鏡の男(下) の商品レビュー
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ヨーナ・リンナシリーズ8作目は少女の拉致事件からスタート。拉致された少女はどうやら複数いて、残虐で何をしでかすかわからないシエサルという男に監禁されているらしい。ヨーナ本人は前作で宿敵ユレック・ヴァルテルとの決着がつき、ヴァレリアやルーミと平穏な生活に戻ろうとしているが、父の知らない側面を見たルーミは心の整理がつけられないようだ。 というわけで、ユレックが死んで読者はほっとしたけど、ルーミはトラウマになってしまった模様。そしてビーバーの行方は知れず。少女を拉致監禁しては気まぐれに殺す殺人犯と、犯行を目撃したかもしれないが精神に疾患のある男、その男を支える家族の不安などをもとに話は展開。三度登場のエリックの催眠術も絡んできて嬉しい。残虐犯行シーンの詳細な描写は、今回も健在です。 とにかく前巻が救いなさすぎだったので、今回は誰か助かって、、と思うがいきなり死ぬヤヌス。しょんぼり。またダメなのか、と思ったら、今回は意外にも、死んだと思っていた娘がまさかの生還とか、孤独でひねくれた少女に救いがあったとか、ルーミとの和解とか、思わぬ明るい結末でした。 あのラスト、次はいよいよビーバー登場か?
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気がつけば今回ヨーナは孤軍奮闘だった。ノーレン、エリック以外かつての仲間・家族は周りにおらず、本筋からはちょっと離れた番外編的な話だったのかな。事件解決に執着するヨーナはかっこいいがちょっと常軌を逸してきたな。
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さすがに今回は、先が読めてしまった。それでも結末まで目が離せません。 さらっとした描写だが、もしも映像化したら、R18+は確実でしょう。
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エリック・マリア・バルクに思った以上に重要な役割が振られていた。 サーガが最後にちょっとだけ出てきた。(サーガはどうなってたんだっけ?) ざっくり言って、今までのシリーズと同じ。 今さらだけど、このシリーズ自分には刺激が強すぎるかなあという結論。 読書は寝る前の寝付きのためという人間には向かない。 続きは気になるけど。
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スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。 いつも仕掛けと残...
スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。 いつも仕掛けと残酷さと怖さとでこのシリーズに着いてゆけなくなる一歩前まで行くのだが、本作は久々のアイディアにやられてしまったかもしれない。夫婦作家共作のシリーズ向けペンネームで書かれたスウェーデン・ミステリーでありながら、甘いところは一切見られない、どぎついまでの暴力とサイコな駆け引きに満ちたシリーズを、図太い線で駆け抜けるのはお馴染みのシリーズ主人公ヨーナ・リンナであり、もう一つの主役を務める精神科医エリック・マリア・バルクである。 エリックの方は後半の少しだけの登場ながら、やはりいつもの主役クラスの展開に絡む。本書ではクライマックス・シーンと言っても良いような一点で。 いずれにせよ彼らシリーズ主人公は、物語の前半ではあまり活躍の場が得られない。むしろ悪の捕食者に捉えられ、辛く永く過酷な運命を辿ってゆく少女たちと、彼女らの運命が中心に語られてゆく。少女たちに絡む悲劇の夫婦が、本ストーリーにどう絡んでゆくのかが見えないまま、辛く凄惨な日々が過ぎてゆく。 運に恵まれない少女たちの物語には眼を背けたくなる読者が多いのではないだろうか。そしていつまでも見えないフリークなまでの残忍な犯罪者の正体は? 張りつめたバイオレンスの緊張感を通低音として聴きながら、誤った方向に進もうとする捜査と、警察組織への苛立ちをものともせず真実への最短距離を走り抜けようとするわれらがシリーズ主人公ヨーナ・リンナが本書でも頼もし過ぎる存在となってゆく。 謎の骨格が優れており、前半の暗い情景を丸ごとひっくり返すような驚く仕掛けで明かされるエンディングの妙は、シリーズ中屈指の面白さである。シリーズのスタート地点に立ち戻った観のあるエリック・マリア・バルクの活躍も苦闘も目立つ。 絶対に明かせない真相に向けて疾走するストーリーとその語り口の妙。状況のあまりの凄惨さに辟易を覚えた点を覗けば、久々に見る優れたサイコ・サスペンスとしておススメの力作である。辛く、痛く、そして真っ暗なトンネルを抜けたところにある快感を目指して、この長く冷徹なレール上を走り抜けて頂きたいと思う。
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