ぼくはなにいろ の商品レビュー

4.1

43件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    7

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かなり良かった。 葛藤の末に幸せを目指せて良かったと思う。 文房具店店主主人公の物語も深く読みたい。

Posted byブクログ

2024/07/15

様々な生き辛さを抱えて生きている若者が、その生き辛さ故に惹かれ合い、繋がっていく。 交通事故で大きな傷を負ってしまい、それを隠すように、人と極力関わらず静かに生きる祥司。ある日、行きつけの居酒屋で美しい女性千尋と隣り合わせになる。その千尋も中学年のときの男子生徒の心ない噂話に傷つ...

様々な生き辛さを抱えて生きている若者が、その生き辛さ故に惹かれ合い、繋がっていく。 交通事故で大きな傷を負ってしまい、それを隠すように、人と極力関わらず静かに生きる祥司。ある日、行きつけの居酒屋で美しい女性千尋と隣り合わせになる。その千尋も中学年のときの男子生徒の心ない噂話に傷つき男性と上手く接することができない。祥司は自分のことが千尋にバレないように、そして深入りしないように注意深く接する。 そして千尋の地元では妹の絵美が不登校になり、毎日のように文房具屋で時間を過ごす。そしてそこに毎日、学校のことを伝えに喋ることにできない同級生清正がやってくる。 文房具屋の息子で店員の孝志朗も将来に希望が持てず傍目には分からないが悶々としている。 そして祥司の中学の同級生であり今は同僚の崎田。 みんなそれぞれ傷つきながら、だからこれ以上傷つきたくなくて、周りと微妙なバランスを取りながら生きている。 「まるでやじろべえのようなぎりぎりのバランスで成り立っている」という表現にドキっとした。これは崎田のことを表すときに使われていた文章だけど、登場人物全てこんな感じなんだろう。 若くして生きることを諦めかけている祥司や絵美や崎田。 なんとかしようと藻搔く千尋や清正や孝志朗。 読んでいて心がヒリヒリする場面が多かったが、そこここに希望が見える展開にホッとしながら、先が気になって一気に読んだ。 自分の考える自分の色、人から見た自分の色、違がって当たり前。でも、人の目は気になる。気にならない人なんていない。 全て否定しないで、自分だけの色を見つけて生きていってほしい。 もう少し、登場人物を掘り下げて描いてもいいかな、とも思ったが、肉付けは読む人の想像でいいのかもしれない。 希望の見える終わりだった。

Posted byブクログ

2024/07/13

こころに抱えたトラウマやコンプレックス。 人間の中身や外身について、多少なりとも悩んだことは、誰でもあるんじゃないかな。 私は、幼いころは割と外身を、大人に近づくにつれ中身を悩んできた気がする。いや、逆だったかな。 それらの悩みは、いつの間に薄らいだんだろう。 この小説を読んで感...

こころに抱えたトラウマやコンプレックス。 人間の中身や外身について、多少なりとも悩んだことは、誰でもあるんじゃないかな。 私は、幼いころは割と外身を、大人に近づくにつれ中身を悩んできた気がする。いや、逆だったかな。 それらの悩みは、いつの間に薄らいだんだろう。 この小説を読んで感じたのは、自分を受け入れてくれる存在の大きさだ。 痛みや苦しみは、本人でなければ分かりえない。 閉ざした心を開くのは、かなり困難なこと。 でも、想いがあれば、通じあうことができるかもしれない。たとえ時間がかかっても、心のドアをノックし続けたら、いつかその想いは届くと、読み終えた今なら、信じることができる。 苦しかったが、だからこそ、それぞれが悩みを乗り越えようと一歩踏み出した瞬間に立ち会えて、本当によかった。

Posted byブクログ

2024/06/08

すごく良かった。 優しい気持ちになれる、素晴らしい物語です。人間関係に少しつかれたときに、一気に読み終えると、その後から、自分の人生が変わって見えると思います。

Posted byブクログ

2024/10/23

それぞれの心の内に「怪物」を抱えた者たちが、それぞれに関わり合う中で、一歩ずつ前に進み出していく。登場人物たちが、前に進むために乗り越える「壁」の描き方が秀逸。 ただ、一見無関係に見える登場人物たちが、実は繋がりがあったという設定が、いかにもあるあるのご都合主義にも思えた。

Posted byブクログ

2024/03/16

交通事故で大きな傷を負って以来、人目を避け孤独に生きてきた祥司は、行きつけの居酒屋で1人の女性・千尋と出会う。 彼女もまた人に言えないトラウマを抱えていたが、祥司といれば普通で心穏やかにいられた。 だが何かを隠しているかのような祥司に気づいて…。 祥司の職場での苦しい様子や千尋...

