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消費者をケアする女性たち の商品レビュー

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2023/11/07

そもそも「ヒーブ」という言葉を本著で初めて知った。ヒーブとは、日本ではフルタイムで働く高学歴女性の事を指すらしい。高学歴である必要性があるのかは分からないが、とりあえず本著ではそう書いてある。 男女雇用機会均等法の公布は1985年のことであったから、日本ヒーブ連絡協議会は197...

そもそも「ヒーブ」という言葉を本著で初めて知った。ヒーブとは、日本ではフルタイムで働く高学歴女性の事を指すらしい。高学歴である必要性があるのかは分からないが、とりあえず本著ではそう書いてある。 男女雇用機会均等法の公布は1985年のことであったから、日本ヒーブ連絡協議会は1978年の結成なので、実はヒーブの方が歴史は長い。ヒーブは、ケアの脱家族化を担い、ケアの商品化をリードしてきた。戦後日本社会はケアの女性化を前提として成り立っていたからだ。ケアというのは、家事、育児、介護などの労働だ。女性の方がよく理解をしているから、家電製品や食料品など、企業においても、その目線が期待され、活躍している。 消費や消費者という言葉は、明治時代から経済学の用語として定着していたが、日常生活を送る人々が広く消費者として意識を持つようになるのは60年代以降のことだった。1955年に設立された日本生産性本部は海外使節団の報告書の中で、アメリカの「消費は美徳、消費者は王様」といった考えを日本に紹介した。消費の傾向に合わせて生産が変容してきたが、勝つまで欲しがらない消費者であり続けたなら高度成長は無かった。捨てては買い替えるエコならぬ行動が、皮肉にも経済を拡大した。 1979年に通産省が消費者志向体制を掲げた。花王ではエコーシステムと呼ばれる消費者対応のシステムを開発し、相談内容をデータベース化して前者で閲覧共有。製品開発部門にも随時提供されていた。シャンプーとリンス容器を識別する刻を開発した1991年、エコーシステムの取り組みがきっかけである。 人間の営みや社会の営みの中で消費はどのような位置づけにあるのか。過剰品質や過剰サービス、コスト低下圧力の下にある労働現場に対し、ヒーブ導入時の家政学が直面した生活とは何か。経済回復には先ず、家政と消費を考えよ、か。

Posted byブクログ