書楼弔堂 待宵 の商品レビュー
これ程、己の浅学を悔いるシリーズもあるまい。 次々と著名人が登場しても茫漠とした驚きにとどまり、虚実の境目も判然としない。無知蒙昧の徒には、散りばめられた仕掛けも発動しない。 しかし困ったことにそれでも十分面白いのである。人並みの教養があればさらに面白いこと間違いないのにと、歯噛...
これ程、己の浅学を悔いるシリーズもあるまい。 次々と著名人が登場しても茫漠とした驚きにとどまり、虚実の境目も判然としない。無知蒙昧の徒には、散りばめられた仕掛けも発動しない。 しかし困ったことにそれでも十分面白いのである。人並みの教養があればさらに面白いこと間違いないのにと、歯噛みすることしきりである。 と、まあ、シリーズ1作目からそう思っていたのに、9年近く経って尚、何故全く学習していないのだ自分。とほほ。
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やはり面白い。なんといっても京極夏彦。 6年間待っていたことになるのだな、待つことすら忘れるほどの長さだったようにも思う。しかし、読めばわかる。この質感、緻密な展開、この本を6年間で提供してくれたことに畏怖を覚える。ありがたいことだ。 読み終えて、さらに次を読みたくなる。それは仕...
やはり面白い。なんといっても京極夏彦。 6年間待っていたことになるのだな、待つことすら忘れるほどの長さだったようにも思う。しかし、読めばわかる。この質感、緻密な展開、この本を6年間で提供してくれたことに畏怖を覚える。ありがたいことだ。 読み終えて、さらに次を読みたくなる。それは仕方のないことだ。この物語が次々とつながって、本の最後のページが来なければよいと思う。実に面白い。 今回は弔堂店主の語りもよいが、それ以上に弔堂に至るまでの甘酒屋と客の会話にわくわくし、ぞくぞくした。 意外な展開とやはりそうなるかという安心感とが均衡のとれた状態で語りが進んでいく。 ところどころにちりばめられた甘酒屋の生涯に関する伏線、そう来るか、と思いながら、やはりそう来たか、と思わせる甘酒屋。 甘酒屋と若者の関係にあらぬ期待もしたが、会津と東京では偶然が勝ちすぎる。 このシリーズの楽しみの中にあの人やこの人が登場することがある。歴史上のあの人この人、作者の手の中で不思議な人生を繰り広げ、店主の語りで救われていく。 6年後には明治末の世相を味わえるのだろうか。
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ありとあらゆる書物が揃う弔堂。そこを訪ねる客を案内する羽目になってしまった甘酒屋の弥蔵を主人公に綴られた連作短篇です。やはり本好きにとっては魅力的で、そして歴史上の実在の人物がいろいろ登場するのが楽しい作品です。 「人殺し」の過去を持ち、日々の暮らしに倦みながらも淡々と生き続けて...
ありとあらゆる書物が揃う弔堂。そこを訪ねる客を案内する羽目になってしまった甘酒屋の弥蔵を主人公に綴られた連作短篇です。やはり本好きにとっては魅力的で、そして歴史上の実在の人物がいろいろ登場するのが楽しい作品です。 「人殺し」の過去を持ち、日々の暮らしに倦みながらも淡々と生き続けている弥蔵。彼自身の素性も気になりますが、彼の醒めた目線は、現代でも考えさせられる部分があるかもしれません。
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2023年発行、集英社の単行本。6編。短編連作。初めの方は語り手と登場人物があまり深く関わらず、話がうまく見えないと思ったのだが、後半になってくると語り手の秘密と登場人物の想いとがうまくかみ合い面白くなってきた。特に最後の2編は語り手と登場人物がうまく絡み合い、ラストにつながって...
2023年発行、集英社の単行本。6編。短編連作。初めの方は語り手と登場人物があまり深く関わらず、話がうまく見えないと思ったのだが、後半になってくると語り手の秘密と登場人物の想いとがうまくかみ合い面白くなってきた。特に最後の2編は語り手と登場人物がうまく絡み合い、ラストにつながっていく盛り上がる。ラストがうまく高揚するのはいつものことながらうまいなぁ、と。 収録作:『史乗 探書 13』、『統御 探書 14』、『滑稽 探書 15』、『幽冥 探書 16』、『予兆 探書 17』、『改良 探書 18』、初出:小説すばる、『拾参』2017年02月号、『拾肆』2021年10月号、『拾伍』2021年12月号、『拾陸』2022年02月号、『拾漆』2022年04月号、『拾捌』2022年06月号、
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まず、 第3弾と知らずに読みました。 やりとりが 落語のしゃべくりのように感じ なんとなく読みやすくはあるのだが、 いまひとつ響かない 短編が定番ワンパターンなので、 最初読んで面白くなければ離脱したほうが無難でしょう 分厚いからね 自分はこの本は最後まで読みましたが、 遡...
