消費社会を問いなおす の商品レビュー
資本主義システムの内に還元されその中身が自明とされがちな「消費」という現象にあらためてメスを入れ、それに固有の意味や意義を浮かび上がらせている論考。事実上、消費行為こそが人間の尊厳と密接にむすびついている「消費社会」において、そうした社会がもつ特別な価値を高く評価しつつも、いっ...
資本主義システムの内に還元されその中身が自明とされがちな「消費」という現象にあらためてメスを入れ、それに固有の意味や意義を浮かび上がらせている論考。事実上、消費行為こそが人間の尊厳と密接にむすびついている「消費社会」において、そうした社会がもつ特別な価値を高く評価しつつも、いっぽうでは消費する権利が万人に保障されていない現状を強く問題視する。 扱われているトピックが非常に多様で、社会現象としての消費行為が大小さまざまなスケールにおいて分析対象とされる。著者による訳書であるダニエル・ミラー『消費は何を変えるのか』(法政大学出版局)と呼応する内容を多く含んでいる。
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昨年、出会った本で脳みそ直撃だった「サブカルチャーを消費する:20世紀日本における漫画・アニメの歴史社会学」「消費は誘惑する 遊廓・白米・変化朝顔 一八、一九世紀日本の消費の歴史社会学」の著者、貞包英之の新書。本屋さんで見つけてすぐ購入。ちくま新書ならではの特典が顔写真がカバー...
昨年、出会った本で脳みそ直撃だった「サブカルチャーを消費する:20世紀日本における漫画・アニメの歴史社会学」「消費は誘惑する 遊廓・白米・変化朝顔 一八、一九世紀日本の消費の歴史社会学」の著者、貞包英之の新書。本屋さんで見つけてすぐ購入。ちくま新書ならではの特典が顔写真がカバーに入っていること。まあ、顔知ってどうのこうの、ということもないのですが、自分的にはどんな人の論考に揺さぶられたのか、興味あった訳です。前著二冊から今回は時代が引き寄せられていて100円ショップに代表されるデフレ社会の消費、サブスクリプションという新しい消費、さらにはコンマリ現象、ゲーム、住居、さらにはスポーツ、ドラッグも対象にしています。そして消費社会の限界を示しつつ、その先の可能性としてのベーシックインカムに至って、そうくる?という衝撃がありました。ただ今回、この感想を書くにあたって「サブカルチャーを消費する」の自分のレビューを読み返したら、そこでもベーシックインカムを示唆していることを思い出しました。ものを消費する、という行為がひとの自由の発露であるという視点が一貫しています。この新書、また次の本に繋がると思いますが、著者自らいう「粗雑なスケッチにすぎず…」というその部分をさらに深掘りして、揺さぶって欲しい!とにかく時代批判としてのありきたりな80年代消費社会論を超えていく著者の論考、楽しみです。
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「消費」と「労働」のデカップリングという発想が斬新だった。そして環境破壊など消費の限界から私たちはどうしても「脱成長」の方向に進まざるをえなくなるのではないかと考えてしまうが、「消費する自由」とは「尊厳」であるといい、国家や労働への依存することなく消費の自由を保つにはどうすれぱよ...
「消費」と「労働」のデカップリングという発想が斬新だった。そして環境破壊など消費の限界から私たちはどうしても「脱成長」の方向に進まざるをえなくなるのではないかと考えてしまうが、「消費する自由」とは「尊厳」であるといい、国家や労働への依存することなく消費の自由を保つにはどうすれぱよいかという問いかけに、思考停止してなるものかという心意気を感じた。 きっと、道はあるはずである。
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消費社会論の学説史的な議論に加え、現代社会の分析も行いつつ、消費社会の問題点(格差社会・環境破壊)を明らかにし、解決策(ベーシックインカム)も提示するという内容。ちょっと懐かしい話題を振り返りつつも、現代的な話題も盛り込んであるので、もはや過去のものとして廃れた?かと思われた消費...