交通事故で大きな傷を負って以来、人目を避け孤独に生きてきた祥司は、行きつけの居酒屋で1人の女性・千尋と出会う。 彼女もまた人に言えないトラウマを抱えていたが、祥司といれば普通で心穏やかにいられた。 だが何かを隠しているかのような祥司に気づいて…。 祥司の職場での苦しい様子や千尋と離れて福岡で父と暮らす妹の絵美の様子が交互に描かれている。 どの場面もけっして幸せに見えなかったのだが、次第に心のうちを曝け出すことでお互いの距離が縮まっていくのがわかった。 生きるのは難しい…だけど一生懸命に生きてる。 わかりあい寄り添える人が必ず近くにいるということで、人はこんなにも勇気を貰えるんだと思った。

Posted byブクログ

2024/03/09

YA文学として、「自分が好きになれずに孤独を選ぶも、やはり誰かに愛されたいし、その気持ちを捨てきれない」という設定は珍しいものではありません。 物語の展開も、決して奇をてらったものではなく、結末もある程度予想することができます。 それでも、胸に響くものがある素敵な作品でした。 ...

YA文学として、「自分が好きになれずに孤独を選ぶも、やはり誰かに愛されたいし、その気持ちを捨てきれない」という設定は珍しいものではありません。 物語の展開も、決して奇をてらったものではなく、結末もある程度予想することができます。 それでも、胸に響くものがある素敵な作品でした。 どうしても人間は外見や第一印象といった表面的な要素で他人を評価しがちです。そして他人からの評価によって、自分の価値を低く見積もって自己肯定感を失うことも少なくありません。誰からも愛される「すごい自分」になろうとしたり、本当の自分らしさを探そうとしても袋小路に迷い込んでしまうだけ。自分が「いま持っているもの」を大切に育てていくことが、必ずしも完全無欠のハッピーエンドとはいかずとも、「幸せに生きる」ための唯一の手段なのかもしれません。

Posted byブクログ

2024/02/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

二つのストーリーが並行して描かれていて、若干交わりもするのだが、そこにあまり必然性を感じられず、独立したそれぞれのストーリーとして書いた方が良かったのでは?と感じました。 またどちらのストーリーも深いようで浅かったような…読みやすくまた、題名が良く深いいい話になりそうな雰囲気や予想はあったけど、肩透かし感がありました。 3.2

Posted byブクログ

2024/02/09

著者はデビュー2作目との事。全体の評価点のみ以外情報を入れずに手に取ってみました。しばらく話の筋が掴めずも読み進めると、明るい話ではないという事がわかりはじめます。 著者と物語の登場人物が等身大過ぎるのか、10代、20代の心の傷を描くのに、少し表現が過剰に感じてしまい、更には要所...

著者はデビュー2作目との事。全体の評価点のみ以外情報を入れずに手に取ってみました。しばらく話の筋が掴めずも読み進めると、明るい話ではないという事がわかりはじめます。 著者と物語の登場人物が等身大過ぎるのか、10代、20代の心の傷を描くのに、少し表現が過剰に感じてしまい、更には要所に出てる「化け物」という表現もこの物語に使うには適切では無く思えて辟易しました。登場人物が皆キャラ立ちしてるので残念でなりません。 しかしながら、それらが繋がりはじめ、登場人物達の頑なな心が徐々にほぐれていく様には目尻が下がりました。 ただ、全部詰め込みすぎですね。

Posted byブクログ

2024/01/14

物語のはじまりから、主人公の人生が順風満帆ではないことが分かる。 色々なことを諦めの視点で捉えてしまう姿に、闇を感じつつ読み進め… (ここから少しネタバレ含む) 「こんなに幸せなことがあるなら、もうちょっとだけ生きてみてもいいかな、って思いました」 …よかった!!!よ...

物語のはじまりから、主人公の人生が順風満帆ではないことが分かる。 色々なことを諦めの視点で捉えてしまう姿に、闇を感じつつ読み進め… (ここから少しネタバレ含む) 「こんなに幸せなことがあるなら、もうちょっとだけ生きてみてもいいかな、って思いました」 …よかった!!!よかったね!祥司!!! と私も一緒に幸せを感じるも、一筋縄にはいかない2人。 もどかしいね。 出てくる登場人物たちが、みんな少しずつ成長していく。あたたかい本でした。

Posted byブクログ