地球の果ての温室で の商品レビュー
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めちゃくちゃ面白い小説だった……!!! 翻訳小説は独特の文体があると思うのだけど、韓国語は文法が似ているからかこの作品ではその感じもおぼえず、本当に読みやすい文体でするする読めた。 するする読み進めたのはもちろん内容がめちゃくちゃよかったのもあって、SFって謎が解けたり時空を超えて何かが繋がったときに自分の脳内で小爆発が起きて面白さが加速する瞬間が好きなんだけど、そういう瞬間を1回だけでなく味わえた作品だった。 植物がキーとなるディストピアの舞台も魅力的だったけど、個人的に魅力的だったのはキャラクターの描き方で、アヨンの周りの人間関係もよかったし、後半核心に迫って描かれたジスとレイチェルが本当に……切なくて切なくて……胸がずっとギュッと掴まれてた……。 時系列や視点が入れ替わりながら進むのであとからじわじわあの人は……あの二人は……と想わされることも多かった気がする。 大人と子供の描き方も魅力的でよかった、ナオミ視点は児童書を読んでるみたいなワクワク感があったなあ。 ナオミとジス、アヨンとヒス(ジス)の交流の場面好きでした。 あとアマラとナオミがいっとき緩い連帯を持っていた女性たちもよかった。 絶望だらけで、人間がいかに脆いかを描きながらも希望の欠片を積み重ねて前向きな終わり方をしているのが素晴らしかった。勇気とか努力とか忍耐をもって希望の欠片を積み重ねているのが素晴らしかった……。 でもやっぱり一番はジスとレイチェルのことがしばらく心に残りそうだ〜。。。
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SF特有のマッチョな感じがなく、その時代、その環境にサラリと飛び込めるような文章や登場人物の設定が好き。SFらしくなく、しかしSFじゃないと書き得ない物語。描かれているものは普遍の苦さや焦がれる想い。
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この地球は植物のもの……人間その他の動物は植物に依存して生きている。 SFしかもディストピア小説で、人類自らの過ちから地球上の生物滅亡の危機という設定にも関わらず、健気でひたむきな主人公たちのようすが、素直に心に響く。 過去と現在を交互に描いているが、混乱もなくすんなり頭に入...
この地球は植物のもの……人間その他の動物は植物に依存して生きている。 SFしかもディストピア小説で、人類自らの過ちから地球上の生物滅亡の危機という設定にも関わらず、健気でひたむきな主人公たちのようすが、素直に心に響く。 過去と現在を交互に描いているが、混乱もなくすんなり頭に入っていき、没頭してしまった。 ただ…… ほぼ、女性しか登場しない。なぜ?意図的? もう一つ、 舞台はほぼ、韓国、マレーシア、エチオピア。 これもなにか……。
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ポストアポカリプスでアフターコロナを感じるけど、著者はいつこのストーリーを思いついたのだろう。 蔓植物が世界に伝播していってたところは、「トップをねらえ!」のラストシーンの音楽が流れた。
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23/10/07 静かに朽ちてゆく、去ってゆくものと、それを抱えて生きていくことを、熱量最低限で書いてくれる作家。好み。
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前作の「わたしたちが光の速さで進めないなら」が好きだったので期待していたキム・チョヨプの新作。前作は短編であり物語を通じた社会に対するいろんな彼女の視点を感じた。一方で本作ではミステリー仕立てになっている点もあいまってストレートな物語の面白さがあった。 ポストアポカリプスものはSci-fiのテーマとしては王道だけども、その原因がミクロな物質および気候変動とという設定が興味深い。本作における「ダスト」はミクロかつフィジカルに人間を攻撃する厄介なもの。(黄砂が毒性持つイメージ)本著はコロナ禍で書かれたそうで、ミクロな物質の王道としてよく使われるウイルスだと現実からの飛躍が少ないからか「ダスト」という設定なのかもしれない。その暗澹たる環境の中で世代、国籍の異なる女性たちがストラグルする話がメインで、それを追いかける韓国の現代パートという構成になっている。 前半はダスト事変以後の世界でダストの研究を続ける韓国サイドの研究者の話が中心で、そこでは「研究」することの是非が描かれていた。日本だけに限らずCP、TP的な価値観の跋扈は進んでいるのだろうか。特に「研究」というのはすぐに結果が出るものではなく、時間をかけてこそ意味があることをにじませていた。後半にかけてはタイトルにもある本作最大のキーワード「温室」およびそこで育てている植物の謎へフォーカスしていく。ここが完全にミステリー仕立てでエンタメとして単純にオモシロかった。人間のコントロールによる結果とはいえ起死回生の一打が植物にあるというのは2023の今だと現実味を感じられた。ポストアポカリプスものに共通する「人間は己の驕りを知るべし」という教訓がそこかしこにあってコロナ禍を経た今だと考えさせられることも多い。そしてまさかの恋物語も切ない話だった…あと全体に著者の語り口の柔らかさでまろやかになっている気もした。セリフではあるもののたとえばこんなラインなど。対談本が出ているそうなので、そちらも読んでみたい。 *懐かしさと痛みは、いつも同時に訪れる。みんながみんな、それに耐える必要はないものね。* *心も感情も物質的なもので、時の流れを浴びるうちにその表面は徐々に削られていきますが、それでも最後にはある核心が残りますよね。そうして残ったものは、あなたの抱いていた気持ちに違いないと。時間でさえもその気持ちを消すことはできなかったのだから*
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前作の短編集が良かったのでこちらも読んでみた。SF感満載の設定と人と人(特に女性)のつながりを紡ぐエモーショナルな筆致が作者の持ち味なのかなと思う。淡々としつつもドラマチック。 今作では、毒霧に世界が覆われ地上が荒廃したディストピアで、必死に生き残る幼い姉妹と彼女たちが行き着いた...
