話の終わり の商品レビュー
その女だけがもつ体のパーツの一つひとつが、それが愛する女のものであれば、彼にとってはかけがえのないものになった。持ち主にとってよりも大切なものだった。
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序盤は慣れない言葉のリズム感を楽しみ、〜中盤までは慣れなさによる酔いと停滞感で気怠く読み進めていたが 中腹辺りの展開から急に、血肉を持ったような生々しい不規則さで飲み込まれ、そこからは一気に読み上げた。 視点としては全く変わらない軸があって、章を跨がない限りはシチュエーションが...
序盤は慣れない言葉のリズム感を楽しみ、〜中盤までは慣れなさによる酔いと停滞感で気怠く読み進めていたが 中腹辺りの展開から急に、血肉を持ったような生々しい不規則さで飲み込まれ、そこからは一気に読み上げた。 視点としては全く変わらない軸があって、章を跨がない限りはシチュエーションが大きく移らないのに 徹底したディティールの描写によってこんなにも得られる没入感が変わるものかと驚いた。 その一貫性に嫌悪感を抱く場合もありそうだが、何故そう過ぎるのか理由を探すと 自分の感覚を、自分のフィルターだけを通して発しているようなその浮世離れ感で。 それはわがままでも物知らずな訳でもなくて、ただ「ひとりが暮らしていく」という事を表しているだけという気がした。 外界との境界線が曖昧な訳ではなく、むしろありありと感じていく程に他者と自分と世が混在していくのなんて、まさに生活だ。 様々なことを横切らざるを得ない日々の中で策を練るのも動くのもこの身なので、そりゃそうだよなと思い始めたところからがこの小説のスタートなのかもしれない。 なんとなく避けていた理由がそのまま文章の中にあったので少し怯んだが、読めて良かったなと清々しく頼もしい気持ちでいる。
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トゥーサンが好きなら好き、と誰かが書いていたが本当にそう。奇妙で大好き。 全ての失恋した人に渡したいし、彼女のような目線で世界をみたい。というか、この本を読むと主人公の目線で世界をみている。本のインパクトの強さよ。
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女は大学に赴任したばかりの30代半ば。 男はその女よりも12歳歳下の大学の学生。 2人は恋愛関係になる。それはとてもとても幸せな。 でもその幸せは長くは続かなかった。 お互いが傲慢になりすれ違い溝は埋まらなくなる。 女は男に執着し姿をさがす。 ある日男から手紙をもらいその時はまだ執着していたがそのずっと後に書店で会いもう男のことはどうでもよくなっていたのだと気づく。そして男との恋愛を小説に書こうとするのだ。 好きだったとしても溝が生まれ別れになることもあること。別れた後執着するがやがて時間が解決してくれること。 恋愛に年齢ってあんまり関係ないのかな
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別れた12歳年下の彼から手紙が届き、返事をどうすればよいか考えあぐねてると、小説にしようと思い立った。記憶があいまいで思い出すのも順不同なのように、お話はとりとめもなく順不同に流れていく。 何も起こらないしどうなってるかよく分からない。でも、わからなくていいんだと思う小説だった...
別れた12歳年下の彼から手紙が届き、返事をどうすればよいか考えあぐねてると、小説にしようと思い立った。記憶があいまいで思い出すのも順不同なのように、お話はとりとめもなく順不同に流れていく。 何も起こらないしどうなってるかよく分からない。でも、わからなくていいんだと思う小説だった。読んでいるうちに私自身も小説の中の彼を求める「私」になった気分だった。彼に会いたいのに、パーティに来て欲しいのに彼の言葉を聞くとめちゃくちゃ怒るという、なんと矛盾した行動とる私。彼の働くガソリンスタンドまで行っちゃう私。当初はお金を返さないダメ男の彼かと思ったけど、そうでもなさそうだと思った。 はっきり言ってこの小説では何も起こらない。 何も起こらないのに、けだるさが漂うお話に引き込まれてしまう。メランコリックでただぷかぷか浮いてるだけ(ときに激しく浮き沈みしてきるが)のような、そんなお話も好きだと感じた。
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冒頭がやはりピーク どの「私」が「いつ」を「どのように」「どこから」描いているのか分からなくなりながら、 分からなくなった過去のこと、現在のこと、未来のことを、気づいたら他ならぬ自分自身も追いかけるように読んでいる。。 恋愛に限らず、「終わる」のではなく「終わらせる」必要があること、ある
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これは私の話だ、と思った。 好きな人の髪の色や服、コーンチップとトランプ、安くて苦い紅茶の味。事実を並べているだけなのに、そこからいろんな感情が連想されるところが素敵だった。 誰かのことを好きになって、愛して、深い悦びを知ったとしても、別れがこんなにも辛いのなら、最初から何もしな...
これは私の話だ、と思った。 好きな人の髪の色や服、コーンチップとトランプ、安くて苦い紅茶の味。事実を並べているだけなのに、そこからいろんな感情が連想されるところが素敵だった。 誰かのことを好きになって、愛して、深い悦びを知ったとしても、別れがこんなにも辛いのなら、最初から何もしなければいい、そうやって人と距離を置いて暮らしたら楽なのかなと思った。 あんなに好きだったのに、一緒にいる時間が耐え難くなる。でも別れたらその姿を求めてやまない。なんでこんなに矛盾していちいち喜んだり倦んだり悲しんだりするんだろう。
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Twitterで見かけて手に取りました。「私」は12歳年下の恋人と別れて何年も経ってから、交際してた数ヶ月間の出来事を記憶の中から掘り起こし、かつての恋愛の一部始終を再現しようと試みるが――。淡々とした、静謐で精緻な文章の中で感情が揺れ動く。盛んに燃え盛る焔のように、或いは心地よ...
Twitterで見かけて手に取りました。「私」は12歳年下の恋人と別れて何年も経ってから、交際してた数ヶ月間の出来事を記憶の中から掘り起こし、かつての恋愛の一部始終を再現しようと試みるが――。淡々とした、静謐で精緻な文章の中で感情が揺れ動く。盛んに燃え盛る焔のように、或いは心地よい微風のように、または命のリズムを刻む波濤のように、そしてふと訪れる凪いだ沈黙の時……。幾つもの「私」の中を読み手は逍遥し、深い物語の奥へと迷い込む。読み終われば初め居た場所にまた立っている。けれど、見える景色は違って見えるのだ。愛を終わらせることと物語を終わらせることは似ているのかもしれない。
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