1,800円以上の注文で送料無料

独占告白 渡辺恒雄 の商品レビュー

4.3

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/02/08

「たかが選手が」発言に代表されるように、読売新聞や巨人軍を意のままに操り、老害の代表のように見られているナベツネ。正直、悪いイメージしかなかったが、この本を読んで大きく印象が変わった。 大野伴睦、田中角栄、河野一郎、中曽根康弘といった歴代の総理、実力者にことごとく認められ、ブレー...

「たかが選手が」発言に代表されるように、読売新聞や巨人軍を意のままに操り、老害の代表のように見られているナベツネ。正直、悪いイメージしかなかったが、この本を読んで大きく印象が変わった。 大野伴睦、田中角栄、河野一郎、中曽根康弘といった歴代の総理、実力者にことごとく認められ、ブレーンとして政治のど真ん中で自ら意思を持って政治や外交までを動かしたまさにフィクサー。その根底には、戦争を二度と繰り返さないという強い信念があり、誰よりも勉強し深い洞察に裏打ちされた思想家でありまさに巨魁。保守で右寄りと見られがちだが、政治指導者や軍人の戦争責任を厳しく追求し、総理の靖国参拝に反対するなどリベラルな側面を併せ持つリアリスト。 ・大野伴睦を次期総理にすると言う密約を反故にし、総裁選で敵に回った岸信介。権力者の間では信義よりも有効なのは力である、というマキャベリズムを地でいく政治の世界の冷徹さ。 ・日本の戦後史の流れを見たとき、イデオロギーや外交戦略といった政策は、必ずしも絶対的なものではなく、人間の権力闘争の中での、憎悪、嫉妬、そしてコンプレックスといったものの方が、大きく作用してきた。

Posted byブクログ

2024/12/29

少し前に亡くなったニュースで、NHKのロングインタビューが書籍になっていると知り、読んでみた。プロ野球・巨人のオーナーとして、我儘に見える発言を繰り返す姿に、嫌な印象しかなかったが、どうも話が違うらしい。この本を読んでよかった。 読売新聞の主筆として、自民党に近い保守で、右寄り...

少し前に亡くなったニュースで、NHKのロングインタビューが書籍になっていると知り、読んでみた。プロ野球・巨人のオーナーとして、我儘に見える発言を繰り返す姿に、嫌な印象しかなかったが、どうも話が違うらしい。この本を読んでよかった。 読売新聞の主筆として、自民党に近い保守で、右寄りの考えかと感じていたが、ここも少し違ったと知った。原点は自らの戦争体験で、軍国主義と戦争を憎悪し、政治指導者や軍人の戦争責任を追求し、総理大臣の靖国神社参拝には反対するなど、「リベラル」な側面を持つ。憲法改正を唱えていたのは、平和と真の独立を求めたということか。 戦後は共産党で、天皇制打破を目指して活動したという。しかし、当時の共産党は過激で、軍隊的な体制もあり脱退。しかし、その経験から権力掌握術を学んだという。その後のエピソードからも、目の前の事象を鋭く分析しすること、戦略を立てて行動することに長けていたことを知った。その後、好きだった哲学ではなく、同じように好きだった書くことの道を選ぶ。 唯一、やはり理解できなかったのは、新聞記者の立場では、あまりにも政治に口だけでなく、自らが関与しすぎでは、というところ。 インタビューの後半は平成編、「老害」と見えた時期に、何を考えていたのか興味深いが、続編を待てという。ちょうど、NHKで再放送されたようなので、探してみよう。

Posted byブクログ

2024/12/29

これまで渡辺恒雄氏の事をメディアのドン程度のイメージしか持ち合わせていなかったので、この書のおかげで同氏への印象が一変した。今の時代には受け入れ難い存在であるものの、戦後政治においてはまさにフィクサーという言葉がよく似合う。

Posted byブクログ

2024/11/17

大物感がありながらプロ野球に関して問題発言した人と言うくらいしか知りませんでしたが、この本を読んで自分はどれだけ戦後の歴史を知らなかったのかを思い知らされました。 戦後の政治家の多くは、思想的なイデオロギーだけでなく、自身の戦争体験に基づく自分自身の哲学をもっていましたが、戦争...

大物感がありながらプロ野球に関して問題発言した人と言うくらいしか知りませんでしたが、この本を読んで自分はどれだけ戦後の歴史を知らなかったのかを思い知らされました。 戦後の政治家の多くは、思想的なイデオロギーだけでなく、自身の戦争体験に基づく自分自身の哲学をもっていましたが、戦争を経験した多くの日本人が持つある種の共通の価値観や共通基盤と言えるものだったと思います。 渡辺氏が政治的にも強い発言力を持っていた背景には、渡辺氏と意気投合する政治家たちが、戦争を体験した多くの日本人の琴線に触れる何かを持っていたからと言う話には非常に納得です。 また、子供のころはただのおじさんたちと思っていた政治家たちは、実際には本をよく読み、とても勉強していた事、またそれにも関わらず、結局は人間同士の権力闘争や憎悪や嫉妬やコンプレックスなどが、その時その時の政策に影響していたと言う話も興味深い内容でした。 私の中にあった渡辺氏のイメージと本書の渡辺氏の活躍には著しい乖離がありましたが、それは私が渡辺氏とは何の共通の価値観を持たないからなのでは?と、この本を読んで思うようになりました。 つまり渡辺氏を傑物と思う人は、やはり同じような価値観を持っていて、そう思わない人は別の価値観を持つのでそう思わないだけと言う。同じ人物でも、時代によっては傑物になるし、時代や価値観が変われば老害にもなりうると。 人間の評価とは、何かモノサシのような絶対的な指標ではなく、その時代の要請や多くの人が持つ価値観などとの相対的な距離で決まるのでは?と、そんなことを思いました。

Posted byブクログ

2023/11/26

表紙と人物だけで、読まずに手に取った書籍。 渡辺恒雄さんは、読売新聞の主筆。それと同時に、新聞記者の枠を超えるその時々の政治に深く関与した、保守系の大物である。 その渡辺恒雄さんにインタビューを試み、原点である戦争体験、敗戦、そこから新聞記者と政治活動をしょいこみ、全力で駆け...