前作の短編集が良かったのでこちらも読んでみた。SF感満載の設定と人と人(特に女性)のつながりを紡ぐエモーショナルな筆致が作者の持ち味なのかなと思う。淡々としつつもドラマチック。 今作では、毒霧に世界が覆われ地上が荒廃したディストピアで、必死に生き残る幼い姉妹と彼女たちが行き着いたいっときの安住の地、そのコミュニティの心臓部とも言える温室で謎の研究をしている姿を見せない植物学者と彼女を支え諭しながら村を守ってきた整備士、復興後の世界でふとしたきっかけで彼女たちのことを知ることになり真相に迫る後世の研究員が描かれる。 近未来のディストピアを描くSFの醍醐味もありハラハラドキドキする展開もあるのだが、やはり読後に感じるのは、「心の中に残り続けるあの人」「心の中に残り続けるあの風景」に対する、切なくて寂しくて懐かしくて愛おしい、胸がキュッとなる感情だ。エモSF……。各世代のシスターフッドが描かれているのも良い。ユンジェ先輩(主人公である研究員の先輩)良い先輩!
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ダストフォールという地球規模での災害が発生した後の世界。ドームに逃げ込むことができた人と、耐性を持っていた人が生き残って、世界を再建した。ダストの時期に、地球を覆っていた植物、モスバナが、今頃になって再発生したことから始まった調査だが、主人公アヨンの思い出につながる点があり詳しく...
ダストフォールという地球規模での災害が発生した後の世界。ドームに逃げ込むことができた人と、耐性を持っていた人が生き残って、世界を再建した。ダストの時期に、地球を覆っていた植物、モスバナが、今頃になって再発生したことから始まった調査だが、主人公アヨンの思い出につながる点があり詳しく調べていく中で、ダスト時代の人々の行動が明らかになっていく。 序文で作者本人が書いているのだが、この本の執筆時期がCOVID-19が最も深刻だった時期に重なっていたとのこと。小説の中のダストフォールが、現実のパンデミックと重なる部分もある。 とても面白かった。おすすめです。
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なんとも可愛らしいポストアポカリプス(終末もの)小説でした。 それは、登場人物のほぼ全員が女性で、ポストアポカリプス社会にありがちな残酷な暴力描写が少なかったためにそう感じたせいかもしれません。(なくはない) 物語は幾つかのパートにくっきり分かれていて、短編をつなぎ合わせたかの...
なんとも可愛らしいポストアポカリプス(終末もの)小説でした。 それは、登場人物のほぼ全員が女性で、ポストアポカリプス社会にありがちな残酷な暴力描写が少なかったためにそう感じたせいかもしれません。(なくはない) 物語は幾つかのパートにくっきり分かれていて、短編をつなぎ合わせたかのようでもあります。 少女姉妹が過酷な状況下を力を合わせてサヴァイブするといった場面もあり、中高生くらいから読めそうな感じです。 物語の核となるテーマは、社会性ゼロのサイボーグ植物学者とその整備士さんの関係性でしょうか。お互い命を預け預けられという関係なので、そこに仄かな恋心が生じたり、生じなかったり...。ちょっとした百合劇場が展開します。 巻末の参考文献には載っていませんでしたが、著者のエッセイで『鋼の錬金術師』のことがつらつら述べられていたので、そのあたりの影響もいくらか感じられます。 ただ、前作の短編集に比べて、プロットのキレが落ちてしまったように思いました。それは、長い一本の物語を破綻させないように、という配慮のせいなのかもしれません。結果として、短編を読んだときのような、予想外の展開に対する驚き、ワクワクが感じられなかったのは残念でした。
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u~~~~~nn... なんだろ もう少し展開が欲しかったかなぁ〜 図書館で手に取り読んでみようかと思ったが... 少し物足りなさが残ったのも否めないかも...
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