開墾地 の商品レビュー
今日読めて良かった。今読めて良かった。 一生忘れない本にる気がする。 生家を離れた経験がある人はぜひ読んでほしい。新天地で感じる違和感、久々の帰省で感じる違和感、全部がここに入ってる。自分の今の状況にもマッチして、なんで言葉にこんなにパワーと魅力があるのかがよりわかる。
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イラン人の父親を持つラッセル。米国で生まれ日本で勉強している。ラッセルは父親が生活する米国サウスカロライナに渡り、そこで自分のアイデンティティと向き合うことになる。サウスカロライナの実家の周りには葛が自生し、庭や家を包み込もうとする。日本の家屋にも葛の蔓が壁を伝うが、ラッセルの実...
イラン人の父親を持つラッセル。米国で生まれ日本で勉強している。ラッセルは父親が生活する米国サウスカロライナに渡り、そこで自分のアイデンティティと向き合うことになる。サウスカロライナの実家の周りには葛が自生し、庭や家を包み込もうとする。日本の家屋にも葛の蔓が壁を伝うが、ラッセルの実家では毎年焼き払わないと家が葛に侵食されてしまう。キリギリスは英語でkatydidなのに、葛は英語でもkudzuで通じる。日米の両方で生きるラッセルは、物の違いと同一性を感じたのだろう。そして自分のルーツに思いをはせる。私はこの作品を正しく読み解けたか分からない。表面をなぞっただけかもしれない。何かしら感じるものはあった。
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芥川賞候補とも、葛が怪物化しているとも知らず。心の落ち着きどころ探し小説? 家が燃えちゃうんじゃと心配に。
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芥川賞候補作。 まず、日本語が母語ではないのに、文学的な文章を書けることがすごいと思う。日本語が母国語の私でもこんな文章書けないと思う。 「囂(かまびす)しい」とか初めて聞いた。 読み心地もすごく良かった。 母語(主人公にとっては英語)を聞いている時、行間が聞き取れてしまうが...
芥川賞候補作。 まず、日本語が母語ではないのに、文学的な文章を書けることがすごいと思う。日本語が母国語の私でもこんな文章書けないと思う。 「囂(かまびす)しい」とか初めて聞いた。 読み心地もすごく良かった。 母語(主人公にとっては英語)を聞いている時、行間が聞き取れてしまうがゆえに不愉快さを感じることがあるというのを、この本を読んで改めて気付いた。 外資系の会社で働いていた時に、私が英語の行間まで理解できないおかげで、傷ついたりイライラすることなく、コミュニケーションを取れていたことを思い出した。アメリカ人の同僚が、クライアントからの英語のメールにイライラしていて、私がそれを読んでみても、行間が読めないので何もイライラしなかったことがあった。逆に日本人のクライアントからの日本語のメールには、行間にある無言の圧力に私はイライラし、アメリカ人の同僚は全くイライラしていなかった。そういうことなのかな。 日本人と日本語で仕事するより、外国人と英語で仕事する方が、英語が完璧でない分不安はあるけど、ストレスが少なく気楽だなとその時思った。 それが、母語ではない言語として、距離を取れているということだったのかな。 でもこの著者は、これだけ日本語が堪能であるから、母語のように行間も読めそう。どうやって距離を守っているんだろう。 著者の作品をこの本で初めて読んだ。他の本も読んでみたい。
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書籍出版前なので、群像2022年11月号で読む。 イランからアメリカに移住してきた男の息子は、いま日本に留学している。 休みに父親が暮らす南部の町に帰省してきた息子が、南部の開墾地で暮らす父親との生活で交わす会話と、感じたことを通じて、複雑な環境を描いている。 これは作者の個人...
書籍出版前なので、群像2022年11月号で読む。 イランからアメリカに移住してきた男の息子は、いま日本に留学している。 休みに父親が暮らす南部の町に帰省してきた息子が、南部の開墾地で暮らす父親との生活で交わす会話と、感じたことを通じて、複雑な環境を描いている。 これは作者の個人的な記憶による私小説的作品のようだ。
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