表紙と人物だけで、読まずに手に取った書籍。 渡辺恒雄さんは、読売新聞の主筆。それと同時に、新聞記者の枠を超えるその時々の政治に深く関与した、保守系の大物である。 その渡辺恒雄さんにインタビューを試み、原点である戦争体験、敗戦、そこから新聞記者と政治活動をしょいこみ、全力で駆け抜けた渡辺恒雄さんの生き様を詳細に記している。 表面だけでは見えない、政治家の裏側、密約、裏切り。時の権力ある政治家に入り込み、裏から政治を操る手法、それに自らの仕事を絡ませて読売新聞のトップにまでたどり着いた。戦後の混沌とした時代だからこそ、できた芸当なのかもしれない。しかし、時代背景だけでは語れない、芯の有る新聞記者。 渡辺恒雄さんは、そういう意味では二度と現れない新聞記者であり、フィクサーであろう。 戦後政治に興味のある方は、必読の書籍。さらに続編も出るようだ。楽しみでならない。

Posted byブクログ

2023/08/18

書いてる人の渡辺さんがすごいってことを言うための修飾が多すぎて読みにくい。一瞬思った。戦争はダメだと言ってるけど、このくらいの年の人だったらその前の戦争、日露戦争あたり?と太平洋戦争を比べるという考えはなかったのかな。負けて悲惨な思いをしたから、勝った日露戦争のことも忘れちゃった...

書いてる人の渡辺さんがすごいってことを言うための修飾が多すぎて読みにくい。一瞬思った。戦争はダメだと言ってるけど、このくらいの年の人だったらその前の戦争、日露戦争あたり?と太平洋戦争を比べるという考えはなかったのかな。負けて悲惨な思いをしたから、勝った日露戦争のことも忘れちゃったんだろな。日清戦争と太平洋戦争は比較できたのだろうか。 開成、東大の人が無学の上官に殴られたらブライトが許さんだろな。 共産党は当時権力を握れる、世界を掌握できると思ったから入党したんだな。 え、西武の堤清二も共産党なの!美味しい生活の人 スイッチを切って停電させ、国民を飢えさせて体制打破をさせると中央委員が言ったとあるけど、誰なんだろ具体的に。

Posted byブクログ

2023/07/17

有名だけれどもよく知らない人、ジャイアンツのオーナーで過去に凄い実績のある人くらいの認識だった。 インタビューを元にしているので、多少は盛られていると想うが、NHKのインタビューを元にしており、ヨイショで終わる物ではない。 印象的なのが、戦争を否定して、戦争の悲惨さを伝えるこ...

有名だけれどもよく知らない人、ジャイアンツのオーナーで過去に凄い実績のある人くらいの認識だった。 インタビューを元にしているので、多少は盛られていると想うが、NHKのインタビューを元にしており、ヨイショで終わる物ではない。 印象的なのが、戦争を否定して、戦争の悲惨さを伝えることに尽力したとのこと。これまでの政界の大御所とのかかわり、戦後史もわかり参考になった。 亡くなった祖父母が、外国の戦争ニュースを観ては、私が戦争のない時代に生まれて本当に良かったと言っていたことを思い出した。

Posted byブクログ

2023/07/01

『ナベツネ』の名は、報道などでは恐怖や畏怖をもって使われることが多く、旧社会の象徴のような雰囲気をまとっている。しかしながら本書で直接、本人から発せられる信条は、戦争に対しては断固反対、先の戦争を全く評価していない。マスコミ人でありながらパブリックイメージは異なるものであることが...

『ナベツネ』の名は、報道などでは恐怖や畏怖をもって使われることが多く、旧社会の象徴のような雰囲気をまとっている。しかしながら本書で直接、本人から発せられる信条は、戦争に対しては断固反対、先の戦争を全く評価していない。マスコミ人でありながらパブリックイメージは異なるものであることが衝撃。 良し悪しも、好き嫌いもある人物ではあるが、もう少し知りたくなった。

Posted byブクログ

2023/06/02

政治記者の枠を大きく超えて戦後の保守政治に深くかかわったナベツネのインタビューを軸に関係者の証言をまとめたNHK番組をもとにした一冊。読売新聞に取材OKを出させたNHKプロデューサーの仕事に感服。現在の政治に対する危機感や歴史の舞台裏を後世に残すべきと考えたナベツネを動かしたもの...

政治記者の枠を大きく超えて戦後の保守政治に深くかかわったナベツネのインタビューを軸に関係者の証言をまとめたNHK番組をもとにした一冊。読売新聞に取材OKを出させたNHKプロデューサーの仕事に感服。現在の政治に対する危機感や歴史の舞台裏を後世に残すべきと考えたナベツネを動かしたものと思う。

Posted byブクログ

2023/05/05

正直言って「読売のドン」の印象が先行して、横暴かつ独裁的な存在としか認識していませんでしたが、戦争を体験した世代にしか語ることのできない数々の言葉に考えさせられることばかりでした。と同時にこれからの政治が何を基盤に動いてゆくのか、不安になりました。

Posted byブクログ