白装束集団を率いた女 の商品レビュー
最初こそ教祖の妄想に付き合わされる人たち・・・という印象で読んでいたが、それだけではない、人間のわけのわからない深みみたいなことを感じた。p.274の、聖と俗の違いはあるが聖と狂の違いは必ずしも存在しない・・・みたいに書かれているところは妙に納得してしまった。宗教学等からの知見が...
最初こそ教祖の妄想に付き合わされる人たち・・・という印象で読んでいたが、それだけではない、人間のわけのわからない深みみたいなことを感じた。p.274の、聖と俗の違いはあるが聖と狂の違いは必ずしも存在しない・・・みたいに書かれているところは妙に納得してしまった。宗教学等からの知見が書かれていて、それも知らないことが多く勉強になった。著者の次回作もまた読んでみたい。
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【人間は、その狂気の渦中にあっても、絶えず、その狂気の中に意味を見出し続ける存在なのだろうか】(文中より引用) 山間に現れて突如ワイドショーを賑わせた白装束集団。千乃裕子率いる千乃正法会とパナウェーブ研究所がどこから現れ、そしてメディアの狂騒劇の後にどのような末路をたどっていっ...
【人間は、その狂気の渦中にあっても、絶えず、その狂気の中に意味を見出し続ける存在なのだろうか】(文中より引用) 山間に現れて突如ワイドショーを賑わせた白装束集団。千乃裕子率いる千乃正法会とパナウェーブ研究所がどこから現れ、そしてメディアの狂騒劇の後にどのような末路をたどっていったのかを記したノンフィクション。著者は、本書が初めての著作となる金田直久。 「人に狂気を信じる自由はあるのか」という問題を丁寧に扱った秀作。上から目線になることなく、それでいてどこまで客観的に千乃裕子の生涯を綴ることにより、信じることの不思議さと恐ろしさを両方垣間見せてくれる、味わい深い作品でした。 当時すごい話題になったのを覚えている☆5つ
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熱意の行き着く先の一つ。人は自分の物語から逃れらず、どのように物語がかきかわるかにどれ位自分が関与できるかも死ぬまでわからないということなんだろう
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「パナウェーブはどう生まれたのか、どんな理由で活動していたのか」を外部の視点からしっかりと書き上げた読み応えのある本。 教義の説明も、一般常識を持った読者にも配慮しつつ、バカにもしない形で説明してあると思う。 教祖の女性が亡くなったことで距離を置いているけれども、教えを今も信じているという男性が出てくる。世間話をするといたって知的な会話もできる。 私の父はパナウェーブとは別の某信仰宗教の一世信者だったが、まさにこの感じだ。ニュースや政治の解説はその歴史背景まで的確に知って答えられるので参考になる一方、メシア観とか魂の救済については一般とは全く別の信念を頑なに信じている。どうしてそうなるのか、とても不思議だ。 だから、パナウェーブの人たちが女性教祖に振り回される様は、私も両親が自分のところの宗教の方針にいちいち振り回されているのを見てきたのでよくわかる。 でも一方で、彼らの主張するスカラー波とか天使の事とかの教えはやっぱり滑稽に思える。だからこそ、自分がかつて生まれた別の宗教の滑稽さが、それにより相対化された。 なんの宗教も持たない人がこれを読んで「中学受験を押してくる進学塾って、ありもしない未来の不安を煽ってくる宗教に似てるよね」みたいに現実社会を相対化できるようになればいいなと願ってるんだけど、だいたい「やっぱりカルトは変だし怖いよねー」でどうせ終わっちゃうんだろうなって、残念な気持ちになる。 まあ中学受験の「救い」を信じてる人には信じさせとけばいいし、きっと描いたような結果にならなくても「でもあの受験のつらさがあったからこそ今がある」みたいに、信じたものを正しかったことにして行くしかないから、別にいいのか。
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「パナウェーブ研究所」「白装束集団」といえば2003年にメディアが掻き立てた騒動を思い起こす。本書はその騒動の発端である千乃裕子の通史であり1つの宗教史でもある。緻密な取材により構成されている良書。
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読後のなんとも言いきれないもやもやした感じ… 本人達があまりに熱心かつ真面目であるゆえに時に滑稽にも見えるが時には羨ましくも見える不思議な感覚 ただ読んで良かったと素直に思える一冊でした
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https://twitter.com/urbansea/status/1612409150209949696
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