何食わぬきみたちへ の商品レビュー
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凄く好き。 時系列がバラバラだったり、 現在と過去を行ったり来たりしているのも謎がとかれる感じで良かった。 もう少し踏み込みが欲しい。 ひとつあげると、古市が本当はいじめをしていなかった、と。 なら本当は誰がしていたのか? など疑問が残るところは多々あったし、もっと知りたかった。 これだけはよく分からなかったのがラスト。 今までと打って変わって、何を話しているのかがイマイチ理解、共感共に得られなかった。 そしてなにより、綺麗事で終わらなくても良かった。 もったいなかった。
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•敦子がさっき嘔吐したかっちゃんに噛みつかれる。痛いのは痛い。だけど外野から可哀想な生い立ちと括られるのも違う。兄のことが好きなのに好きと叫べない。カテゴライズしてくる周囲も、自分を貫けない自分自身も嫌になる。(100-102) •暴力のむごさは痛みそのものではなく、普通ではな...
•敦子がさっき嘔吐したかっちゃんに噛みつかれる。痛いのは痛い。だけど外野から可哀想な生い立ちと括られるのも違う。兄のことが好きなのに好きと叫べない。カテゴライズしてくる周囲も、自分を貫けない自分自身も嫌になる。(100-102) •暴力のむごさは痛みそのものではなく、普通ではなく普通になれない被害者側だと物理的な印で突きつけてくるところにある。かっちゃんの噛みついてくることで敦子は否応なしに被害者側に見られる(102) •古川はクラスメイトとの接し方が分からずに、共感と笑いを誘えそうなかっちゃんを出汁にした。裏ではかっちゃんの行動に勇気をもらって分教室に喋りに行っていた。古川は糾弾され退学した後も、自分の行動の浅はかさと視野の狭さを反省し、読書をして勉強に励み、後悔に苛まれている。それに比べ大多数の人間は分教室の人間は目の端に追いやり、関わる気も理解を深めることも一切ない。 •在校生と分教室の話になり大石は記憶に残ってないふりをする。坪井敦子は“なんで何食わぬ顔できていいな。安全圏で生きられて、いいな。”と言う。大石は場の空気をぶち壊すのが正解なのか?あの頃の気持ちをずっと引きずってずっと後ろ向きで生きていくのか。日常は器用に避けて、だけど忘れずに考え続けることが大事じゃないのか、と。(142-148) •みんな事情があるからって自分の信念や感情を殺すのは違う。相手のことを理解することと自分の感情を殺すことはイコールじゃない。だけど意見の衝突が物事と向き合う真摯な姿勢。(153) •敦子は登校時中学の通学路が工事してて、周りの友達は迂回して学校に向かう中動けなくなる。ルーティンが崩れると何もできなくなる人もいて、だけどほとんどの人は臨機応変に迂回できる。(114) •夏の空は不思議だ。目玉の端にある分にはその美しさが分かるのに、注視すると真っ白けてしまう。古川を注意する圧倒的に正しい大石を見ると、なぜか“よくやるよな”と思ってしまう伏見(34) •社会からはみ出したものを笑えない、馬鹿に出来ない。そのくせ、いざ純度の高い真っ当な感情を目にすると、伏見はほとんど引いてしまう。安全圏から相手を評価する卑怯者。(60) •暴力のむごさは、痛みそのものなんかじゃない。自分がもう決定的に「普通」でない、「普通」になれない可哀想な状況に置かれているのだと、被害者なのだと、物理的な印でもって突きつけてくるところにある(102) •胸を張れない感情は嘘って、誰が言い出したのかしらね。あなたが周りの人間を愛する気持ちは、純度百パーの本物。でも周りと比較して、劣等感に苛まれるのも本当。それは、本気で彼らを好きだからこその矛盾。一面で説明できない気持ちが正義とか、それこそ嘘で片付けられる。(135) •古川がガイジ菌といって共感と笑いを誘っているのを大石は注意する。その瞬間、いやらしい笑顔で古川を見ていた女学生の標的は大石に転換する。大石は自分の道理に曲がったことを受け流すことはできない。ほとんどの人間はそれを受け流し、外野から見て笑うだけ(32)
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ふつうに生きてきたら、きっと誰しも感じたことがあるでろう、申し訳ないというか、かなしいというか、なさけないというか、だけどどうしても嫌だな、という あの気持ち。
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ちょっと分かりにくいな…この短さだから読み切れたかもしれない。所々ポエマーチックで捉えどころがないというか登場人物がみんなセンシティブで人の機微って文章力や雰囲気がないと伝わりづらいのかなと思った。
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こんなに若い作家さんが出てきていて文芸の未来は明るいですね。 と思うと同時に自分の年を感じてしまいます。
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誰かに対しても自分に対しても、行動や抱いた気持ちがきっと正解ではないと感じてることに、登場人物たちが不器用にも向き合っていました。それを読んでいるこちら側もうまく言葉にできないし、正解の形はわからないけれど、何か感じたことから目をそらしてはいけないと感じました。
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個人的にはちょっとわかりにくかった 時系列がバラバラで全体像をつかめなかった からかもしれません 学生時代特有の人との距離感、 調子に乗って人に接して後から後悔するなどの 描写がリアルでした 学生さんか読んだら違う感想を 持つかもしれません
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登場人物それぞれの気持ちがわかるようなわからないような、とても捉えどころが難しいニュアンスが多く含まれていた。 敦子が前向きに一歩踏み出せますように。
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○○に出会えたから人生が変わった!幸せになれた!とか、一瞬でなにか変化が起きるような革命的なものは滅多に無く、実質のところ救われたとて救われたのはつかの間で 地獄はゆるやかに永く近くに在る。本作の登場人物にとっての地獄はわたしより深いものかもしれないけれど、他人のすべてを図り知ることは決してできない。地獄はきっとそれぞれにあって、だれかの地獄はだれかの天国でもある。みんな救い救われながら生きてるんだな、と昨日のバイト中思ったことをなぜか今思い出した。めちゃくちゃそれだ。古川とあこちゃんの少し危うくて凸凹な関係性が、すきだと思った。
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向き合わずにいられて、安全圏で生きられて、いいな――。 傷だらけで世界への違和にもがく高校生たちの姿を描き出す青春中編。 (アマゾンより引用)
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