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何食わぬきみたちへ の商品レビュー

3.4

15件のお客様レビュー

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2023/04/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『何食わぬ顔をされるもどかしさ、するもどかしさ…』 障害を持つ少年に対するいじめ。 傍観者の視点、当事者の視点から、どうすることもできないもどかしさに悩みながらも、正解を見つけようとする若者たちの心の葛藤を描いた作品。読後に感じるもどかしさ… これも作者の意図なのか!?

Posted byブクログ

2023/03/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

途中までは話についていけてた気がするのに、終盤の、敦子と大石と伏見の会話があんまりついて行けなかった。3人とも予想外な会話をしていた。 全ての登場人物がわかる気もするしわからない気もする。 読んでいて、モヤモヤするような、気持ちがずーんと重くなるような本だった。あまり消化できていない。

Posted byブクログ

2023/03/07

真っ直ぐな人間。当たり前の人間。そう思わないとじっとしていられない。目の前の問題と自分たちの事情がリンクしないと無表情で素通りするだなんて、悪意も情動もおかしみに変換するなんて、そんなのが常なんて、古川より余程暴力的だ。(P.36) おれと大石が互いに感じていた暗さや鈍さのよう...

真っ直ぐな人間。当たり前の人間。そう思わないとじっとしていられない。目の前の問題と自分たちの事情がリンクしないと無表情で素通りするだなんて、悪意も情動もおかしみに変換するなんて、そんなのが常なんて、古川より余程暴力的だ。(P.36) おれと大石が互いに感じていた暗さや鈍さのようなものは、きっと"おとな”の兆しだ。色々なものに対する取捨選択や諦めが見えないシワとなって、きめ細かく刻まれているのだ。ー(P.87)

Posted byブクログ

2023/02/22

めちゃくちゃ読みやすくて、すぐに読み終えてしまいました。どの人が読んでも深く読み込めると思うけど、やはりこれは学生には絶対読んで考えてほしい。誰も彼もが関わったこと、考えたこと、体験したことがあるシチュエーションだと思うし、ありきたりな言葉ですがすごく考えさせられました。 登場...

めちゃくちゃ読みやすくて、すぐに読み終えてしまいました。どの人が読んでも深く読み込めると思うけど、やはりこれは学生には絶対読んで考えてほしい。誰も彼もが関わったこと、考えたこと、体験したことがあるシチュエーションだと思うし、ありきたりな言葉ですがすごく考えさせられました。 登場人物全員が本当にいろんな事情(考え?という意味でもあるような気がする)や障がいを抱えており、悪いとか嫌なところが見えてもどこか愛おしくて憎めないというか…そこがかなり好きでした。決して軽く扱ってはいけない題材であるし、どうしても影を落とすような場面もあるけどきっと私は何回もこの本を読み直すんだと思います。一生もののこの作品に出会えてよかった。

Posted byブクログ

2023/02/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読みながらどうしようもない焦燥感にかられた。 後ろを振り返る、今まで歩いてきた足跡を見る。何食わぬ顔でゆっくりと、あるいは走ってきた跡を見る。 あぁ、そうだった、自分の中にあるこの焦りはかつての自分が目をつぶってやり過ごしたツケなんだ、と気付く。 特別支援学級という特別な場所。そこで起こったいじめ。高校生にもなってなぜ、と思う。 異質なものへの嫌悪か。いや、それは多分、自分の中にもあるけれど気づきたくない「異質」への恐怖と共感なのだ。 ダメなものはダメだとわかっていてもダメだと大声で言えないこと。それが圧倒的に正しくても教室の中ではそれはとてもサムくなるから。その正しさをきちんと受け止められないままでいる伏見くんと、大学生になってその正しさを隠してしまったような大石くん。そして「いじめ」という形で発露させてしまった古川くん。 人としての自分がまだ固まっていない年代の、焦りと怒りと自己嫌悪。 自分と自分の属するグループと、それ以外に分類する世界。そこからはみ出した人を無いものとして目をそらす自分。 それ以外に分類された誰かを思う人がいる。でもその思いをまっとうに言い切れない若さと未熟さ。その憤りと悩み。 古川くんの手紙にあふれる自己正当化と偽善、それを許せないときちんと思えない伏見くんの混乱。 高校生という精神の荒波を乗り切れる人と溺れてしまう人。 その一人一人の断面を新胡桃は荒々しく削り取っていく。 家族に障がい者がいるということ。その家族を大切に思う気持ちと疎ましく思う気持ち、そしてその存在自体を恥ずかしいと思う気持ち。それと同時に自分の中にもある「普通じゃない部分」「障がい未満の困難さ」の自覚。 ひとことでいうなら「生きづらさ」。でもそこにあるのは一つ一つの痛み。 この小説を読んで、簡単に救われることはない。自分の痛みを、もしかすると忘れてしまったあの頃抱えていた痛みをもう一度感じるかもしれない。痛みを痛みとして感じられる自分を気持ちよく思うかもしれない。 そしてそんな自分に嫌気がさすかも知れない。けれどいつかそんな自分をまるごと愛おしいと思えるようになるために、この小説は生まれたのかもしれない。 自分が大切だと思うことを正しく抱えていけることへの祈り。 だからこそ、この小説を何度も読むことになるのだろう。読むたびに見つける自分に向かう言葉の刃。血を流しながら傷をなめながら自分の足跡とちゃんと向き合う。そうやって生きていくんだろう。きっと、これからも。

Posted byブクログ