キュリー夫人と娘たち の商品レビュー
キュリー夫人、娘イレーヌ、エーヴの生涯を追う。キュリー夫人はいうにおよばず、長女イレーヌも科学の道に進み夫と共にノーベル賞を受賞し、二女は母の伝記を書いた。とだけ知ってはいたが、著者モンテイユ氏は特に、女性科学者の茨の道、という視点で書く。 キュリー夫人は子供向け伝記を小学生の...
キュリー夫人、娘イレーヌ、エーヴの生涯を追う。キュリー夫人はいうにおよばず、長女イレーヌも科学の道に進み夫と共にノーベル賞を受賞し、二女は母の伝記を書いた。とだけ知ってはいたが、著者モンテイユ氏は特に、女性科学者の茨の道、という視点で書く。 キュリー夫人は子供向け伝記を小学生の頃読んだが、確かに学問を続ける苦労は描かれていたが、女性ゆえのというのはあまり覚えていない。が、これを読むと、母娘イレーヌともども1800年代末から1900年代、男性ばかりの学問の世界で、ほんとうにがんばったんだなあ、というのが伝わってきた。また母娘ともに、その生きた時代から戦争の影響が生活を覆っていた、と感じた。 キュリー夫人はやはり小さい頃のロシア占領下での生活、そして娘二人は第二次世界大戦の影響。姉イレーヌは夫とともに共産主義に未来を見出すが、二女エーブはそうではなく連合側や自由フランスの活動をする。が二人ともフランスの開放をめざした点では同じなのだ。 また次女エーブはどうして母の伝記を書いたのかなあ、とずっと思っていたが、母の死後3年で出版されたのは、アメリカの出版社から、今あなたが確かな伝記を記さないと、多くの人が推測を交えたまちがった伝記がたくさん出版されるでしょう、と言われたからとあった。そしてその後キュリー夫人の伝記本はたくさん出版されるが、元になっているのはエーブの書いた「キュリー夫人」だというのを読んだことがある。 しかし、この訳文、とってもとってもよみずらかった。伝記なので全てわかっていることを書いている、と思うのだが、途中で『〇〇することになるだろう』と、未来形が入るのだ。原文がきっとそうなのだろうが、なんとも読んでて不安定な気分になった。 ・マリー・キュリー 1867.11.7~1934.7.4(66才) ・ピエール・キュリー 1859.5.15~1906.4.16(46才) ・イレーヌ・ジョリオ=キュリー 1897.9.12~1956.3.17(58才) ・エーヴ・キュリー 1904.12.6~2007.10.22(102才) 1937キュリー夫人伝発行 キュリー夫妻 1903ノーベル物理学賞、ベクレルと共に(アンリ・ベクレル教授が発見した放射現象に対する共同研究において、特筆すべきたぐいまれな功績をあげたこと) マリー 1911ノーベル化学賞(ポロニウム1898.7とラジウム1898.12の発見とラジウムの性質およびその化合物の研究) イレーヌ夫妻 1935ノーベル化学賞(夫フレデリックとともに)人工放射能の発見により 著者:クロディーヌ・モンテイユ 1949年パリ生まれ 2021発表 2023.1.25初版 図書館
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洋書は時に非常に読みにくい。この本はまさにそれだった。ただ、子供の頃読んだ偉人伝のキュリー夫人よりも踏み込んだ内容で、知識は深まった。ほぼ斜め読み、最後まで読破ならず。
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子どもの頃読んだキュリー夫人の伝記。 彼女と2人の娘を軸にキュリー一族の歴史が語られ、大変興味深い本でした。 しかし、忠実な翻訳ということで、正直非常に読みにくい日本語であったというのが率直な感想です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本のタイトルに惹かれて読んでみた。 キュリー夫人は小学生の時の何の教科書だったかは記憶にないが、『暗闇の中に光る物質を見つけたのが、ラジウムだった。』的な内容は記憶している、その時の挿絵とともに。 しかし、放射性物質の発見者くらいしか彼女のことは知らなかったから、新刊で出たこの本を読みたくなった。 もちろん翻訳本だが、書き手のクロディーヌ・モンティユさんの書きぶりは少々まどろっこしく、3人の歴史的背景を説明するくだりは重なりもあり、登場人物も多くなかなかな本だった。 しかし、読後は知らなかったことを知りえた満足感に包まれた。 聡明な3人の女性たちの生き様が迫ってくる気がした。 そしてまた、この3人はキュリー夫人は第1次世界大戦を娘2人は第2次世界大戦を駆け抜けた人物とも言える。 放射性物質を平和以外に活用することを望まなかったキュリー夫人だが、1945年の長崎、広島の原爆にも触れてあった。 また、キュリー夫人の紹介のくだりに渋沢栄一たちが訪れたパリ万博も出てきた。日本の幕末の頃にフランスでは放射性元素の研究がされていたことになる。 また、ソビエトの侵略主義やNATOの発足など、今のロシアウクライナに通じる素地も出てきたり、よく知らない、日本だけでない、ヨーロッパの近代史に触れられたのも良かったように思う。 難しい内容ではないが、かいつまんで本のことを話そうとすると、登場人物名は再現できないくらい溢れている。 しかし、信念をもった彼女らの活躍が現代の医療への功績を残したことは深い意味を持つことを知り、頭が下がる思いもした。放射能が原因でキュリー夫人も娘一人も命を落としたのは残念でならないが、先駆者の生き様がしっかり描かれた本でもあった。また、日本と同様に男性優位の社会や考え方とも戦い続けたキュリー夫人らの行動や考え方を通して、欧米の女性解放史についても考えを馳せれたことは予想を超え読みごたえがあった。
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放射線研究に大きく貢献したマリー・キュリーは二人の娘の母親でもあった。科学、社会、そして女性のために奮闘した彼女たちの戦い。
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