まず、 第3弾と知らずに読みました。 やりとりが 落語のしゃべくりのように感じ なんとなく読みやすくはあるのだが、 いまひとつ響かない 短編が定番ワンパターンなので、 最初読んで面白くなければ離脱したほうが無難でしょう 分厚いからね 自分はこの本は最後まで読みましたが、 遡って第1弾、第2弾を読みたいとは思いませんでした
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面白かった!!!弔堂で私の一冊を買いたい! 今回、装丁がビアズリーのヨハネとサロメ、高校時代に傾倒したので個人的にたまりませんな。さらにストーリーにちらと出てくる野鳥に合わせ、挿絵は毛利梅園『梅園禽譜』、非常に素晴らしいチョイスだと思います。 前作と同じく、主役は本、今回のワキは...
面白かった!!!弔堂で私の一冊を買いたい! 今回、装丁がビアズリーのヨハネとサロメ、高校時代に傾倒したので個人的にたまりませんな。さらにストーリーにちらと出てくる野鳥に合わせ、挿絵は毛利梅園『梅園禽譜』、非常に素晴らしいチョイスだと思います。 前作と同じく、主役は本、今回のワキは弥蔵(偽名)とおまけの利吉、世界の本の墓場弔堂主/龍典(りょうてん)、丁稚/撓(しほる)で、客として色んなビッグネームが訪れ、その客に”本”を会わせるという豪華な設定。 最初から弥蔵が誰なのかを気にするように誘導されていく。”史乗”から沢辺琢磨の弔堂の説明の時点で、フラグが立ってはいるんだが、各章でちらちらと出身地やらもろもろのキーが明かされ散りばめられていく、超ワクワク展開。別段、奇抜でも新説でもないが、なんといっても、さすが京極節臨場感がたまらない。 今回弔堂を訪れるビッグネームは、徳富蘇峰、岡本綺堂、宮武外骨、柳田國男、竹久夢二、寺田寅彦、斎藤一、佐々木只三郎、以外にも名前だけだが重要パーツを占める人物もたくさんいて、なんというか、有名人を覗くようななんともギルティプレジャー的な喜びも感じたりする。 おもしろかった。
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本書はシリーズの3作目の様だが見ていなかった。今回初めて書店で見かけ手に入れた。弔堂と近くに住む甘酒屋と書籍を求める人との出会いから物語が始まる短編集だ。色々な人物の名前が出てきて実に面白い話が満載で楽しかった。
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シリーズ最新作。既刊は全て読んでいるはず。 京極夏彦の本は知る限り全て既読と思う。 残念ながらこの本を含め直木賞受賞以降は質が落ちていると感じる。 なお、小説と作家の思想は別とはわかってはいるがそれにしても京極がこの小説で語る思想は底が浅い。現代の思想で明治時代の思潮を蔑むのは御...
シリーズ最新作。既刊は全て読んでいるはず。 京極夏彦の本は知る限り全て既読と思う。 残念ながらこの本を含め直木賞受賞以降は質が落ちていると感じる。 なお、小説と作家の思想は別とはわかってはいるがそれにしても京極がこの小説で語る思想は底が浅い。現代の思想で明治時代の思潮を蔑むのは御法度。
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「姑獲鳥の夏」からの京極フリーク…いや推し。 江戸から明治の景色が見えるような。 時代観が本当に秀逸で、かと言って難しすぎず、読ませる! 知ってる名前のオンパレードでフィクションと現実の眩暈が… まあ、「知ったことではない」のです。笑 手にとってから「コレ、シリーズ三弾じゃん!...
「姑獲鳥の夏」からの京極フリーク…いや推し。 江戸から明治の景色が見えるような。 時代観が本当に秀逸で、かと言って難しすぎず、読ませる! 知ってる名前のオンパレードでフィクションと現実の眩暈が… まあ、「知ったことではない」のです。笑 手にとってから「コレ、シリーズ三弾じゃん!」 …泣く泣く逆読みする事に。
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レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12786560004.html
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