消費社会論の学説史的な議論に加え、現代社会の分析も行いつつ、消費社会の問題点(格差社会・環境破壊)を明らかにし、解決策(ベーシックインカム)も提示するという内容。ちょっと懐かしい話題を振り返りつつも、現代的な話題も盛り込んであるので、もはや過去のものとして廃れた?かと思われた消費社会論が今でも生き続けているという感覚にはなれる。 この世から消費が無くなる事はないので、現代社会を語る上でのある種の「切り口」として何でも飲み込んで語る事は可能だし有効だとも思うのだが、興味のない者にとっては少々地味で今更?と感じる部分があるのかもしれない(そもそもそういう人はこの本を読まないだろうが)。 解決策のベーシックインカムに関しては、それなりの説得力はあるもののまだ粗削りな印象。国家論や政治学的なテーマが絡んでくるので、社会学系?の消費社会論とはテイストが異なる話題でもあり、両者をどのように関連付けて論じていくべきなのかが今後の課題なのかもしれない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
消費社会の外側には出られない、だからベーシックインカム。という論法なんだが。説得力あるんだがどうも騙されているような気になる。こういうのをもやもやするというのだろう。ゆっくり何回か読んだらもうちょっとはっきりしそうなんだが、でもそこまで関わりたいかというとそう思っていない。さて困った。
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学術的な話をベースにしているので読むのにやや難しいものの、今話題のベーシックインカムにも触れられていて、それでいて地に足の付いた理論を構築されているような気がしました。 自分は就職氷河期世代の未婚中年男性で、給料も少ないので消費は少ないほうだと思います。欲しいものがないわけでは...
学術的な話をベースにしているので読むのにやや難しいものの、今話題のベーシックインカムにも触れられていて、それでいて地に足の付いた理論を構築されているような気がしました。 自分は就職氷河期世代の未婚中年男性で、給料も少ないので消費は少ないほうだと思います。欲しいものがないわけではないのですが、現行の製品として流通しているもの・新製品に欲しいと思えるものがほとんどありません。 子どもの頃は、こんな高級なステレオが欲しいとか、寝台列車に乗りたいとか、この楽器が欲しいとかたくさんありましたが、大人になったらそれらは皆販売が終わっていました。給料も贅沢できるほどはもらえていない(ステレオはもう必要なくなったし、楽器はビンテージになって当時の販売価格の数倍で手が出ない)ので、そうするとそんなに買い物をする必要もないと、特に中年になってからは悟りの境地になりました。そういった贅沢、できればしてみたかったのですが。 今お金があっても、欲しい物は過去の物ばかり。本は古書で手に入るので、現在の楽しみはそれぐらいですね。今の経済に貢献できてないのは申し訳ないですが。 さて、これからの日本・世界の経済はどうなっていくのでしょうか。安くはない税金を粛々と納めながら、投票にも行きつつ、時には声をあげながら、見守っていきたいと思います。
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社会における消費について、硬軟織り交ぜて述べられている。軟がやや多いのは分かり易さを優先させた為だろう。 ただ、消費の活性化として最終章でベーシックインカムを挙げているが、少し安易に特効薬として考えているのではないだろうか。 勿論議論する事は大切だが、財政上の裏付けは乏しいし...
社会における消費について、硬軟織り交ぜて述べられている。軟がやや多いのは分かり易さを優先させた為だろう。 ただ、消費の活性化として最終章でベーシックインカムを挙げているが、少し安易に特効薬として考えているのではないだろうか。 勿論議論する事は大切だが、財政上の裏付けは乏しいし、何より正直言ってベーシックインカムを使いこなせる程、日本人の金融リテラシーは高くないと思う。 中学生から徐々に習得させ、それから50~60年後に導入位の、国家百年の計で望まなければならない課題だと思うが、その計を引っ張って行くだけのリーダーがこの国にいるか、付いてくだけの覚悟か国民にあるか、時間が残されているか。 紀伊国屋書店梅田店にて購入。
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. #消費社会を問いなおす #貞包英之 23/1/7/出版 令和になりたての今に比べ、平成になりたてのほうが消費社会だったと思う 僕もその社会を作った当事者だし、その立場から、問い直されていることに向き合ってみたい #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本...
. #消費社会を問いなおす #貞包英之 23/1/7/出版 令和になりたての今に比べ、平成になりたてのほうが消費社会だったと思う 僕もその社会を作った当事者だし、その立場から、問い直されていることに向き合ってみたい #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 https://amzn.to/3CrnLKq
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消費とはなにか、消費社会とはなにかを扱った第1章、 具体例をたくさん取り上げて、平成日本の消費という実践を語った第2章と第3章が面白かった。 https://note.com/dilettare/n/n6b0b9141357a
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