を指摘する。 紛争当事国を支援している大国や周辺国は、戦争の終結に向けて紛争当事者を説得する力、いわゆる「レバレッジ」をもっているからである。  ウクライナ戦争では、米国と中国が、レバレッジを持つ国になる。  第5章の「戦争終結の課題と、解決への模索」が、本書のメインテーマに関する記述になると思われるが、戦争終結の難問として、①領土問題、②戦争犯罪、③安全保障の枠組みの3つをあげる。  ①については、2月の侵攻前にロシアが実質的に編入しているクリミア半島と、親ロシア派が実効支配しているルハンスク州やドネツク州の一部の地域をどうするか、という問題を提起、ウクライナの人々の圧倒的被害と苦境を終わらせ、世界大戦や核戦争になるリスクを回避するためには、まずは二月二四日のラインまでロシア軍を撤退させることを、ウクライナ政府と国際社会の共通目標とし、それ以上の領土問題については、ロシアとウクライナのその後の交渉に委ね、双方が折り合う妥協点を見つけていく、というのが、現時点での最良の道ではないか、という。  ②については、ロシアの戦争犯罪とその責任者をすべて処罰するまで戦争を続けるとし、本気で逮捕しようとした場合、理論的には、ロシア国内まで攻め込まなければ逮捕できない。・・・それよりも、まずは戦争を終結させて、その後、ロシアとウクライナの間に戦争犯罪に関す目委員会を設置し、この戦争で起きた悲劇について事実を明確化し、必要に応じて個人レベルの謝罪や賠償を行い、二度とこのようなことが起きないような共通認識を深めていくことを模索する作業を続けることを提案する。  いずれも、実務家らしい視点であり、大方の所は、反対はないだろう。  最後は、日本の役割である。第6章は、「日本のウクライナ難民支援――隣国モルドバでの活動」をレポートし、第7章で、今、日本は国際社会で何をすべきか――深刻化するグローバルな脅威と日本について論じる。  欧米の圧倒的関心と外交資源がウクライナ問題に費やされる中、日本が中東やアフリカなど第三世界における、一国では解決できないグローバルな課題の解決のために主体的な役割を果たすこと、それは現地の人々や政府からも、そして欧米諸国からも感謝されることだと思う、というのは、著者の活動のバックボーンではなかろうか。  さらに、日本人としてできることは、「民主主義」と「平和主義」という自らの戦後の生き様に誇りを持ち、このような侵略行為に毅然と抗議し続けながら、それでも世界大戦に突入しない知恵を絞り、米国や中国も含め、世界全体に働きかけていくことだと思う、との締めくくりは、日本人の自信を改めて取り戻させる、筆者の熱いメッセージである。 著者は、文章力もあり、勢いのある筆致に引き込まれ、一気に読むことができた良書である。

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2023/04/04

戦争の終わらせ方  軍事的勝利 か 交渉による和平合意 大国の侵攻と国連の濫用  仲介を表明しつつ、軍事的に支援を続ける シリア内戦 レバッジ 説得する力 米国と中国 ファシリテーター 対話の促進 トルコ 3/29交渉  ①2/24ラインに戻す、②NATO非加盟、③クリミア...

戦争の終わらせ方  軍事的勝利 か 交渉による和平合意 大国の侵攻と国連の濫用  仲介を表明しつつ、軍事的に支援を続ける シリア内戦 レバッジ 説得する力 米国と中国 ファシリテーター 対話の促進 トルコ 3/29交渉  ①2/24ラインに戻す、②NATO非加盟、③クリミアと東部は別途協議   →ブチャ殺害で和平交渉終わり 穀物輸出合意 中東アフリカからの批判 経済制裁 国家の体制転換例は少ない  解除条件明示 ロシア撤退と停戦 戦争犯罪責任  処罰を要求しないことが終結合意に  →アメリカのベトナム、イラク、アフガン  ICC判決 アフリカのみ ホスト国支援 モルドバへ日本から グローバル課題のファシリテーターとしての日本 国際ルールを守る国と守らない国 民主主義と専制主義を超える

Posted byブクログ

2023/03/31

紛争の調停現場で活躍されていることもあり、交渉の困難さなどがわかりやすくまとめられていました。ただ最終章のまとめ方はやや飛躍しすぎに感じます。

Posted byブクログ